新しい事業の種や、新しい発想の商品またサービスが、なかなか自社から生まれてこないと嘆く人たちがいらっしゃいます。それは、きっと、新しいアイデアを考えたり、仕事の中でアイデアのヒントを探すという問題意識が薄いからだと考えます。しかし、多くの場合は、社内に革新的なアイデアを育てるしくみやノウハウがないことのほうが原因です。
こう考えるといいと思います。組織には、革新的なアイデアを実行しない、いくつものメカニズムが働いているということです。現場は、目標を持っており、それを確実に達成しようとします。不確実なことを排除して、できるだけ効果が見込める方法を採用しようとします。そうやっていくうちに、いつの間にか、新しい発想のアイデアを検討することすらしなくなっていきます。現場は保守化しやすいのです。
また、キャリアを積んだ人たちからすると、新しいアイデアはいかにも稚拙に感じます。だから、親切心で、いろいろアドバイスをしようとします。「失敗への道は、『善意』で舗装されている」という格言のように、さまざまなアドバイスを受けているうちに、未完成な点ばかりがクローズアップされ、新しい発想のアイデア実行されることなく消えていきます
新しいアイデアを実行にまでもっていくには、まず、そういった組織のメカニズムから遮断する必要があります。業界の革新は、多くの場合、その業界のなかの主役の企業からは起こっていません。革新は周辺から起こってきます。その業界から見ると、まるで素人ような会社とか弱小の会社が、新しいことをはじめ、気がついてみると手をつけられないほど基盤をつくってしまっているというのが普通なのです。なぜかというと、そういった素人のような会社、弱小の会社が新しいことを始めても、業界の主役の会社は無視します。どうせ成功しない、成功したところでたいしたことがないと判断します。だから、素人のような会社や弱小の会社は、攻撃されることも、厳しい競争に巻き込まれることなく、すくすくと育っていくのです。
ニッチという言葉があります。ニッチは『棲』のことです。敵から攻撃を受けない、安全な場所を『棲』として子供を生んで育てます。同じように、アイデアは保護しなければ実行もされないし、育つこともありません。
さらに、アイデアを評価するのは、社内ではなく市場です。最初は、稚拙なアイデアも市場でもまれていくうちに磨かれてきます。これまでの仕事では、気がつかなかったさまざまな顧客ニーズに出会ったり、経験のない課題にぶつかり、それを克服していくうちに、新しい知識やノウハウが得られるのです。成功させようと力むから、一歩が踏み出せない。失敗覚悟が必要です。
だから、アイデアを評価する際に大切なことですが、こまかなことは議論しないことです。議論させないようにするといってもいいかもしれません。
重要なことは、コンセプトがよいかどうかだけです。あとは、どのように実行に移す為に行動すればよいかというシナリオづくりに集中すればいいのです。ただ、新しいことは失敗のリスクも当然高いので、どうなれば撤退するのかという基準ははっきりさせておく必要があります。そうでないと、失敗から社員の人たちを救済することができなくなってしまします。
どんどん新しいアイデアにチャレンジしている会社には、こういったアイデアを実行し、また育てていくしくみやノウハウがあるということです。

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