ヒューザーのマンションから始まり、ホテルにも広がってきた強度偽装事件は、明日、いよいよ証人喚問です。しかし仕掛け人の総研内河が、資産隠しを狙ったと思われる離婚をしたり、突然入院したりとかで往生際が悪いですね。その背後にはさらに怪しげな組織があり、また相続税対策で有名な税理士がいたり、政治家では伊藤公介・元国土庁長官とヒューザーの関係も発覚、さすがにヤバイということで、問題が大きくならないうちに火の粉を振り払おうと自民党森派も、ヒューザーや日本ERIなどから受けた政治献金を返却しました。
さらに検査機関に大量の天下りがあり、住宅保証機構という天下り先をつくっていたり、もう魑魅魍魎の世界という様相になってきました。
でるべき役者がどんどんでてきて、さあ大変ということですが、そういった裏事情を暴き続けている「きっこの日記」は書き手が謎のブログで、ニュースソースとしての信憑性はないのですが、アクセスがうなぎ登りで、ここのランキングを見ると、このおじさんも影が薄くなってしまっているようです。

また、テレビ朝日が、住民が建設を反対しているマンション、住民自身がビデオに収めた恐ろしい手抜き工事の実態を報道していました。杭をビスで止めずに、穴に泥を突っ込んだだけで、つまりきちんと杭をつながずに杭打ちをするという光景です。しかもチェックしたと偽装するシーンまで映されていました。
それも酷いのですが、さらに酷いのが行政の担当者です。住民が工事差し止めを求め、行政と交渉するのですが、なにも手を打たないのです。音声が流れていましたが、まるで仕事をする気持ちがありません。税金泥棒というよりは、それを通り越して犯罪の片棒を担ぐ一味としかいいようがないですね。これも相当悪質で酷いねと思っていたら、こちらのスクープ記事が発信源だそうです。
さまざまな役者が揃い、出るべき膿で、まだ出ていない特殊な世界がありますが、これもやがて別件で表面化してくるかもしれません。ただ闇に隠れるプロなので難しいでしょうか。いずれにしても膿を出し尽くしてしまわないと、この業界の体質改善は進みません。

本来、建築というのは、社会的資産をつくり、人びとの経済活動や暮らしを支え、豊かな社会形成をめざす重要な産業ですが、こういった酷い事件が起こってきたのも、しくみの後進性があったからでしょう。どう考えても制度が、天下りのために考えたのか緩いですね。

今回の事件を機に、それこそ抜本的な構造改革をやってもらわないと困ります。ついでに言わしてもらえば、この際に根本的に制度の見直しをするとすれば、一歩進んで、安心、安全という品質だけじゃなくて、誰もが利用でき、誰にとっても使いやすいというユニバーサル・デザインの視点から見た品質も担保、あるいは向上する制度も視野にいれるべきだと思います。
回転ドアで事故を起こした六本木ヒルズが象徴するような表層的にカッコイイだけで、ユニバーサル・デザインの視点から見ると欠陥だらけの恥ずかしいビルに建築許可を与えてはいけません。あの回転ドアも男の子が亡くなる前から、危ないという指摘もありました(「ユニバーサル・デザインの視点から見ると欠陥だらけの恥ずかしいビル」)。

日本は、地震国という厳しい立地であり、だからこそ、本来なら建築の技術や品質管理で世界一であらねばならないはずだし、スピードでも規模でも世界のトップクラスで高齢化社会に向かっていっているのですから、ユニバーサル・デザインのクオリティでも世界一であって欲しいものです。


当面は住民の救済はどうあるべきか、また犯罪の立件に焦点があたっていくでしょうが、そろそろ犯罪の追求は司直にまかせて、政治家は法制度や建築の総合的な品質を担保し保証するしくみなど、根本的な制度設計に全勢力を傾けて欲しいですね。あっ、そうそう、ローンと家賃の二重払いでお先真っ暗といっている被害者の人がいますが、本当にそうなのか、よ〜く調べてみる価値があるように思います。これ以上は自分で考えて下さいね。

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