コンシューマ分野の商品で、「市場」といった場合、それは普通生活者の市場、つまりエンドユーザー考えます。しかし、今日は、市場といった場合、小売店などの流通市場と生活者の市場との両方を想定したマーケティングが必要になってきました。
一般に、営業の最前線からの声は、流通の状況や流通のニーズを教えてくれます。しかし、気をつけないといけないのは、それは必ずしも生活者のニーズやウォンツではないということです。
これまでの経験では混乱しているひとが結構多いように思います。
かつて、ダイエーの中内さんが、小売業は生活者に一番近いところにいるから、生活者のニーズやウォンツが一番分かるとおっしゃっていましたが、決してそうではありません。
対面販売している店ならいざしらず、セルフのスーパーで、わかることといえば、売れ筋情報、つまり結果論だけです。それは、今日では、さまざまなデータでメーカーにも分かることです。
生活者を知っているからではなく、小売店も、メーカーを選択する時代だからこそ、小売店の声に逆に耳を傾け、どうすれば、選択していただけ、また注力して売っていただくかを考えないといけなくなってきているということです。
かつては、メーカーのほうが小売店よりもイニシアティブを握っていました。だから、家電メーカーに代表されるように、自社系列店を組織し、コントロールできました。
いまや、それはありえない。小売店がイニシアティブを握るようになってきました。
しかし、小売店のニーズを満たしたとしても、実際の店頭で生活者のひとびとに選んでいただけなかったら、その商品は売れません。
今日のマーケティングが難しくなってきたのは、小売店と生活者という二つのハードルを越えていかなければならなくなってきたことではないでしょうか。