ライブドアショックという言葉がきっと歴史に残るというぐらい波紋が広がっています。今日は電話取材を受けるアポが入っていてオフィスで待機していたのですが、記者の方もそれどころではなくなったようです。
マスコミ報道も当初は、ライブドアがマネーライフ社の買収に関して、取得した時期と発表のズレが風説の流布に相当し、証券取締法違反の容疑で東京地検特捜部と証券取引等監視委員会と合同捜査に入ったということでした。なぜその容疑で、あれほどものものしい捜査なのかと疑問に感じた人が多かったと思いますが、やがて「ライブドアが実質支配していた投資ファンドがマーケティング社の株を売却して得た約七億円の利益のうち数億円が、複雑な資金の流れでライブドア本体に還流した疑い」となり、さらにプロ野球参入問題で沸いていた頃に発表された2004年9月期決算が粉飾の疑いがあるというように変化してきました。また今日は「同社の各事業部が傘下の会社から仕事の発注を受けたかのように装い、架空の売り上げを計上していたことが、同社の内部資料で分かった」というニュースが読売オンラインで流れていました。もっと嫌なニュースも流れています。ライブドアによる企業買収にかかわったとされるエイチ・エス証券の野口英昭副社長が18日午後、那覇市内で死亡したことが今日分かった(神戸新聞)そうです。自殺とか・・・。遺書もなく、嫌な匂いがします。
一部上場廃止というフライングの報道も流れ、東証は否定しましたが、マスコミのヒートアップはすさまじく、ほんとうにマスコミ各社が捜査の実況中継に走っているような様相で、さらに、そこに便乗してるんじゃないかと突っ込みたくなるコメンテーターも登場。好き勝手なことをいいはじめています。
「もっと冷静になれよ」と言っても、所詮無理な話でしょうか。
今回のライブドアに関しては、東京地検特捜部と証券取引等監視委員会の合同捜査ということですが、どう見ても東京地検特捜部が主導で動いたと思われます。何か変だなと感じていたのですが、突然刑事事件として捜査が入ったというのはどうも違和感があるのです。なぜもっと早く証券取引等監視委員会のチェックが働かなかったのかという疑問です。
今回のライブドアショックの本質は、ITバブルがどうだとか、ライブドアの経営戦略がどうであるとか、時価総額の高さを利用したM&Aの是非ではなく、東証のシステムが時代についていない代物であり売買を停止せざるをえなかったことと、証券取引等監視委員会のチェックが働かなかったということではないかと思えてならないのです。日本の証券取引システムの信頼が揺らいでいる。しかもそれが海外にも影響したこと。こちらのほうが深刻な問題じゃないでしょうか。
昨年末に、元財務大臣、東洋大学総長の塩川さんが東京財団で行われた講演講演内容が日経ビジネスのSaftyJapan2005に掲載されています。塩川さんらしい切れの良いお話です。そのなかで、とくに日本の「官」は、プランとドゥーの機能はあるけれど、その結果をチェックし、またアクションに還元するしくみが弱すぎるという指摘をされ、証券取引等監視委員会の問題にも触れていらっしゃいます。
証券取引等監視委員会の人数はいまおよそ300人です。一方、上場している会社は、ベンチャー市場など全部入れたら5000社を超えているんです。それを300人で監視しろといっても無理な話です。
ちなみに「米国の証券取引等監視委員会は、私が聞いたところでは6000人いる」のだそうです。今回は塩川さんの懸念が現実問題となったわけですが、ライブドアを追いつめてそれで終わりじゃあ、日本の証券取引の信頼性を回復のためには、何の解決にもななりません。建築強度偽装事件も同じことです。
さまざまな制度が時代遅れになってきています。財政再建のための構造改革だけでなく、公正で信頼できる社会の再構築のためにも構造改革も必要だと言うことを痛切に感じる今日この頃です。
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