おそらくそうだと思います。神戸大学の小川進先生の『ドクター・オガワに会いにいこう。―はじめてのマーケティング』で、32ページしかありません。上田バロンさんのかわいいイラストのついたマーケティングの「絵本」というのも画期的です。


さまざまなマーケティングの新しい知識を得るための書籍もあるでしょうが、自らがマーケティングを考え、組み立てるために必要なマーケティングの見方とか考え方を知ったり、再確認するための書籍というものもあると思います。この本は後者です。だから簡潔であり、また頭の中にイメージとして残るほうがいいいのです。
小川先生曰く、「絵本の割には文章が多すぎる」ということですが、あっというまに読めます。しかし、なかなか骨太な内容です。分厚くて難しい本だと、はじめてマーケティングとはなにかを知りたいと思って読み始めても、途中で投げ出すということもあるかもしれませんが、『ドクター・オガワに会いにいこう』なら大丈夫です。読み終えたときには、きっとマーケティングの本質みたいなものがイメージできるようになる構成と内容になっています。
また実際にマーケティングの仕事に携わっている人なら、この本に書かれていることを、自らの仕事ならこうしているとか、こんな工夫をしたとか、あるいはさまざまなマーケティングの事例を思い描きながら、膨らませていくと、きっと頭に中には実務に裏打ちされたオリジナルなマーケティングの教科書ができあがっているはずです。
長い間マーケティングの世界と付き合ってきましたが、どれだけ参考事例があったとしても、まったく同じ状況というのはないわけですし、市場の環境も、お客さまも、ライバルもどんどん変化していくので、結局は、つねに新しい課題にぶつかり、悩み、考えることの連続でしかなく、だから厳しくもあり、飽きないし、面白いと感じてきました。悩み、考える時に大切なのは、方向を見失わない羅針盤を持っていることです。マーケティングの視点や考え方という羅針盤を身体の芯に通しておくということではないでしょうか。
小川先生は、ディマンド・チェーン経営が流通業を革新したという研究で世界的にも知られている先生ですが、昨今はEC(エレクトリック・コマース)の分野の研究をされておられるそうです。またその成果が楽しみです。

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