胃カメラ検査を受けたことのある人は、口から太い管を入れられていく苦痛やなんども襲ってくる嘔吐感に堪え続けるという辛い記憶がきっとあるに違いありません。一昨年の暮れに、胃カメラ検査が楽になる経鼻内視鏡というのがあるというのを知りご紹介しました。
これが大ブレークしているようです。経鼻内視鏡を導入した島根県の出雲中央クリニックでの2000名を対象とした患者さんへのアンケート結果が紹介されていますが、次回胃カメラ検査を受けるとしたら、経口内視鏡と経鼻内視鏡のどちらにするかというアンケートで、95%のひとが経鼻内視鏡と答えているそうです。
実際に受けたかたの体験談を発見しました。「ばね仕掛けのブログ」さんの「経鼻内視鏡」というエントリーです。 余裕ですね。
内視鏡の市場はこれまでは、オリンパス一社が7割以上のシェアを握る寡占状態でほとんど競争のない無風状態の市場でした。競争がないと、製品開発にしてもマーケティングにしても緩みがちなのが世の常です。
そこに、従来よりも管の口径をおよそ半分にして「経鼻内視鏡」という新しいコンセプトの方式を生み出して、市場の風穴を開けたのがフジノンという会社でした。フジノンといっても馴染みの薄いひとも多いかもしれませんが、プロのカメラマンなら品質の高さで誰でも知っている富士フイルムグループの有名なレンズメーカーです。
実際、どの程度シェアが変化したのかはわかりませんが、経鼻内視鏡が導入されている病院リストを見ると、導入施設が急激に増加してきているのに驚きます。快進撃といった状態ではないでしょうか。内視鏡の市場に大きな構造の変化が起こっていることは間違いないでしょう。このフジノンを追って、ついにオリンパスも経鼻内視鏡を販売を開始しはじめたようです。
内視鏡を購入し、また購入の決定権を持っているのはお医者さんです。しかし、このフジノンの「顧客の顧客」としての患者に焦点を当てた製品開発やマーケティングは、マーケティングを考えるいいヒントになるのではないか思います。それに、検査を受ける立場からいえば、バリューム検査なんかやめていきなりこの経鼻内視鏡による胃カメラ検査をしてくれればいいのにと思いますね。

最新の人気blogランキング