ワールドが経営陣による企業買収(MBO)を行い、株意識を非上場にするという発表を行ったことが注目されています。思い切った決断だと思いますが、アパレル産業という特徴を考えると理にかなった選択かもしれません。
アパレルというビジネスは、もともとリスクが高いビジネスです。流行によって売り上げが大きく左右されます。売れ残ると二束三文でしか売れません。二束三文だって売れるとは限りません。しかし、売れ残らないと確実に儲かります。生鮮食品、またPC、デジタル家電のビジネスも同じことがいえるのでしょう。
しかも、アパレル産業は、やりようによっては儲かるけれど、どんどん成長していくわけではないですね。多角化するといっても、アパレル産業の強みを活かせる分野がそう簡単に見つかり広がっていくわけでもありません。
そう考えると、規模の拡大よりは、堅実に利益をだしていく経営、リスクに備え資産、特にキャッシュを蓄えておく経営という選択も当然ありえるわけですが、それでは、機関投資家の狙いとは違ってきます。
もともとは、生産も統合しようとする経営に株主から、在庫リスクを背負うようなものだとクレームがつき、株主からの細かな注文を嫌ったということもあったようですが、売れ筋をすばやくフィードバックして生産するというクイックリスポンス体制では、問題になるのは生地の在庫であり、縫製段階では問題にならないような気がします。
リスクに向き合って、リスクを減らしていくことが勝利の方程式だという判断が、寺井社長の決断の背景にあったのではないでしょうか。
上場企業が上場廃止するというのは、アメリカでは、古くはヘンリーフォードがやったそうです。売れたために、利益を顧客に還元しようとしたところ大株主であるドッジ兄弟から株主へ還元すべきだと訴訟を起こされ、裁判に破れます。頭に来たフォードが株を買い取って上場廃止をしたそうです。
しかも非上場だったために1929年の大恐慌での被害もなかったというから、経営には何が起こか分かりませんね。

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