No.10
インターネットはカオスの世界

カオスという言葉から、「混乱」「混迷」といったマイナスのイメージを連想される方も多いと思います。しかし、カオスという言葉には、「誕生」とか「生成」といった、これから何かがうまれてくるぞっというエキサイティングな意味合いがあります。

まずは、カオスとういうのは、ちょっとした、最初のほんのちょっとした微妙な変化が、やがてとんでもなく大きな現象となってくるという性格をもった世界という考え方です。たとえば、熱帯で蝶々が羽ばたきする。それが、小さな上昇気流を巻き起こします。さらに、それが引き金になって、十分に暖められていた回りの空気の上昇気流を巻き起こす。どんどん広がって、ハリケーンとか台風に成長していくというものです。

ほんの小さなガレージ・メーカーであったアップル・コンピュータがやがてPCの世界の巨人となった。BASICという言語でプログラムを作っていた小さなマイクロソフトも、いまや大巨人。インターネットでの書籍販売から、どんどん取り扱い分野を広げていったいるamazon・comも、ほんの数年前は、4人でスタートした小さな会社に過ぎなかった。情報革命やインターネットの世界では、小さな企業が生まれ、それがダイナミックに成長して、社会に影響を与える企業に成長していくという世界がいくつも見ることができます。まさにカオスの世界です。


また、生物の世界では、ちょうど6億年ぐらい前のカンブリア紀に、それまで原始的な単細胞生物しかいなかった地球上に、突然多細胞生物が、まるで爆発したかのように誕生しています。これは、その時期に何らかの地球上の変化が訪れ、それが、激しい遺伝子の変化を生み出したからだという説明がなされるようになってきています。水という状態から水蒸気という状態に移るとき、水の分子は活発に運動します。ちょうど、そのように、ある世界から、別の違う新しい世界に移るとき、その境界線で、遺伝子と遺伝子が、激しくぶつかり合い、また融合して、働きあっているうちに、新しい世界が生み出されてきたというものです。

今の工業化という世界から情報化という世界に移る丁度まぎわに、さまざまなビジネスが突然、堰を切ったように生まれてきています。インターネットの世界をそう眺めてみると、面白いですね。おそらく、さまざまなビジネスが、合併したり、お互い影響しあって、また新しいビジネスを生み出すというダイナミックなカオスの世界が、どんどん広がっていくという構図が見えてきます。

大きな「変化」はまさに、脅威ですが、チャレンジする心があれば、いろいろなチャンスも生まれてくるということです。まざにカオスの世界は、誕生の世界であり、ほんの小さなアイデア、またビジネスが大きく成長する可能性を孕んだ世界です。
インターネットの急速な普及からいって、今年は、日本でも、インタネットという蜘蛛の巣に、カオスの世界が見えてくることは間違いないと思います。