えっ、3連敗の間違いじゃないかということですが、「巨人戦日テレ視聴率 あのテレ東に9連敗」というJcastニュースで面白い記事がありました。制作費が巨人戦放映の5分の1近いテレビ東京の「いい旅・夢気分」が放送以降、巨人戦中継に負けなしで9連勝中だそうです。

間違った戦略を正しくやろうとする愚
こうなることはわかっていたはずですが、多くの衰退産業が同じ道をたどったのです。時代の変化を読めず、時代に合わなくなってしまったパラダイムから脱却できずに、まるで恐竜が滅びるように衰退していきます。
そこにあるのは、根本的な変革を恐れ、正しく努力すればなんとかなるという宗教というか楽観主義です。時代の変化を直視せず、チーム強化やファンサービス強化など改善策を打てばなんとかなるという夢を見ているのでしょう。こういうのを、間違ったことを正しくやろうとする愚かな経営といいます。
今から思えば、一昨年のライブドアによる近鉄買収宣言から始まり、楽天の新規参入にいたるプロ野球騒動の中で、プロ野球ビジネスそのものの変革が求められていることを多くの人たちが感じていました。そういった根本的な変革のチャンスもあったはずです。しかし根本的な改革に関しては足並みが揃わず、とくにオリックスと読売が足を引っ張りました。
巨人は視聴率が稼げなくなっているだけではありません。観客動員数もリーグ全体が伸びているにもかかわらず前年割れの状態です。オリックスについても、宮内さんが近鉄とオリックスを合併させるという強引なことをやったにもかかわらず、合併効果は戦績にも、観客動員においてもほとんどない状態です。金融と違って足し算の経営はなりたたなかったということです。これも貸し金業での成功体験を、プロ野球経営に持ち込んだ間違いということでしょう。

読売はプロ野球の癌になりつつある
潜在的にはいまだに巨人ファンが一番多いはずですが、読売は巨人ファンを裏切るだけではなく、プロ野球の足をひっぱる存在になりつつあるというのが現実です。プロ野球は各球団による経営、またマーケティング努力の差がつきつつあり、観客動員数では阪神とパリーグが大健闘しているのですが、球団経営を考えるとテレビ放映による収益が重要となってきます。本来ならプロ野球機構がテレビ放映の窓口となり、視聴率を稼げる対戦カードを柔軟にセレクトして全国放送ができるようにすれば、もっと番組が面白くなり、また戦績によって収入も変わるので、勝つことへのインセンティブがより働くようになります。
しかし、読売はテレビ放映の利権が効力を失ってきているという現実があるにもかかわらず手放しません。いつまでしがみつくのでしょうか。巨人戦を見るのは、かつてのファンだけ、年配の男性だけで、いいスポンサーがつかなくなってきているといいます。
いまやプロ野球そのものの人気づくりが重要だと思うだけに、プロ野球機構がテレビ番組放映のイニシアティブがとれなくしている読売はこの点でもプロ野球界の癌となりつつあるということでしょう。読売、また読売巨人軍の経営陣も現実を直視し、はやく悪夢から目覚めていただきたいものです。

日ハム1位おめでとう
それに比べると日ハムの大健闘は光っています。札幌に本拠地を移した大英断がそもそもの成功要因だったとは思いますが、新庄選手の存在も大きいとはいえ、学校への選手の訪問を含め、きちんと球団努力を重ねてきたことが報われました。新庄選手も新庄らしい泣かせる演出をやってくれました。プレイオフも応援したくなりますね。
サッカーに続いて、プロ野球も地域に根ざしたチーム運営が成功しつつあるというのは喜ばしいことです。発展途上国ならいざしらず、それが本来のスポーツ・チームの姿だと思います。なんでも東京という悪夢から日本も早く卒業して欲しいものです。


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