TVで漫画家の黒鉄ヒロシさんが、ライブドアの堀江社長を批判し、「文化はお金でチャリン」と買える世界でないとおっしゃっていました。しかし、実はそんな考え方が文化を生み出すクリエーター達を脅かします。「文化もお金チャリン」がないと育ちません。文化を買ってくれる人がいるから、クリエーターは創造活動を続けていけるのです。
黒鉄ヒロシさんが、「文化はお金チャリン」の世界でないとおっしゃるなら、著作権料を放棄なさればいい。どこか自給自足で暮らせるところに行って、お金から離れて純粋に創造活動をやればいいのです。

日本は、クリエーターにとって決して恵まれた環境の国とはいえません。どちらかというとコンテンツを生み出すクリエーターの立場が弱く、コンテンツを流す映画、TV、ラジオ、レコード、出版会社などの流通が主導権を握っているというのが実態です。だからクリエーターは「武士は食わねど高楊枝」みたいな意地がないとやっていけないというのが現実でしょう。

思い起こしてもらいたいのですが、流通の権益をかたくなに守りつづけ衰退しつづけてきたのが日本の映画産業です。そもそも制作も配給会社がほとんどを握っていました。流通第一主義がもたらしたのは、映画スターに極端に頼り、極端に安い制作費で映画を量産・乱発して映画をつまらなくしたということでした。現在のTVの世界にどこか似ていると思えませんか。どのチャンネルも、同じタレントがぐるぐる回るだけ、同じような内容の番組を垂れ流しているように感じてしまいます。企画や制作にお金をかけているようには思えない番組が多すぎますね。

日本の映画産業も、今ようやく復活の兆しが見え始めてきています。それも自力で復活したのではありません。シネマコンプレックスという黒船がやってきて救われたのです。このシネコンも映画産業から猛烈な反対があったのです。
シネコンによって激減していた観客が戻ってきたとはいえ、まだ利益配分は昔のままで、クリエーターには相変わらず配分が小さく、クリエーターが育つ環境ができてきたというまでには至っていません。

いい映画が生まれる環境と、より便利で快適に鑑賞できる映画館が広がらないと映画が発展しないように、いいコンテンツを生み出す環境と、それを見たり聞いたりするメディアの広がりがバランス良く発展しないと番組も発展しません。ニュースも同じです。
今、日本はインターネット通信が急速度に発展してきています。それは映画のシネコンの登場以上に、コンテンツの流通を広げようとしています。しかも、インターネットは、映画、ゲームといったコンテンツ業界の垣根を越えていく可能性を秘めています。いろいろ可能性はあるのですが、よりよいコンテンツが生まれる仕組みは未だに見えてきていません。
しかし、確実に言えることは、コンテンツに対してより高いニーズを持っている勢力が、コンテンツを生み出すクリエーター達により有利な仕組みをつくりだすということでしょう。技術はどんどん発展していきますが、クリエーターが報いられ、コンテンツ産業がより高度な産業として育っていかなければ、日本の「ユビキタス」の明日は見えてきません。

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