知り合いの人が、近所でアスベストがむき出しになっている建物を発見して、市役所に通報、相談したところ、担当が違うとたらい回しにあって、挙げ句の果ては、民間の調査機関で調べてもらってくれと会社を紹介されたという信じられない話があったのはつい先月のことです。地方もアスベストに対しての対処、また対策の方針づくりが遅れていおり、指導もないので、例のごとく疫人の病的な習性をむき出したということでしょう。
アスベストは、発病までの潜伏期間が15年とか40年、50年とと長く、潜伏期間が長く、労災請求の時効になってしまったというケースも珍しくないぐらいですが、高度成長期の「静かな時限爆弾の導火線に火がついた」といわれるほど、これからどんどん被害が拡大してくることが懸念されています。高度成長期に建てられた大量の建物が老朽化し、立て替え時期に入ってくると、その解体工事でさらにアスベストが大量に飛散する状況が想定されるからです。
しかし、このアスベスト問題は、日本の縦割り行政の歪みとか、政治も行政も国民に目を向けるというよりは業界の立場に立ってしまって対処が大きく遅れたようです。それは発展途上国型からの体質そのものであり、まだまともな先進国になりきれていない行政や政治の後進性によって、潜在的な被害が広がってしまったことが徐々にあきらかになってきています。
アスベスト問題は、日本でどんどん使い続けていた頃には、海外では規制の流れになりました。すでに1981年のアメリカで、アスベストの危険性を何十年も前から知りながら無視して製造を続け、労働者や消費者の健康を危険にさらしたとしてマンビル社が懲罰的な賠償を命じられたのを機に、欧米でアスベスト規制の動きが盛んになり、欧米ではアスベスト使用が激減します。全面禁止は、ノルウェイが84年、オランダ91年、ドイツ93年、フランス96年ですが(殺人繊維アスベスト禍を30年以上放置した「国の大罪」)、日本では2008年にずれ込むそうです。
残念なのは、日本はアスベストの普及が欧米より遅く、すでに海外で被害がでてきてから、それを無視して使用量をどんどん増やしてしまったことです。環境庁も労働厚生省もアスベストの危険性を認識していたにもかかわらず問題を放置し、業界が経済産業省や自民党に働きかけ、その後押しをしてしまったという構図です。92年に、アスベスト規制案が審議もしないで廃案にしてしまった自民党の責任も重いですね。環境省も、労働厚生省も、海外でも被害が多発したことをわかっていながら、手をつけず放置してきたことは、問題があると分かっていながらなにも手をつけない無作為が問われない日本ならではで、薬害エイズと同じように疫人の犯罪という色彩も濃厚になってきています。
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神奈川の社労士です。
労災法の時効はたしかに5年ですが、国も特別立法も含め色々と対応を検討中とのことです。いずれにしても9月頃 なんらかの方針が固まるようですね。TB貼らせて頂きました。