すぐにはできなくとも、意識して積み重ねていくなかで鍛えることができ、身に付いていく大切な能力が3つあると書きました。今日は最後の「人や組織に働きかけ、動かす能力」について考えてみたいと思います。
優れた営業の人はお客さまとの対話を通して、お客さまが購入する決心をするように見事に導いていきます。しかもお客さまに後悔させません。しかし、そんなことが最初からできたわけではありません。お客さまとの折衝を積み重ね学んできた結果です。もちろん才能によっても差はでてくるかもしれませんが、営業である限り誰もが身につけなければならない能力です。
営業に限らず、ビジネスでなにかを成し遂げていくためには「人や組織に働きかけ、動いてもらう」ことが必要になってきます。どんないいアイデアやプランがあっても、人や組織が動いてくれなければ実行できません。
会社を動かすマネージャー
リーダーとしての立場になるとますます人や組織に働きかけ動かしていかなければならなくなってきます。その点で、経営学の研究で面白い結果があります。どんなマネージャーが部下から信頼されるのかということですが、面倒見がよいとか自分たちの気持ちを理解してくれるとかということでなく、会社に働きかけ、、自分たちのアイデアや提案を会社や他部門に通したり、会社や他部門を動かして、予算もとってきてくれるマネージャーだそうです。つまり会社や他部門への影響力だということです。
さて、人や組織に働きかけどんどん問題解決してい人もいれば、逆に世の中には不満や不満ばかりいって動かない人もいます。不満や不満といった注文をつけていて、問題が解決すればいいのですが逆効果になるばかりというのが世の中です。

問題を自らたてる
いつも受け身で動いていると、人も組織も動かすという力はついてきません。さてどうすればいのかですが、まずは問題を自ら立てるという癖をつけることから始めるのがいいように思います。
どんな課題があるんだろうか、次はなにをしないといけないのだろうかを絶えず考えるということです。WHAT IS NEXT? という言葉がいつも自然に頭に浮かんでくるようになればしめたものです。
ワタミフーズサービスの渡邊社長の手帳は有名ですね。びっしり先の先まで、いつまでに、なにをするかが書き込まれ、また書き足されていくそうです。そこまで徹底するかどうかは別として、いつでも次はなにが仕事のテーマ になってくるかを考える習慣を見につけることだと思います。
なにか解決したい、やってみたいという具体的なテーマやアイデア、またそれを実現したいという思いがなければ、人に働きかけるという動機すら生まれてきません。

一緒に考えてもらう
「巻き込む」という言葉があります。参加してもらうということです。「人や組織に働きかけ、動かす」というと、なにか力づくで説得して、自分の考え方を無理矢理押し通すように感じる人がいらっしゃるかもしれませんが、それで押し通せるほどのパワーを持っている人はそうはいません。むしろ反感を買ったり、一人芝居で空回りになることのほうが多いですね。
巻き込み上手な人を見ていると、いつも相手の人に相談して一緒に考えてもらうということをやっていらっしゃいます。何人かの人と相談しているうちに、相手の人がいい知恵をくれたり、自らはっと気づくという経験はだれでもあると思います。
テーマやアイデアを思いついたら口に出して言ってみるということではないでしょうか。身近な人からでも、人に相談したり、聞いてもらって、一緒に考えるうちに、そのテーマやアイデアがやがて自分だけのものではなくなってきます。多くの人たちの関心事になっていくということです。そうやって、テーマやアイデアを温め、育て、また理解してくれる人が増えてくると、いつの間にか実現のチャンスは見えてくるものです。
もちろん、実行にリスクをともない、大きな決断が必要なテーマやアイデアだとすると、誰に相談し、誰に理解してもらえばいいのかということも重要になってきます。いわゆる根回しです。それも、いつも働きかけをやっていれば、自然と根回しのスキルも高まってきますね。

Let me try!
問題を自らたて、その実現に向かって人や組織に働きかけるということは、まさに「率先垂範」の精神だと思います。そして人や組織に動いてもらおうと思うなら、自らすすんでどう動き、苦労を背負うのか、またすすんで役割を担っていくいう気持ちが欲しいですね。発案した本人が逃げ腰で、評論家というのでは誰も動いてくれません。Let me try ! という気持ちが人も組織も動かすのだと思います。
ただ、いかに自分が発案したことであり、その実行のリーダとなったとしても、参加する人たちこそが主役なんだという謙虚さは失って欲しくないですね。

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