以前にも書きましたが、マーケティングが。「売れる」しくみづくりだとすると「儲かる」しくみはビジネス・モデルといいます。昨今は、売れても儲からないという分野がどんどん増えてきています。デフレの圧力が重くのしかかってきています。販売量を伸ばそうとすると厳しい価格競争に巻き込まれます。昨今は、「売れる」ための知恵や工夫だけでなく、「儲かる」ためにはどうしたらよいのか、どうやすれば利益がでるのかをも同時に考えざるを得なくなってきました。
「儲かる」しくみをしっかり持っている会社はあります。しかし、「儲かる」しくみ、つまりビジネス・モデルは、華やかな新商品や広告といった目に見える形ではないので、なかなか気が付きません。では、どんな「儲かる」しくみがあるのでしょうか。
まず、コピー機やプリンターを例にとってみましょう。ハード(機器)のほうは、技術革新が急ピッチです。厳しい競争も繰り広げられています。その結果、どんどん高機能化が進んでいますが、価格は下がる一方です。では、儲からないかというとそうではありません。ハード(機器)では利益がでなくとも、実は消耗品で利益がでてくるのです。ハード(機器)が売れれば売れるほど、それを追いかけてトナーやインク、さらにペーパーといった消耗品が売れていきます。広告をする必要もありません。ハードのように厳しい価格競争に晒されるわけではないので、安定した大きな利益が生まれてきます。同じようなパターンでは、携帯電話などそうですね。携帯電話は、通信費で稼げます。今人気のDVDレコーダは、DVD-RAMやDVD-Rで稼げます。
「継続利用料モデル」とでも名付けましょうか。インストール・モデルともいわれています。消耗品ではなく、それがサービスという場合もあります。業務用のコピー機やプリンターは、消耗品に加え、保守契約のサービスでも利益があがります。車も、販売後に修理や車検などで利益がでます。しかも、それが顧客管理にもつながってきます。相乗効果ですね。業務用のボイラーもそうです。クリーニング屋さんはボイラーが故障すると仕事にならないから、お金をかけてでも、保守サービスを契約します。
「生鮮食品モデル」というにふさわしい「儲かるしくみ」があります。例えば、DELLコンピュータです。DELLの会長の「コンピュータは生鮮食品と考えなければならない」だという発言を記事で見たことがありますが、まさしくそうですね。夕刻にスーパーに行くと、生鮮食品に、半額とかの値引きのシールが貼られています。売れ残ると、価格がどんどん下がり、最後は廃棄処分しなければならなくなります。コンピュータもそれと近い世界です。だからDELLは、「作ってから売る」から「注文を受けてから作る」というしくみで成功しました。
アパレルの世界も同様です。なにが売れるかがつかめません。しかも、流行はどんどん変化していきます。在庫が残ると、翌年には売れません。逆に言えば、在庫が残らなければ、非常に高利益なビジネスとなってきます。それを実現したのがSPAという業態です。SPAというのは、メーカーが店舗の運営をダイレクトにおこなうビジネスです。販売データを元に、きめ細かく販売予測を行い、売れるものを、短納期で追加生産していくという方式です。極端に在庫が減ります。
いかにも簡単そうですが、生地そのものは、簡単に追加生産できないので、生地屋さん、縫製工場などの供給元と連動するしくみ(サプライチェーン・マネジメント)がしっかりしていないと実現できないビジネスです。
まだまだ、ヒントになるビジネス・モデルがありますが、機会を見て紹介していきたいと思います。