現場のパワーの低下が気になるということをよく耳にするようになってきたように感じます。しかしどうもこれは日本だけの現象ではないようです。現場力は、ある業務を改善したり、成果を生み出す現場のパワー、つまり仕事の遂行力ですが抽象的なようで、現場が元気なのかそうでないかということは、気をつけていれば感じることができ、いち早く手を打つことができます。

現場力が落ちてきたと感じるとき、つまり現場に元気がなくなってきたと感じるときは、かなり要注意です。やがては業績にも影響がでてきます。そんなときは、現場の人たち個々の問題だけでなく、業務そのもの、つまり仕事の仕方に、市場の変化とズレが生じてきたとか、同じことかもしれませんが、どうすれば仕事の成果がだせるかということが見えなくなって、現場も悩んでいる、つまり、頑張れ、しゃんとしろということでは解決しない問題が潜んでいると考えた方が健全だという気がします。

一般的に、単純な肉体的能力でいえば3倍の差をつけることは難しいといわれています。オリンピックでの100メートル走で、9秒台で走るスーパーアスリートがいたとしても、27秒で走る能力を持つ人はいくらでもおり、ゴルフでプロが300ヤードを飛ばせるといっても、普通のゴルファーでも、ピッチングウェッジでも100ヤードは飛ばせまます。
つまり、みんながオリンピック選手になれるわけではないので、根性とか、体力では、頑張ってもカバーできるのは、せいぜい1.5倍とか2倍ということです。しかも、はっきりした成果がでてこないとそんな頑張りも長続きしません。高度成長期には、その1.5倍とか2倍で他社に大きく差を付いたり、他の人よりも成果をだすこともできたのですが、しかしそういう分野は激減しました。

しかし専門的な知識や能力ということなら別です。いくら頑張っても、普通の人は半導体の設計ができるわけではありません。そんな難しい世界でなくとも、たとえばば営業でも、市場の動きの知識、製品やサービスがどのようにお客さまに役立つかなどの知識があり、魅力的な提案ができるかどうかは、誰にでもできるというものでもありません。知識や知恵、専門能力が怖いのは、100倍、1000倍、あるいはそれ以上の決定的な差が付いてくるということでしょう。

しかし、やっかになことに、知識とか知恵を蓄積し、それで差を付けるというのは、個人的努力だけでは限界があるということです。実は、体力勝負よりも、組織的にやらないとできないとか、ビジョンやミッションが見えていて、何をすればいいかが見えているとか、情報を共有しあって効率よく学べるとか、また違った方法や努力が必要なのですが、ついつい頑張れといいたくなるのです。
それはいつでも言えることなので、いちど、ほんとうに現在の仕事の仕方がよいのかどうかという点検をやってみると案外、違った解決法が見えてくるように思います。そういった視点で仕事や組織を眺めかえしてみてはいかがでしょうか。

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