最近でこそ、マーケティングへの理解が広がり、また深まってきましたが、ちょっと前までは、いろいろな誤解がありました。特に「プロダクト・アウト」と「マーケット・イン」ということへの考え方です。「プロダクト・アウト」というのは、これがたまたまつくれるから、つくって売るというということです。「マーケット・イン」はお客さまの求めているものを、つくって売るということです。
実際、いまだに売り手の思いこみとしか思えない商品を売り出して失敗している例は後をたたないのですが、逆に、こういうものが売れている、これが売れ筋だということで製品をつくってもなかなか売れません。お客さまは二番煎じでは評価してくれません。この傾向は情報化が進むにつれて強まってきています。ちなみに、二番煎じのことを、マーケティングでは「Me too(ミー・ツー) 」といいます。「Me too」ではなく、「Only one」か、すくなくとも「New one」でないと売れないですね。売れ筋を後追いすることが「マーケット・イン」でないことはいうまでもありません。
ここまでは、あたりまえじゃないかということですが、ではお客さまがもとめていらっしゃって、本当に買っていただけるものはなにかですが、簡単に分かるのであれば苦労はしません。
アンケート結果や、市場動向のデータを分析しても、ピンポイントでお客さまが求めていることがわかるわけではありません。お客さまは自分が望んでいることのおよそは教えてくださいますが、どうすれば満足していただけるのかとか、どんなものが新しいと感じ、どうすれば欲しくなるかまでは教えてはくれません。たとえば、スーツを買おうとお店に行って、「お客さま、どんなスーツをお探しですか?」と聞かれてもおよそのことしか言えないですね。そこからは店員さんの腕の見せどころです。お客さまのこころのピンポイント、つまり琴線に触れないと買っていただけません。
マーケティングも同じで、そこからがマーケティング・チームの腕の見せどころです。いろいろなアイデアを練って、仮説としてコンセプトをまとめ、お客さまにこれではどうですかと反応を見るしかありません。つまらないアイデアだとお客さまも退屈です。いいアイデアだと瞬間に顔の表情がぱっと変わります。
それを、大きなリスクをかけて実際の市場で確かめるのか、リサーチで確かめるのかは、どうぞお好きなようにというしかありません。ただし、これだけは言えます。「マーケット・イン」の思想がない製品は、かならずといっていいほど基本をはずすのです。基本がはずれた製品は、話題にはなっても気がつくと店頭から消えていきます。ライフサイクルが短いのです。お客さまは、やはりよくご存じです。

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97回目の投稿でした。