「週間!木村剛」さんのブログの「懲りない人たちは本当に知恵がよく働きます」のエントリーで、このブログをご紹介いただきました。ほんとうにありがとうございます。心からお礼を申し上げます。

さて、エコノミストでいらっしゃる木村剛さんですので、お礼とともに、第三の神話の崩壊という私が危惧している問題のトラックバックをお返ししたいと思います。

私たちはこの四半世紀に、二つの神話が崩壊するのを経験しました。ひとつは「成長神話」です。高度成長期を終えて、経済は右肩上がりに成長し続けるという神話が崩壊しました。第二の神話は「土地神話」でした。土地はもっとも確かな資産だったはずです。しかし、バブルが崩壊してみると、土地はどんどん価格が下落し、銀行は莫大な不良資産を抱え、またダイエーに限らず土地に走った企業は破綻したり大きく傷みました。また株価も下落し、土地と株の資産デフレに日本経済は長い間苦しんできました。
そして、第三の神話が崩壊しようとしています。実質的にはすでに崩壊しているのではないでしょうか。それは「国家神話」です。
国は絶対破産しないという神話の崩壊です。国が財政の赤字で破綻するということは現実にはあります。実際、2001年にはアルゼンチンが破綻しました。しかしアルゼンチンの財政赤字は日本と比べてもっと小さかったのです。メキシコなどこれまでも経済破綻に陥った国はありますが、日本ほどひどい例はあったのでしょうか。専門家のご意見を伺いたいところです。そういえばソビエトは財政が破綻し、国家そのものが消滅してしまいました。

日本は、積もりに積もった財政赤字、その借金をさらに国債を発行して償還するという典型的な借金地獄のパターンにはまってしまっています。普通の感覚ではすでに倒産状態だと言わざるをえません。
以前TVで木村剛さんがおっしゃっていたことと同じかもしれませんが、この財政赤字を解消するには、3つの方法ぐらいしか思いつきません。ひとつは、ハイパーインフレを起こして借金を小さくすること。二つ目は、預貯金を封鎖し、政府が没収して返済にあてることです。三つ目は税金を大幅に増やして返済にあてることです。

経済が回復すれば、税収が増え財政が好転するという人がいますが、それもあてにできるとは限りません。経済が回復すると金利が上がることが考えられます。金利が上がると、政府の利払いがさらに増えます。それによって財政がさらに悪化するだけでなく、金利上昇で国債価格は下落します。国債を抱えた銀行、郵貯などは資産が大きく減少してしまい、これも大変な問題に発展してきます。
また国債も、アメリカのように、海外の日本や中国が買っていれば、まだ救いはありますが、ほとんどが日本国内で買われており、そのツケはすべて国民が直接また間接的に負担しなければなりません。いまさら日本の国債を買うというおめでたい国がどこかにあるのでしょうか。

いずれにしても、この財政赤字の返済を負担をさせられるのは私たち国民であり、民間企業です。政治家が票田を取るために誘導した公共事業、また助成金、公務員の無駄遣いと利権のために積もりに積もってしまった借金を、私たちが返済しなければならないというのは本当に理不尽な話です。しかし、日本脱出を行わない限り私たちひとりひとりに確実に返済が迫られてくるのです。

そういった現実はやがて否が応でもやってきます。政治家も官僚も責任を持ちません。小泉さんも構造改革の旗を掲げたことは正しかったと思います。社会保険庁にしても、道路公団にしても、官僚が天下り先に蓄財させ、とんでもない利権構造を作ってきたことの一部がが発覚しつつあることも成果かもしれません。しかし、現実には財政はさらに悪化してしまいました。改革が中途半端だという思いを持つ人は決して少なくないと思います。2005年度予算の財務省原案で、景気回復に伴う税収増で、新規国債発行額が2兆2000億円減の34兆3900億円と4年ぶりに減少したようですが、まだまだ借金を重ねていることには違いありません。 
これだけ赤字を抱えた普通の会社なら、予算の2割や3割はカットします。もっとかもしれません。当然人員削減もやります。まずは小さくとも再生できる健全な体力をつくります。日本の企業の多くが、痛みに耐えながら、そうやって競争力を再構築してきました。日産もそうやって再生されました。

もっとしっかりメスをいれて欲しいのですが、政治家は自らの身を削ることをしません。国会議員もなんのためにそんなに人数が必要なのかわかりませんが、国会議員を減らすこともしません。自らの痛みを覚悟しないから、官僚の世界にも思い切ったメスを入れることができません。日本は、どうも袋小路に入ってしまったように感じるのです。外圧でしか動かない日本が、自らの力で改革するということができるのだろうかと疑問すら感じます。

第三の神話の崩壊を食い止めるいいアイデアはあるのでしょうか。マクロ経済の素人の危惧に終わることを祈るばかりです。また、本来は、私のようなマーケティングというミクロ経済の世界の人間よりは、専門家であるエコノミストの方々にもっとこの問題を継続的に取り上げていただきたい、すくなくとも私たちが正しい認識ができるようにして欲しいと願うばかりです。

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