パソコン用ディスプレーのイーヤマが、178億7800万円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法を申請し保全命令を受けたそうです。PCのディスプレーでは、iiyama のブランドでなじまれ、PC市場の成長に乗ってPC本体の製造販売にまで手を広げていましたが、そういえばこの数年は、あまり目立たなかったですね。それ もそのはずで、2001年には約614億1600万円あった売り上げが、2005年にはなんと約119億5300万円にまで落ち込んでしまっていました。 たった4年で売り上げが2割以下ですか。地獄としかいいようがありませんね。e-yamaブランドのもとに、サプライチェーンマネージメント(SCM)でコスト競争力の強化や調達元からダイレクトに各国市場へ販売するスピーディーな展開をめざすという努力をはじめたもののリカバーできなかったようです。
PCも、周辺機器市場も急速度にコモディティ化し、価格がどんどん下落するばかりで、差別化もきかなくなり、消耗戦ののような激しい競争が繰り広げられる状況に耐えられなかったということでしょう。
し かし、このことはイーヤマだけの問題ではありません、モノづくりが強みである日本にとっては深刻なことです。イーヤマは、液晶パネルで、EMS (Electronics Manufacturing Servces:電子機器受託生産サービス)を行なっていたということですが、ただでさえ利益を出すのが難しいエレクトロニクス分野で、製造はさらに利益 を出すのが難しいビジネスです。そういえば、サンヨーもデジカメでOEMをやるなど製造に偏りすぎた会社でした。今や地獄のようなリストラに突入したよう です。
スマイルカーブといって、デバイスとサービスや小売りが儲かり、中間の製造は儲からないといいますが、昨今はデバイス側も決して楽にやっていけるとは限らず、小売りやサービスしか儲からないという時代になってきてしまったように感じます。
デ ジタル家電分野は、日本の産業を牽引する柱のひとつですが、大きくパラダイムを変えないとやっていけない時代になってきたということを象徴する出来事では ないでしょうか。原理からいって、収益の取り方を変えるという視点や発想から事業を見直していかないとコモディティ化という地獄からの出口は見えてこない ように思います。
そんなニュースの一方で、東京株式市場の取引が急増し、8日の東京証券取引所第一部の売買高が過去最高の45億株となり、バブル期を超える水準になっただけでなく、ニューヨーク証券取引所とナスダックの合計をも上回ったという記事が日経の一面を華々しく飾っていました。
ネット投資家が牽引している見出しでしたが、世界的な金余りのなかで、政権も安定し、景気が回復し始めた日本に、そんな余剰マネーが集まりはじめたということであり、資産デフレが解消することは結構なこととしても、いつまでも続くという保証はありません。
巨額の政問題を抱え、また肝心のモノづくりの世界で大きな転換点を迎えているということや、今後の重要な産業の牽引車となる通信やネットの分野で、世界に通じるような競争力のある技術が日本からはでてこない現状を考えるとなかなか手放しでは喜べないものがありますね。

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