ブランディング

安易なブランディングが呼んだ生協の危機

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CO・OP手作り餃子 中国製冷凍餃子中毒事件は、いまだに原因がわからないまま、再び「メタビドホス」とは別の高濃度の殺虫剤が、回収された「CO・OP手作り餃子」から検出されたと生協が発表しました。消費者の不安が高まり、冷凍食品全体の売れ行きも激減したと言います。

今回の事件は、生協も被害者であるとはいえ、ミートホープによる偽装が発覚した牛肉コロッケにつづいて、CO・OPブランドの冷凍食品で中毒事件が起こったことで、生協の信頼が大きく揺らいでいることはいうまでもありません。
実際には、ミートホープの偽装食品も、今回の天洋食品の冷凍食品も他のスーパーも扱っていたのですが、生協の場合はCO・OPブランドであったために、事件の表舞台に引き込まれ、また加害者の側に立ってしまいました。

事件の真相がどうであれ、生協がPB(プライベートブランド)商品を増やし「競争優位な価格の実現と事業への貢献を図っていく」という方針を掲げた安易なPB政策のツケが大きくまわってきたということです。生協が、こんな方針を掲げたことは、ブランドはお客さまへの約束であり、また保証だという重みをわかっていなかったということに他なりません。

わかっていなかっただけでなく、ミートホープ事件の反省がないままに、ずるずるとCO・OPブランドの冷凍食品を売りつづけてきたことは、経営の根本的な質の問題だといわれてもしかたないことだと思います。ミートホープ事件のあとに、生協が安易なPB開発を行うと必ず生協の首を絞めることになると書きましたが、怖れていたことがこんなに早く起こってしまいました。
『加ト吉』も『生協』も被害者のはずだけど


しかも、「競争優位な価格の実現」は本来の生協の使命だったのでしょうか。日本生活協同組合連合(生協連)によって各生協がつながっているとはいえ、生協は各都道府県単位、また生い立ちの違う組織が独立して経営しており、集中仕入れや配送の効率ということを考えると、しくみそのものが決して他のスーパー価格競争で勝てないことは誰でもわかることです。
生協も経営の効率化がなければならないことはいうまでもないことですが、本来生協が果たさなければならないのは、他のスーパーより安い商品を売ることではないはずです。無理な安売りは歪みを生み、生協の存在価値を根底から揺るがします。

生協がCO・OPブランドを掲げるなら、、「競争優位な価格の実現」をめざした商品ではなく、会員の人たち、またその家族が安心して食卓にだせる「健康と安心の実現」であるべきだったのではないでしょうか。

今回のあいついで起こった事件は、1世紀を超える生協の歴史に泥を塗ったというばかりか、生協連の人びとが生協の理念を失い、経営が迷走しているということであり、生協とはなにか、生協の使命はなにかという自らの問いかけから再出発しないと信頼回復できない問題だと思えます。もし、仕入れ管理の問題にすり替えるなら、生協はもはや存在理由を失ったといわれてもしかたないことだと思います。
生協さんは普通のスーパーと変わらなくなったという主婦の人たちの声は、生協連の幹部の人たちの耳にはたして届いているのでしょうか。

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小さな会社こそブランド化を

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たとえ小さくとも、独自の技術、独自のアイデアで頑張っている会社があります。きっとみなさまもそんな会社のいくつかをご存じではないでしょうか。昨日の社内の議論のなかで、ブランディングに力をいれればもっと面白くなる会社、発展するだろうという例で議論が沸いたのが、どちらも技術を起点にしている小さな会社「福井洋傘」と「コデラカプロン」でした。

福井洋傘
福井洋傘は、2006年の9月に、トヨタが匠の技として、レクサスの世界にふさわしいとしてレクサスコレクションに採用され、たった十数名の会社が世界のトヨタと取引を開始したということで話題になり、一挙に広く知られるようになりました。
その「ヌレンザ」は福井県の方言で、濡れないということだそうです。
>>LEXSUS Collection

重要なことは、この福井洋傘の「ヌレンザ」は福井商工会議所が実施している苦情・クレーム博覧会で、雨が降った際、電車内などで傘の水滴で服や靴が濡れて困るという声が寄せられたことがヒントとなり、さっと振るだけで雨水をはじく超撥水性の傘ヌレンザが生まれた、しかも福井洋傘は伝統的な蛇の目傘を手作りの技でつくる続けてきた伝統工芸の会社だったという意外性もあって、ものの良さだけでなく、物語性を持っているということです。
ブランド開発にとって重要なのは、物語性のあるとコンテンツがあるかないかということの良い例だと思います。ただ、一応ブログはあるようなのですが、ブランディングについてはレクサスや流通の他力本願というところがちょっと惜しい気がします。
>>福井洋傘


コデラカプロン

カッパー君

知りあいのかたに教えてもらったのがコデラカプロンです。銅には殺菌作用とか、人の体の中で、血液や皮膚、毛髪を作る働きなど不思議な力があります。この会社は銅を繊維にする技術があり、浄水器や靴下、また花粉症対策のマスクなどの製品化がなされています。マスクなどはきっとインフルエンザ対策にも効力を発揮するのではないかと思います。
実際にオフィスで携帯浄水器カートリッジでおいしい水がつくれるというとこで使ってみましたが確かに珈琲やお茶が美味しくなりました。
しかしこちらが残念なのは、使ってみれば良さがわかるのですが、イメージづくり、とくにブランディングが弱く、製品の良さがなかなか伝わってきません。ホームページで購入もできますし、東急ハンズなどでも手に入りますから一度試してご覧になってはいかがでしょうか。
>>コデラカプロン

技術はある、製品化のアイデアもある、しかしモノを超えた物語づくりが抜けているところが惜しいところです。

日本の企業の99.7%を占め、常時雇用者の71.0%が働くなど、日本の経済の中心的な役割を果たしているのが中小企業です。
>>中小企業の定義
しかもマーケットは競争が進展し、ニーズやウォンツが高度化するにつれ、どんどん新たな小さな市場が生まれてきており、小さな市場で、こだわりの製品やサービスが求められてきており、中小企業が活躍するチャンスも広がってきています。
その中小企業が活力を高めていくひとつの鍵がブランディングにあると思います。ブランドはそういった市場に切り込んでいく武器にもなってきます。

中小企業のブランディングは、大企業の多くが展開するマスマーケティングとしてのブランディングではなく、経営戦略、事業戦略と一体化して考えることがコツです。
ひとつには、人びとを惹きつけるのは、もちろん製品やサービスの質もありますが、その会社が描いている夢の魅力です。
さらに、もっとも優れた競争戦略は、正面衝突の競争をいかに避けるかにあるといわれていますが、そのためには、自らの市場での立ち位置をしっかり定め、どのようなお客さまのニーズに応えていくのか、また多くのライバル企業と異なるどのような立ち位置を選び、どのような価値を提供していくのかという選択が重要になってきます。
つまり、自らがなにをめざし、どのような価値づくりにこだわっているかというアイデンティティの問題です。そしてアイデンティティがはっきりすれば、どのようなイメージづくりを行うべきか、どのようコミュニケーションを行えばいいか、さらにどのようなマーケティングを展開すべきかのアイデアもきっと広がってきます。

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中小企業のブランディング

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船場吉兆が再開しました。いったん傷ついたのれん、つまりブランドの信頼を回復するのは並大抵ではありませんが、船場吉兆に限らず、昨年ほど、のれんブランドが揺らいだことはかつてなかったことだと思います。
こういった事態は、もちろん、2004年から施行された「公益通報者保護法」の影響もあるとしても、もっと本質的な問題があったのではないでしょうか。
結局は、この船場吉兆にしても、不二家も、北海道のミートホープも、また「白い恋人」の石屋製菓も、赤福も、自らがどのような会社であり、どのような考え方や振る舞いを消費者から暗黙のうちに期待されており、また守り通さなければならいかということよりも、売り上げの拡大や効率化をはかったことが、経営にさまざまな矛盾を生み、信頼を失墜する問題が発覚したということに共通点がありました。
またさまざまな不祥事が起こったことで、ブランドがいかに購買に影響しているのか、またブランドは、単なるマークやネーミング、また広告などよりも、実際の経営そのものといかに密接に関係していることを感じた人も多かったものと思います。

中小企業ブランドがパワーを持つ時代
しかし冷静になって世の中を見渡してみると、小さな会社、場合によっては個人の新しい個性のあるブランドがどんどんパワーを持ち始めています。嗜好品の世界を思い起こしてみてください。小さいけれど美味しいと評判のパティシエの店に人が並ぶ姿は珍しくなくなりました。かつての老舗ブランドではなく、どちらかというと新興のクラブハリエのバウムクーヘンも売り場には人が並んでいます。
コンビニもデザートなどで個性的な小さなブランドとのコラボレーションを積極的に展開し、清涼飲料でもサントリーやコカコーラといったビッグブランドが、お茶は福寿園や上林春松本店とコラボレーション、ついに携帯でもN705iではドコモがamadanaとのコラボレーションを行なっています。
小さなブランドがパワーを持ってきているのは、一言でいうなら需要が量から質へ向かってきたからですが、ターゲットや焦点を絞って、より本物を提供するビジネスに社会のニーズが移ったことを示しています。

ブランディングは経営戦略そのもの
ブランディングは、経営そのもの、また開発やマーケティングという実際の企業活動とビジネスモデル、さらにコミュニケーションの3つのレイヤーで考えないとうまくいかないことを以前に書きました。それらを貫く軸は、会社がどうありたいか、どうあれば社会にかけがえのない存在となるのかという経営の思想と企業のアイデンティティです。つまりブランディングを考えると言うことは、マークやデザインを考えることだけではないということです。

インターネットが武器になる
もちろんいかに立派な考えを持ち、事業を磨いていっても、それが受け手、つまり潜在的なお客さまの心に響かないと事業は伸びません。そこで経営や事業の「見える化」をはかるということになりますが、かつては、コミュニケーションやプロモーションはマス広告が決め手となりました。しかし今日は、時代状況が大きく異なり、インターネットが武器になってきます。より深い情報を発信しようと企業ブログもどんどん増えてきました。
ほんとうに何が自分にフィットするのかは受け手が検索して探してくれる時代です。小さな会社こそインターネット・マーケティングというか、インターネットを通したお客さまとの関係づくりが生かせます。

このところ相次いで小さな会社からブランディングの相談があり、取り組んできていますが、つくづくマス・ブランドの時代ではないという実感を持ち始めています。どちらかというと比較的大きな企業で、コーポレート・アイデンティティ(CI)戦略やブランド戦略のコンサルティングを長年やってきた経験からいって、かつてはなかった体験をさせていただいています。
ぜひ自らの会社や事業、あるいは自分自身のブランディングはどうすればいいのかをお考えになることをオススメします。

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