事実は小説より奇です。ライブドア対フジテレビの攻防では、フジテレビは起死回生の手を使わない限り勝ち目がなさそうだと一昨日書きましたが、その奥の手をニッポン放送、フジテレビは使いました。フジテレビを割当先として新株予約権を発行すると発表しました。
ニッポン放送が、フジテレビにしか買えない新株をどんどん発行して、ライブドアの持つ株比率を大きく下げようということです。サッカーで言えば、PK戦で、競り合っているゲームで、突然こちらだけ何回でもボールを蹴ることができるようにするようなものです。
ライブドアは、差し止め申請を行い司法の場に持ち込むとし、フジテレビ側も受けて立つとしていますが、もし司法がこの新株予約権の行使を認めるとどうなるでしょうか。取締役会の議決で、敵対的な企業買収を阻止する奥の手となります。しかし、一方では、市場を歪め、株主が損害を被るだけでなく、経営者は何をしても構わないということになってしまいます。

さて、企業買収に関しては、商法を改正によって日本も国際ルールなみになります。これは、より企業再編をしやすくしようというのが本来の主旨ですが、企業買収が容易になり、敵対的な買収の脅威に企業が晒されます。当然、企業側も防衛手段が海外並みにもてるような商法改正が検討され始めたところです。
しかし、これは結構頃合いが難しいのです。過度な防衛策を認めてしまうと、会社の経営者はなにをしてもかまわないということにもなり、株主の監視もきかなくなってしまします。今回のニッポン放送、フジテレビがとった方法は、そのもっとも極端な方法で「毒薬条項」ともいわれる手段です。
今回は、企業買収を行い、売りさばいて儲けるという買収に対抗するというのではなく、ライブドアが気に入らないと言うだけでこういった手段を行使できることを認めてしまうというのはちょっと疑問ですね。

恐らく、フジテレビ側は、この新株予約権という切り札を切りましたが、きっと意図は別の所にあると思います。揺さぶりではないでしょうか。実際に、それをしてしまうと、フジテレビは道義的にも社会から批判されることになります。市場を無視するということは、「公器」という名でおこなわれる暴力になってしまいます。フジテレビ側もわかっているでしょう。
しかし、ライブドアが、この新株予約権が発行される3月25日までに51%の株を取得すると、この予約権発行を阻止することができます。さあ、どうなるでしょうか。目が離せません。

ただ、政治家がいろいろ発言しているようですが、よけいな介入は慎むべきだ思います。個別の問題に首をつっこむのではなく商法改正問題でしっかり議論することが立法府の本来の仕事です。なにか裏に利権があるとしか見えません。
この攻防は本当に勉強になりますね。

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