ブランディング

無印良品は立派なブランドです。逆風で、また苦労されているようだけど

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えっ!と思う記事がありました。執筆されている人は、マーケティングのお仕事をされている方のようですが、好意的に考えれば、記事になんらかのインパクトをつけたかった、つまり釣りたかったのか、無印良品の強味は、“ブランド”ではなく“雰囲気”だそうです。思わず釣られて最後まで読みましたから一本やられたということでしょうか。ただ、ブランドについて考えるいい材料になると思うので、ご本人には悪いのですが、取り上げてみました。
郷好文の“うふふ”マーケティング:“ブランド”ではなく“雰囲気”――無印良品の強みとは

しかし、変ですね。”雰囲気”も”ブランド”の大切な個性のひとつです。ブランドのコンセプトをお客さまが端的に語ることができるとは限りません。いや語れるとしたら、それはプロの方です。ブランドの個性や価値は、なんとなくこんな感じという言葉、自分にとってどうだという言葉、さらに”イメージ”や”雰囲気”でブランドを感じ取っているのが普通です。”ブランド”ではなく”雰囲気”だと言われてしまうと、ではブランドってなにかのと問いたくなりますね。

またブランドは、そこで働く人たちにとって、商品開発にしても、店舗づくりにしても、広告や販促活動にしても、その考え方、さまざまな判断の基準や尺度になってきます。
そのコアになるのが、自らがなにものか、なにを目指しているのかというブランド・アイデンティティですが、その芯となる考え方は言葉にできたとしても、実際はもっと複雑です。
たとえば、ご自身について、いったい自分自身はなになのかを考えて見てください。そうそう簡単に割り切れるものではないですね。ブランドも大人になってくると同じことです。
現場は、そういったアイデンティティも普段は、”イメージ”や”雰囲気”でとらえていることが普通です。それを暗黙知とも言うのですが、だから、きっと無印良品らしくない商品がでてきたら、現場では「これ、なんとなく”雰囲気”が違うよね」とか、「なにかコンセプトが無印らしくないよね」ということで修正されていくことがほとんどでしょう。それがブランドの隠された力ともいえるのです。

「無印良品」は、ブランドのコンセプトや性格が明確でしっかり”雰囲気”まで表現されているということが強みですが、しかし、どのような企業やブランドも弱みもあります。それが市場のなかでどちらが効いてくるのかは、消費や市場のトレンドによって大きく左右されてきます。追い風が吹けば、強味がさらに強味となってきます。逆風が吹くと、弱みがどんどん足を引っ張りはじめます。
強味があるから、その企業やブランドが、今、強いとは限りませんね。無印良品にも弱みはあります。とくに現在の消費・市場トレンドからいうと、価格競争力が弱いというのは厳しいですね。
しかし、そういった点はまったく無視で、無印っていいよな、僕大好き、実はファンなんですと言っているだけですから、ほんとうにマーケティングの仕事をしている方なのかちょっと疑問に感じます。

9月16日に株式会社良品計画は、業績の下方修正を発表しています。そこにはこう書かれています。
(略)新生活需要に向けた販売プロモーションの強化、主力商品の価格見直しを実施し売上の獲得に努めてまいりましたが、価格競争の激化や従来の手法による販売促進活動の不振など既存店舗を中心に厳しい業績推移となりました。(略)
そう、良品計画さんは、一時期の不振をさまざまな経営努力によって驚異的にV字回復を果たされたのですが、今年になって、今は、不況による消費不振、また価格競争の激化という新たな逆風にさらされ、まだ予断は許さないとしても、V字回復の勢いにブレーキがかかりはじめてきたということです。
、”無印良品”って”雰囲気”がいいんだよね、ブランドを超えているよね、俺大好きというノーテンキな話は、それなになのよと思ってしまいます。

良品計画さんがV字回復された経営努力について、参考になると思いますので、記事リンクと関連書籍を掲載しておきますね。
驚異的なV字回復を果たした無印良品の秘密
驚異的なV字回復を果たした無印良品の秘密【続編】

無印良品の「改革」―なぜ無印良品は蘇ったのか無印良品の「改革」―なぜ無印良品は蘇ったのか
著者:渡辺 米英
販売元:商業界
発売日:2006-11
おすすめ度:4.0
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ブランドは、さまざまな企業努力の結果として、消費者の人たちの心のなかに集積されたものです。個々の商品や店舗の”デザイン”や”雰囲気”は真似はできても、それが全体として統合され、お客さまのハートに刻み込まれたブランド化されると、それはそう簡単に真似できるものではありません。

しかし、ブランド力があっても、それは過去の企業活動によって蓄積されてきたものであり、本質的なところで競争力を失うとどんどんそのパワーが落ちてきます。アパレルならGAPがそういう状態に陥ってきました。
しかも品質、価格、デザインの総合で競争力を保つためには、製造から販売にいたる強い「しくみ」が必要ですが、きっと良品計画さんも、そんな「しくみ」をどうに強化していくのかが重要な課題であることぐらいは、痛いほどわかっていらっしゃるはずです。
日本の市場は、ブランドが好きなのですが、強いブランドを築くこと、つまりブランディングについては、残念ながら、必ずしも一般的には重視されてこなかったために、さまざまな誤解や混乱もあるように感じます。今回取り上げた記事もそういう状況を象徴しているように感じます。

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どこでも生キャラメルでは面白くありません

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高速のサービスエリア、あるいは道の駅で生キャラメルがちらほら売られはじめたと思っていたら、あっという間に広がり、今やどこでも生キャラメルがあるという感じになってきました。
花畑牧場の田中義剛さんがブレークさせた生キャラメルのブームに乗ろうというのはいいのですが、あまりお客さまが買い求めている姿をみかけません。『花畑牧場生キャラメル』に負けないほど美味しい生キャラメルができたという自信があるのかもしれませんが、ちょっとひと工夫もふた工夫も足りなく、人びとを惹きつけるパワーを感じるものがほとんどありません。やはり、『花畑牧場生キャラメル』ではない特徴、花畑牧場生キャラメルとの違いが伝わらないと厳しいですね。

生キャラメルが雨後の筍のように登場してきてきているのも、設備投資もさほどいらず、製造しやすいということもあるのかもしれません。生キャラメルは家庭でも簡単につくれますからね。
花畑牧場の生キャラメルが登場する20年ほど前になるでしょうか、我が家で奧さんがつくってくれたという記憶があります。ネットでレシピもでているので、試しにつくってご覧になればどうでしょうか。
生キャラメル

しかし、いくら『花畑牧場生キャラメル』のブームがあり、いまだに楽天の通販でも人気が高いと言っても、柳の下にドジョウは二匹いるとは限りません。間違ってはいけないのは、『生キャラメル』だから売れているのではなく、『花畑牧場の』生キャラメルだから売れているということです。

『花畑牧場生キャラメル』は、田中義剛さんご自身そのもの、また田中義剛さんのメディア利用のうまさ、ブランドづくりの装置としての牧場、また北海道という背景など、ブランドとして付加価値をつくる物語りが幾重にも備わっているということです。そんなさまざまなブランドとしての物語りや話題を含めて、『生キャラメル』の商品価値があるということです。

だから、ご当地ならではの違いをだすために商品にどう工夫するか、どんな特別な物語りや話題を編みこむのかが勝負処になってきます。産地ならではのレシピがあってもいいのじゃないでしょうか。意外性のあるレシピ、さらに生キャラメルづくりの達人の職人さん、あるいは主婦が登場するとか、なにかもっと『花畑牧場生キャラメル』との違いが欲しいところです。

しかし、人びとの財布の紐が固くなった昨今の時代の空気を考えると、材料コストがかかり、高単価な生キャラメルで差別化を追求するというよりは、もっとお客さまが気軽に手を出せそうな価格で提供できる商品アイテムを考え直したほうが早そうですね。それに話題はつねに賞味期限がつきもので、いつまでも『生キャラメル』のブームが続くとは限りません。もうピークは過ぎたのじゃないかとも思います。

たかがお土産、されどお土産です。地方の特徴が打ち出せます。たとえ類似品でも、チャレンジしてみようという意欲は結構なことですが、そのあたりもしっかり考えてもらいたいですね。

最近は、東京の情報発信力が落ちてきているように感じます。地方発の商品やコンテンツがたとえ小さくとも光りはじめてきたように感じます。政治の世界では『地方分権』が大きな流れになろうとしてきていますが、もっと地方発の商品やコンテンツが増えないと日本も楽しくありません。
考えてみれば、地方のほうが特色豊かなコンテンツがあるわけで、ブームにあやかるのではなく、地元ならではのオリジナルな新製品や新コンテンツを生産者とともに考え、製品化やマーケティングをコーディネートできる人材が地方からどんどん生まれ育ってくることを期待したいものです。
生キャラメルは、これからの地方発のマーケティングを考えるための、いいケーススタディになると思います。どんどん議論を深めていただきたいものですね。


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コシヒカリが特売でしか売れないそうだ

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所得が伸びていないどころか減り始めたので、当然食料品や生活必需品への価格にもみなさん敏感になってきます。とくに外食から内食へ消費が移ってきているだけに、主食のコメの価格に対してはなおさらかもしれません。

昨年までは小麦価格が高騰し、パンの価格上昇したことが追い風となり、コメの消費が伸びたのが、今年になって消費が頭打ちとなり、価格にも影響がでてきているようです。とくにコシヒカリなどのブランド米が、特売をかけないと売れなくなってきているとか。
コシヒカリが特売でしか売れない(日経産業)

ブランドであっても、価格を押し下げる圧力が市場で働き始めていることは日々感じるところですが、コシヒカリ、特に新潟産コシヒカリの場合は他のコメと比べて価格差が大きく、買うのをためらい、コメのランクを下げるという心理が働き始めているのでしょう。

コメといえば、近くの百貨店でもやっていますが、地方に行くと道の駅などで、比較的割安な地元産のコメをその場で精米してくれます。試しに買ってみると、これがなかなか美味しい。コメの美味しさは、コシヒカリかどうかというコメの種類や産地もさることながら、、実は鮮度もそうとう影響しているのだと思います。つまり、コメの品質を左右するのは、流通過程にもあるということでしょう。
とくに、コメの偽装問題が起こってから、コメを購入する際にも本当に表示されたコメなのかと不安を感じてしまいます。偽装問題が起こったのも、最終的に品質に責任をもたない中間業者の経路を辿っていたからだと思いますが、主食のコメこそ、生産から流通、販売のプロセスを管理するしくみ、またより安く売れるしくみが必要だと感じます。
ネット販売のように、産地からの直送体制で産地が管理するか、販売の最終責任を負っている小売り業が管理するかのどちらかに主導権が移ることが健全ではないでしょうか。そのほうが価格も下がりそうですからね。
まあしかし、現実はさまざまな障害があって、言うは易く行うは難しということかもしれませんが。


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「安くてカッコイイ」というGeorgeは西友を変えるか

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西友の直近の業績については、ウォマートが買収したため公表されておらず、わかりませんが、現状では他の総合スーパーと同じく苦戦していることは容易に想像できます。

その西友が、ウォルマートの調達網を活用し、低価格のPB衣料品を大幅に拡大することを明らかにしています。その第一弾として衣料品PBの「George」のてこ入れを行い、東京・原宿で、西友は4日、同社初のファッションショーを開きました。
西友、低価格PB衣替え 英デザイン採用 品目6割増

確かに、ホームページを見てみると、日本の総合スーパーの衣料品PBの独特の匂いはしません。
George

日本の総合スーパーは、いずれもが、高度成長を背景に、店舗数と店舗面積を広げる戦略をとってきたのですが、低成長時代に入り、小売市場が縮小し、価格競争が始まったあたりから、日用雑貨ではドラッグストアに、家電はヤマダ電機などの家電量販量販に、さらに衣料品では、ユニクロやしまむらに、さらに海外参入組のZARAやH&Mにと、どんどん浸食され、気がついてみると、総合と言っても、それぞれのカテゴリーでは競争力を失い、蓮根のように穴だらけの状態となり、衰退してきたというのが実態です。百貨店についてもほぼ同じことがいえると思います。

食品はPB開発などでまだ健闘しているとはいえ、粗利の大きい衣料品での競争力低下や販売不振とあっては、経営の足を引っ張ります。ヨーカドーは、元伊勢丹のスパーバイヤーで、福助再建を行った藤巻さんを抜擢したりしましたが、仕組みそのもの、またブランドマネジメントを革新することができず、相変わらず低調なままです。
今回の西友の動きは、米国では一人勝ちの様相となってきたウォルマート流の調達からデザイン、販売にいたるバリューチェーンマネジメントやブランドマネジメントをそのまま導入したということですが、日本流対米国流でどちらが成果をあげるのか、目が離せなくなりました。


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麻生さんには、ブランドマネージャーが必要?

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同じ見方をしている方がいらっしゃいました。さすがに広告業界に長く活躍していらっしゃって切り込み方がいつも面白い天野祐吉さんです。新型インフルエンについての政府広報のCMのお話です。天野さんは、いろいろ配慮されて、あのCMは麻生さんの肉声が届かないから、「もったいない」とおっしゃっています。
もったいない [ことばの元気学]

すこし突っ込んで言えば、あの映像と肉声を感じないメッセージは、麻生ブランドにとって、もったいないどころかイメージダウンさせるCMだという気がします。イメージが暗いのです。

暗いと言えば、新型インフルエンザのCMだけでなく、麻生さんの表情が、小沢さんの辞任劇当たりから突然暗くなりました。難題が続いているからでしょうか。いや野党批判をやりすぎたからだと思えます。小沢問題にこだわりすぎたということでしょう。
そういえば、この前、石原さんも麻生さんと同じように、小沢さんの問題をまたやっていたけれど、現在のところは自民党はトップブランドであり、トップブランドがセカンドブランド批判をすることは自らトップブランドの坐を危うくするということです。
それに、小沢問題が民主党に危機をもたらしたのは、民主党も自民党と同じじゃないかという国民の不信感、自民党の古い体質を嫌ってのことであり、自民党側から小沢さん批判をしすぎると、墓穴にはまります。
実際、企業献金では自民党が圧倒的に巨額であり、そんな大金を出すにはなにか理由があるという論理は天に唾です。また支出の透明化も積極的ではなかったのによく言うよとなってしまいます。やはり当事者だけで考えるから見えないのでしょうか。

もっと言いば、鳩山さんが民主党の代表になったときに、民主党批判を引き延ばすのではなく、鳩山さんに対して、おめでとう、これからしっかりお互い議論し合いましょう、議論して良い知恵を出し合って、日本の危機を、党派を超えてしっかり乗り越えていきましょうとでもおっしゃれば、さすがに大物だと麻生ブランドの人気はきっと急上昇したのではないでしょうか。
不安に駆られ、気分がめいっている人びとを安心させるのは元気さ、頼りがいを感じるメッセージです。

トップブランドは、セカンドブランドがなにか仕掛けたら、それをすばやく模倣してしまうという手がありますが、それで大成功したのが小泉さんでした。民主党の主張していた改革路線を我が政策として取り込み、結果としては民主党の鳩山さんからもエールを受けるという見事なトップブランドの戦略でした。

現在のセカンドブランドとしての民主党の切り札は、無駄の排除、官僚支配からの脱却なので、麻生さんも、それもそっくり模倣して徹底してやればいいのです。
その点では、公務員制度改革に熱心だった渡辺さんが党から離れても、大きなパワーとはならず、自民党としては一安心というところでしょうが、ボディブローのように自民党のイメージダウンにつながってきていることにも一刻も早く気づくべきではないかと他人事ながら考えてしまいます。

与党は、野党批判でなく、堂々と今後のビジョンや政策を語って欲しいものです。トップブランドは、日本の繁栄と人びとの信頼を築くことをひたすら求めればいいのであって、野党批判する与党では信頼を深めることはできません。ブランド戦略として間違い、しかも極めて初歩的なミスです。
政権交代を民主党が掲げるのなら、同じことが言え、いかに人びとに共感されるビジョンと政策を提示できるかに鍵は移ってきています。批判勢力のチャレンジャーでは政権交代は困難です。
イメージづくりが失敗している自民党ブランドは、総選挙は相当厳しいでしょうが、民主党に、なにか小沢さんの秘書逮捕に続く出来事が起こるのでしょうか。
外野席としては、与野党が切磋琢磨し、政治の質が高まってくれればいいので、どちらにも頑張ってガチンコ勝負をして欲しいところです。

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際崩れ?狙われるスターバックス

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スターバックスの人気は日本ではまだ健在で4月も、売上高が6.4%増(既存店売上高は1.7%減)でなかなかやるなという感じですが、肝心の米国ではさすがに不況の煽りを受け、この一年ほどじわじわと売上が落ちつづけています。直近の1-3月期には売上高は7.6%減で、77%減益という厳しい決算となったようです。
スターバックス、1-3月期は77%減益・大型キャンペーン開始へ

日本とは状況が若干違うと思いますが、米国では、スターバックスのブランド価値が極端に下がってしまったという調査もあるようです。
Hummer, Starbucks Rated Lowest for Value(ブランド価値で最低にランクされたGMのハマーとスターバックス)

スターバックスが、ビジネスを広げることを急ぐ余り店舗を広げすぎ、ブランドの価値を損ねてしまったのではないかとか、さらに”インスタントでないインスタント”VIAを一部の店から発売をはじめたことなどが、ブランド戦略としては失敗ではないかといろいろ取りざたされていますが、日本でのスターバックス・ディスカバリーズやスターバックス・ダブルショットの展開も、サントリーにとってはよくても、スターバックスにとってはどうかというのはちょっと怪しいようにも感じます。

adtrack mcdonaldsx-large

しかし、アメリカの市場って凄いと思うのは、ダンキンドーナツやマクドナルドが、広告で露骨なスターバックス攻撃をはじめたということです。
価格帯も違い、ポジションも異なると思うのですが、そんな境界線なんか関係ないというばかりに、ダンキンドーナツは比較広告を行っています。かつてのペプシがコカコーラにしかけた比較広告、その後にコカコーラがニューコークを出して大失敗をしてしまった話を思い出してしまいました。
飲み比べて分かった真実。ダンキンはスターバックスに勝った

さらにマクドナルドは、マックカフェで展開していたエスプレッソやカフェラテをマクドナルドの三分の二の店にも導入したそうです。このコラムにあった"Four bucks is dumb(1杯に4ドルはバカだ)" という露骨な看板は、確かめてみると一部の店の暴走だったみたいですが、競争の厳しさを象徴しているようです。
市場の棲み分けなんかない、そんな競争が始まってきている、油断も隙もないということでしょうか。
米国で白熱する、プレミアムコーヒー戦争とスタバいじめ


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輸出絶不調現象は、日本ブランドの弱さにも一因があるのだろうか?

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イギリスの広告代理店WPPの子会社である調査会社Millward Brownが今年のBrandZ レポートを発表しています。グルーバル・ブランドそれぞれの価値にお値段をつけてランキングをつけているものです。

そのトップがやはりGoogleで、昨年の860億ドルから16%上がって1000億ドルになったこと、またそのランキング結果をThechCrunchが紹介していますが、なんといっても世界同時不況によって、世界のブランド地図にも大きな変化が起こったのかどうかが注目されるところです。
クイズ: 買うとしたらお値段1000億ドルのブランドは何でしょう?

この不況にもかかわらず、トップ100のブランド価値は、むしろ対前年で2%増加しているとしています。それは試算の仕方によるかもしれませんが、面白いのはカテゴリーごとに昨年と比較したブランド価値の変化もレポートしてくれていることです。
やはり昨年価格が高騰した自動車用燃料(-5%)、アパレル(-9%)、金融(-11%)、自動車(-22%)、保険(-48%)といったカテゴリーでブランド価値が下がってしまったようです。
逆にブランド価値があがったカテゴリを見ると携帯関連、ソフト飲料、コーヒー、ファーストフーズ、ビールなど、身の丈にあった消費分野のブランド価値があがっています。ハイテク・ブランドは昨年までの勢いを失いました。

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さて、グルーバル・ブランドの評価では、インターブランド社のものもありますが、そのどちらを見ても、日本ブランドの評価の低さが気になります。
日本は輸出で経済を牽引してきたにもかかわらず、ブランドとして評価されていないということです。このトップ100にランクインしているのは、トヨタをはじめとした自動車ブランド、任天堂、ソニー、ドコモ、キャノンぐらいで日本ブランドは少なく、またランキングもあまり高いとはいえません。ブランドとして評価されていないというのは、それだけ市場でのポジションが弱いということであり、なにか日本の輸出産業の危うさを物語っているように感じます。

デジタル家電のように、デジカメにしても、液晶テレビにしても、日本ブランド同士が海外市場で競争しあい、お互いまっしぐらにコモディティ化の道を突っ走ってきて、どんどん価格が下がり、社会には貢献してきたはずなのに評価されない。そんな道を辿ってきたということでしょう。
それに加えて、素材や部品、工作機械といったブランド化が難しい分野で輸出を伸ばしてきたことも原因かも知れません。しかも、その多くが、自動車産業向けとか、デジタル家電向けといった、親亀こけたら小亀もこけたという分野が多いことも災いしています。

いずれにしても、気がついてみると、海外の消費者に根付いたブランドが少なく、領域が景気の変動を受けやすいとカテゴリーに偏っていたといえそうです。日本の産業課題は、輸出頼みも途上国型から内需主導型への構造転換だけでなく、現在のように付加価値のとれない消耗戦から、世界の市場でブランドとし評価される新しい価値の創造に向けたを戦略転換も日本の産業課題だということでしょう。

どのようなイノベーションによって、これまでと違う新しい価値を市場に提供できるか、どうすれば消費者、顧客からブランドとして評価されるをまず考えるべきところを、なにか新しい技術はないか、モノづくりこと日本の真骨頂だというような発想でやっている限りかなり厳しそうですが。、

実力に比べて、日本ブランドの弱さは、さらにアジアのブランドのトップ10を見ればわかります。気づくことは、中国ブランドの台頭です。ランキング第一位がCHINA MOBILE(中国移動通信集団公司)で、ICBC(中国商工銀行)、中国建設銀行、中国銀行など、中国の銀行が上位を占めています。日本ブランドは、実力に比べてブランドが弱く、もっとも損なことをやっているということでしょう。またサムスンも大きく価値を下げ、このアジアブランドトップ10からは消えていることに気がつきます。

asiabrands
しかし逆に言えば、差別化を担う鍵が、生産力から、特許などの知的資産へ、さらにブランドへと移ってきた時代にどう適応していくのかということだと、各企業が取り組んでいけば、日本は基礎能力が高いわけで、日本の将来も開けてくるのではないでしょうか。
そのためにも、まずは、身近なビジネスからブランディングを意識し、ブランディングに投資するというブームでもくれば、少しは変わってくるかもしれません
。消費者としてはブランドにきわめて神経質な国なのに、供給側にまわったとたんブランドを重視しないというのもアンバランスですね。
またこのBrandZのレポートは、いろいろブランドのトレンドについても解説してくれているので、またタイミングを見てご紹介していきたいと思います。
英語で読んでみようという方は資料のダウンロードができるBrandZ.comへどうぞ。
BrandZ.com

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ブランド集中とブランド分散

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ファースト・フーズならぬファスト・ファッションを標榜するフォレバー21が話題になっています。女性のアパレルで頭の先から、爪先までコーディネートしても、1万円以下で揃うといいます。

カジュアル・ウェアのZARA、そして人が並んで話題となったH&Mといずれも低価格を売り物とする製造小売りのアパレルブランドです。安い海外ブランドが注目されるようになってきて、海外ブランドは高級品という感覚はもう一昔まえのお話となってしまった感がありますね。

そういった海外ブランドが話題となるのも、働く女性が増え、しかも制服姿ではない職場が増えてくると、手ごろな価格でそれなりにコーディネートできるアイテムへのニーズが高まってきているからで、当然のことかもしれません。

さて、こういった低価格ブランドに共通しているのは、ZARAにしても、H&Mにしても、ファレバー21にしてもブランドを一点に集中させたビジネス・スタイルだということです。しかも店舗規模も大きいですね。
日本で近いのがユニクロだと思いますが、ある意味では、オーソドックスなブランド戦略だと思います。店舗イメージにしても、広告にしても、パブリシティにしても、それなりの展開規模を追求できます。

さて、アパレル業界の日本での売上ランキングを見てみると、20年3月期で、一位ユニクロ(5,352億円)、二位しまむら(4,109億円)、三位ワールド(3,582億円)、四位オンワード(2,870億円)、五位青山商事(2,145億円)です。
女性のためのアパレルとなると、ワールドがトップ、それにオンワードやレナウンが続くということだと思いますが、ブランドということでは、どちらかというと多様な嗜好、ユーザーの違いにきめ細かくあわせ、各社ともブランドを多様化というか分散させてきました。
ワールドの自社ブランドを紹介するショッピングモールのようなサイトを見れば、いかに多くのブランドが展開されているかが分かります。
WORLD.JP

いずれのブランド戦略が正しいかということよりも、おそらく、狙ってきたもの、マーケティングが違ったということでしょう。
ワールドにしても、オンワードにしても、あるいはファイブフォックスにしても、製造小売りの仕組みをつくり、日本のアパレルのイノベーションを実現しました。鮮度のあるデザインを、いい品質で提供し、そいういったビジネスモデルの革新に遅れたブランドからシェアを奪って伸びてきたのだと思います。
そういったマーケティングで、もっとも効率のよいのは、対象とするフィールドや焦点を絞って、よりニーズやウォンツに最適化したブランドぶつけるということだったのではないでしょうか。
市場を細分化し、それぞれ市場に向けたコンセプトでブランド展開を行えば、国内のさまざざまな他のブランドよりは情報の鮮度で優位に立てたのではないでしょうか。それに、ブランドを分散することで、トレンドの変化に対するリスクも分散できました。
しかし、気がついてみると、国内メーカーとの競争優位は築けたけれど、海外の大きなブランドとは、価格差がついてしまっていたいうところだと思います。

日本市場で、すぐさま日本のアパレルブランドと海外のアパレルブランドが正面衝突するということではないかもしれません。しかし、不況が長引くと思われるだけに、日本の品質に厳しく、高度な選択の眼をもった消費者の人たちにも、価格志向のトレンドが広がってくるのではないでしょうか。もちろん海外のブランドにとっても、そんな消費者の選択眼にかなうかどうかはまだ分かりません。
しかし、そういったトレンドに応えようとすると、広告やプロモーションの効率化、それぞれの店舗での効率的運用、またアイテム当たりの製造のコストダウンを考えると、ブランド統合という流れ、規模メリットの追求するという流れが必然的にでてきそうな感じがします。

そうやって強いブランドをつくることが、日本のアパレルの海外進出も加速化させるのかもしれません。製造段階での付加価値が追求できる時代ではなく、デザインやサービス、なによりもビジネスの仕組みで付加価値を追求する時代だと思うので、日本のアパレル産業にも、さらに次のマーケティングのイノベーションを期待したいところです。


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iidaってブランドがよくわからない

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iidaは、AUの20〜30代の若手社員が中心に企画したというデザインブランドで、「innovation」「imagination」「design」「art」の頭文字から取ったそうですが、かつては infobarなどで話題をつくっていたAUですが、しばらくデザインで話題の少なかった揺り戻しで、デザイン訴求に戻ったという感じでしょうか。
iidaのホームページ

このiidaですが、ブランドとしては、名前もちょっと地名とか人名以外ではイメージが沸かず、シンプルなロゴマークであるために、製品以外にブランドイメージをつくるコンテンツがありません。そういえば皮膚病を感じさせる気持ち悪い赤の水玉のアートもありますが、それでは乗れません。そのあたり感性をうまく刺激するアップルと違うところです。

それにしても、AU色を消そうという狙いがよくわかりません。できるだけ焦点がぶれないようにしようということなら理解できますが、行きすぎるとダブルブランド戦略なのかと思ってしまいます。AUショップで売らないというのならわかりますが、もしAUショップでも売るつもりなら中途半端ですね。
そんな中途半端さの結果でしょうが、出張中のランチタイムに行った都心のショッピングセンターで、一瞬iPodなのかと思わせる雰囲気の展示コーナーができていました。

よく見ると、iidaのブランドが大きく書かれており、その展示とデモンストレーションでした。iidaを知っていたから見ましたが、遠目に見ると、AUというのが分からないために、いったいなにの展示、またキャンペーンなのかがわかりません。当然人も集まらず、スタッフだけがうろうろしていて気の毒でした。

自己満足になってしまっているのでしょうね。デザインで思い切った主張をすることはいいと思いますが、デザインだけでは厳しいのじゃないでしょうか。”Life>Phone”というコンセプトは当然としても、だから何が違うのかが問われます
同じ土俵での機能戦争とは違うところで勝負ということなのでしょうが、問題は携帯利用シーンが変わるサムシングを感じないということです。面白いと感じたのは、電源とかプロジェクターを買うと携帯の画像をスクリーンに投影できるということぐらいでしょうか。
まあいろいろ暴走していただくのは、ブランド・マネジメントのケーススタディが増えていいのですが、もっと利用者に目を向ければ、iidaとかいうネーミングにもならなかったという気がします。なにか社内事情でもあるのでしょうか。

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ブランド戦略効果がではじめたパナソニック

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昨年10月に松下電器産業から社名変更を行い、またブランドを統合したパナソニックですが、日経BPコンサルティングが行っている「ブランド・ジャパン」のランキングで、消費者による評価で昨年の10位から5位に、ビジネスパーソンによる評価では昨年の6位から、2位に大きくランクアップしたという今日の日経記事にありました。やはり社名変更とブランド統合のインパクトが大きかったようです。
企業人のブランド評価、パナソニック2位に急伸 09年、トヨタ首位維持

関連
ブランド・ジャパン2009
ニュースリリース

ブランド戦略は、こういったブランド・イメージなどの外にむかう効果と社内の意識改革や求心力の効果がありますが、内部効果については、今後の経営、また事業や商品でどのようなイノベーションが起こってくるかをウォッチしておきたいところです。
また派遣切り問題で、企業イメージにも影響してくるのではないかと思っていましたが、ビジネスパーソンの評価の変化は小さかったものの、やはり消費者評価で、「TOYOTA トヨタ自動車」が昨年の7位から29位、キャノンが昨年の13位から23位へと大きくランクダウンしていることが目立ちます。
もちろん不況の影響で大きく売上を落としたということもあるかもしれませんが、派遣切り問題が尾を引きづっていることは否めないのではないでしょうか。
そういった意味で、ちょっと対応に問題があったということしょう。

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リテライゼーションという新潮流

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Private Label: Turning the Retail Brand Threat into Your Biggest Opportunity
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さて、世界を眺めたときに、食品や日用品のパッケージ商品(CPG)で最も販売規模が大きく、また成長しているブランドはなにでしょうか。ネスレでしょうか。P&G?コカコーラ?
いいえ違います。食品や日用品のパッケージ商品(CPG)で、世界最大のブランドはウォルマートのPBです。2005年の販売額では1260億ドルで、第二位のネスレ全社をあわせた売上750億ドルをはるかに超えた巨大ブランドです。
しかもプロジェクトを組み、一千件を超える消費者調査を行って、どうすればPB商品の満足度をあげることができるかに取り組むということもやってきており、開発力、企画力などのマーケティング強化をはかってきているだけに、しょせんPBだと侮ることができなくなってきています。またブランド別の売上ランキングでも、すでにトップ10の半数がPBです。しかもメーカーブランドよりも高い成長を達成してきているのがPBです。

CGPのブランド別売上ランキング
一位 ウォルマートPB
二位 ネスレ
三位 P&G
四位 J&J
五位  ユニリバー
六位 Aidi(ドイツ)PB
七位 TESCO(イギリス)PB
八位 ペプシコ
九位 Royal Ahold(オランダ)PB
十位  Metro Group(ドイツ)PB
(出典 "PRIVATE LABEL":Keith Lincoln & Lars Thomassen)

これは何を物語っているのでしょうか。メーカーから小売業にマーケティングの主役が移行しはじめているということです。さらに小売業が自らのブランドを持つことで、メーカーと小売業の境界線が崩れてきているということです。

衣料品の世界も同じです。H&M、ZARAといった製造小売りが世界を席巻していますが、日本でも製造小売りの完成度が高いユニクロがひとり勝ちという状況です。アパレルメーカーのなかでも、勝ち残っているところはいわゆるSPAという製造小売りにいちはやく移行したメーカーです。
ホームファーニシングのIKEA、日本で言えば、ニトリも同じです。さらに、インターネットによってブランドを広げていったといえば、デルや日本ではアスクルが思い浮かびます。
つまり消費者との接点を制するところが、消費者が望む価値を提供できる時代になってきたということです。市場は確実にメーカーから小売りにブランドの主導権が移行しはじめています。
そんな潮流、またそれによって起こってくるさまざまな変化がリテライゼーション(Retailization)です。

リテライゼーションの流れは、マーケティングのありかたや、ブランディングのありかたを大きく変えはじめています。きっと日本でも、この流れは間違いなくやってきます。

それは小売り業にとっても、メーカーにとっても、新しい生きる道が迫られてくるということです。発想の転換が必要になってきます。なにに投資すべきかも変化してきます。
この流れに適応できるかどうかです。小売り業も商品開発力が求められてきます。百貨店の衣料品が、しょせんメーカーブランドや卸ブランドの企画力、調達力に頼ったものでしかなく、他店や他の小売り業と差別化ができず、結局は衰退してきたことでもわかります。
どこに行っても、同じブランドしかなければ、別に百貨店で購入する必然性はありません。独自の顔や特長を持ちたければ、独自の魅力ある商品をつくるしかないのです。小売りは小売りで、PB対PBの競争がいまより激しくなってくるということです。

ではアメリカではひとり勝ちのウォルマートでは、売上のうち、どれぐらいPBが占めているのでしょうか。なんと4割を超えているのです。プロジェクトを組み、毎月大々的な消費者調査を行って、どうすればPB商品の満足度をあげることができるかを研究し、さらにパッケージの全面リニューアルをやったところに本気度がうかがえます。
[ウォルマート] グレードバリューのリニューアル版を公開

ドイツのAidiにいたってはPBが9割以上を占めています。ナショナルブランドはよほどのブランドでしか入り込めません。世界の名だたるブランドもことごとくドイツでは失敗してきました。
イギリスのTESCOもPBが5割を占めています。しかもナショナル・ブランドよりも高いプレミアムブランドをも持っています。商品の開発力があるということです。世界の趨勢を見ると、日本のPBはまだまだこれからだということでしょう。

そういったPB比率になってくると、ナショナルブランドが生き残るスペースが激減してくるということです。当然サバイバル競争が起こってきます。かなり発想を変えていかないと弱いブランドははじき飛ばされていきます。
はっきりしているのは、強いブランドか、PBではできない個性を持っているブランドしか小売りは必要としなくなってくるということです。製造元のサプライヤーであればいいということでしょう。
大きな時代の流れだと思うので、またリテライゼーションについて機会があれば書いていきたいと思います。


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生キャラメル戦争?

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人気の高い田中義剛さんの『花畑牧場』の生キャラメル。その人気にあやかって、「花畑牧場より直送」と偽って販売した埼玉のスーパーと社員が不正競争防止法で罰金の略式起訴を受けとかいう事件もありました。
このブームに乗って参入してくるところも多く、新千歳空港でも何種類かの生キャラメルが売られていますが、検索するとやはり北海道の手作りをうたっている生キャラメルもたくさん見つかります。
また、北海道に限らず、全国のあちらこちらで生キャラメルが売り出されるようになり、愛知県日進市米野木町の『愛知牧場』の生キャラメルも、今年二月から土日限定で計250箱販売を発売した生キャラメルが、4時間ほどで完売していて、連日フル操業状態だそうです。
愛知牧場の生キャラメル大人気 連日完売、製造フル回転
ちょっぴり辛い生キャラメル 大田原・道の駅がトウガラシ使い開発

『花畑牧場』は商標として成り立っていますが、『生キャラメル』は商標ではないので、ちょっと参入に歯止めが効きそうにありません。花畑牧場が『生キャラメル』も商標として出願中だそうですが、もともと生キャラメルは、北海道のノースプレイン牧場のほうが先に発売していたようだし、これだけ広がってしまうと厳しいのじゃないでしょうか。
ノースプレイン牧場
確か『ラジカセ』はシャープが元祖でしたが、商標登録するまえに、他社や雑誌などで『ラジカセ』という言葉を使われてしまったために商標にならなかったということがあったと記憶しています。

しかし、あまりにも多くの生キャラメルがでてくると、『花畑牧場』ブランドイメージが、かなり生キャラメルでつくられたものだけに、今後ブランド価値をどう守り、また深めていくかという課題がでてきたように思います。

まあスイーツの世界は、ロールケーキとか、バウムクーヘンもいろいろんなところが出していて、それでもブランドになっているところはあるわけですが、マスを追求したブランド戦略なのか、希少性に生きるブランド戦略なのかの選択も迫られてくるのではないでしょうか。

新千歳空港や札幌につづき、大阪にも花畑牧場のカフェをだしたそうですが、花畑牧場がどういう道を歩もうとしているのか、ブランドという視点で、今後とも注視していきたいですね。
生キャラメルで人気の花畑牧場のカフェが大阪初登場!

なんだか二日連続してスイーツの世界の話になってしまいました。

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「神戸スイーツ」に学ぶブランド経営

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洋菓子の経営学―「神戸スウィーツ」に学ぶ地場産業育成の戦略
洋菓子の経営学―「神戸スウィーツ」に学ぶ地場産業育成の戦略
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暖簾とブランドは違うという人がいます。しかし、ブランドがお客さまの製品やサービス、また企業に対するお客さまの心の奥に潜んでいる感情だとすると、暖簾もブランドも本質に違いはありません。
その違いは、手工業の時代、まだマスコミがなかった時代と、工業生産とマスコミが登場し、さらに情報革命が起こった時代背景の差だといえます。
ブランドは大量生産と大量販売、そして拡大再生産を狙ったマスマーケティングや経営で支えられ、暖簾は時を超え世代が変わっても継続する経営の思想やしくみでなりたっている、だから違うという発想もわからないではないですが、人びとのニーズが多様化し、また高度化するにつれ、より本物が欲しい、また商品やサービスの背景にある物語り性が求められてくると、教科書的なマスマーケティングの考え方では解決しない問題もでてきています。

さて「神戸スイーツ」は典型的な地域ブランドです。今や全国ブランドともなり、この時代にあっても人気が衰えません。神戸では、神戸に訪れる観光客のために並ばなくとも買えるタクシー・ツアーまであるほどです。

以前、大丸と神戸新聞社、さらにGOOのコラボレーションで「神戸スイーツ・フェスタ」のブログを活用したマーケティングが行われたことがありました。
『洋菓子の経営学』は、「神戸スイーツ」がなぜ全国ブランドまでなりえたかの秘密を丹念なリサーチを行ってまとめられた一冊です。独立を目指す人でなければ雇わないということ、コンテストにどんどん参加させ、腕を磨かせるとともに、職人さんのブランド化をはかる、さらに独立は援助しても、お互い競合関係にならないようにしている点などは、老舗の職人を育てるしくみ、また暖簾分けに近い発想です。しかも、独立するときは、同じ菓子をつくらないという暗黙のルールがあり、新しい発想の菓子づくりが求められます。

この本を読むと、ブランド価値を支える暖簾経営という伝統とイノベーションを両立させるという新しい経営のありかたも見えてきます。
そうやって「神戸スイーツ」は、多くのブランド化されたパティスリーが地域に集積し共存する関係を保ち、東京にもまねのできない厚みとバリエーションを生んできました。全国の地場産業の活性化を考えている人たち、また新しいブランド経営のありかたを考える人たちに必読の一冊だと思います。


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一人勝ちのウォルマートで感じること

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アメリカの食料品や日用品で、もっとも大きく、急成長しているブランドがあります。どこだと思われますか。コカコーラではありません。ウォルマートのプライベート・ブランド”Great Value”です。
アメリカの小売り業では、ひときわウォルマートの業績の快調さが目立っています。日本で一人勝ちといえばユニクロに焦点があたりますが、アメリカではウォルマート。一時期は、もうウォルマートの時代は終わりだろうという見方もありましたし、ウォルマートの安売りに対する根強い反感もあるとはいえ、今年になって、さらに景気後退が進む中で、二月に為替差損で国際部門は減収減益だったものの、米国本土では、増収増益街道をまっしぐらです。ウォルマートは、日本では西友を取得しましたが、西友のイメージとはかなり違いを感じます。
この勢いの鍵を握っているのが、ウォルマートが1993年に生まれたプライベート・ブランド”Great Value”の存在で、全米の4100店舗で5000アイテム以上が展開されている巨大ブランドです。しかも不況となって”Great Value”の売上が倍増したそうです。
ウォルマートのプライベート・ブランドというと、安かろう、悪かろうというイメージがつきまとうのですが、”Great Value”が相当な数の消費者調査を行って取り組んできたのは品質の向上で、大幅なリユーアルとアイテム拡張が進められてきているようです。安いだけでなく、自ら独自に商品を企画し、独自の品質基準をもって、ナショナルブランドと差別化する段階に入り始めたということでしょう。このまま”Great Value”の快進撃が続けば、プライベートブランドが、2012年には食料品や日用品の売上げの40%を占めるようになるだろうという観測すら流れています。
日本でも、ようやくプライベート・ブランドが消費者の支持を集めるようになり、昨年はヒット商品として注目されましたが、欧米に比べるとまだまだプライベート・ブランドでは遅れをとっており、ナショナル・ブランド主導の国で、商品の企画や開発は、ナショナルブランドのメーカーに依存しているものも多いというのが現実です。
しかし、アパレルやホームファッションのように、食料品や日用品の分野でもナショナル・ブランドがさほど強くないカテゴリーから、じわじわと製造小売りのビジネス・モデルが伸びてくるのは時間の問題だと感じます。ブランド・ロイヤルティの低いナショナル・ブランド、ブランド・パワーが弱いカテゴリーのメーカーにとっては、厳しい時代がやってきそうです。


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インサイト人気はいつまで続く?

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ホンダのブランドイメージに加え、ハイブリッドへの関心の高さ、また低価格を打ちだして、インサイトは好調な滑り出しです。実際2月の新車登録台数では、プリウスの4,524台を上回る4,906台となりました。プリウスのシェアをある程度浸食したという感じも受けますが、逆に新車発売を前にしても、なおかつプリウスが堅調であるともいえるかもしれません。
ハイブリッドへの関心の高さという点では、MarkeZine(マーケジン)が自動車を保有している20代〜50代男女を対象としたアンケートの結果を紹介していますが、ハイブリッドに関心を持つ人は、全回答者の9割に達しており、さらに関心のある人の内8割が、予定の有無は別にして、購入意向を示しています。
またどちらが好きかという質問に対しては、男性は圧倒的にプリウス、女性はプリウスが56.4%でインサイトが43.6%とプリウスに迫る人気となっています。しかし、全体結果ではやはりプリウスの人気が圧倒的に高いという結果です。
女性では「インサイト」人気が「プリウス」に迫る勢い【ハイブリッドカー徹底比較】


デザインは過剰な反省の結果?
しかし、どう見ても、デザインがプリウスに似ていることが気になるところです。小型プリウスという印象を受けてしまいます。プリウスで定着したハイブリッドのイメージを踏襲したのか、ちょっと理解に苦しむところです。
ホンダは、シビック・ハイブリッドで、ハイブリッドとしての存在感を示せず、鳴かず飛ばずだったという苦い経験を持っています。その反省からプリウスデザインが、ハイブリッドカーの象徴となっているという現実を踏まえ、プリウスのデザインイメージに似せたのかもしれません。
しかし冷静に考えると、原因はシビックというブランドのなかのひとつのバリエーションとしてハイブリッドカーを置いてしまったところにあったのではないかと思います。問題はブランディングの失敗にあったのではないでしょうか。レクサスもハイブリッドカーがありますが、レクサスのハイブリッドのイメージが弱いというのと同じです。
ハイブリッドカー「インサイト」としてブランドを打ち立てたことは正解ですが、もっとホンダ独自のデザインであって欲しかったものです。

価格競争に陥る?
さて、いよいよ5月からプリウスの現行品と新車が並行して発売されます。インサイトの登場で当初の予定価格より安く売られるようです。日本らしい競争パターンですが、プリウスが新車を売り出すと、インサイトの新車発売効果が薄れます。ちょっとインサイトにとっては厳しくなるという気がします。
もっと差別化なり、独自のポジションをつくりだす商品戦略なり、マーケティングが必要だったということになりそうだということです。このままでは、新車対新車のガチンコ勝負となり価格競争を引き起こします。プリウスの新車登場後は、インサイトの販売台数を伸ばそうとすると値引きも起こってくるのではないでしょうか。
新型プリウス、205万円程度から インサイトに対抗


競争は市場を拡大する
さて、インサイトが登場しまたプリウスの新車が登場することで、競争が起こり、自動車市場でのハイブリッドの存在感が増して、その結果市場が拡大していくものと思えます。
また自動車市場の今後の活性化にとってハイブリッドが鍵を握っていると思うだけに、プリウスだけでなく、インサイトも頑張って欲しいし、日産など他のメーカーの参入も期待したいところです。先進国の海外メーカーも同じく需要減の打撃を受けているために、ハイブリッドへの取り組みも停滞しているようで、国際競争で優位性をつくりだすという点でも、日本車同士の切磋琢磨が望まれます。
あのVOLVOも安全性というVOLVOの特長を犠牲にして、低価格で低燃費の新車を売り出すようですが、ちょっと訴求力が弱く、新しい感じがしません。

さて、低燃費のエコカーをコンセプトとしたハイブリッドカーは成長分野となっていくと思いますが、ハイブリッド車が増加するにつれ、ガソリン需要は下がっていきます。経済情勢を考えると、すぐさま影響を受けるほどのハイブリッドカーの普及は進まないでしょうが、じわじわとガソリンスタンドの経営がさらに厳しくなっていきそうです。コンビニを併設したり、コーヒーショップを併設すると言った新業態を模索するスタンドも増えてきましたが、今の内にサービスの多角化を進めたいところですが、まだ正解にたどり着いていないというのが現実ではないかと思います。


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アキレス「瞬足」は面白いけど、総合ブランド化するって大丈夫?

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アキレスのスポーツシューズ「瞬足」は面白いヒット商品です。「左右非対称ソールがコーナリングで差をつける」というコンセプトで、子供に絞って2003年に上市したスポーツシューズですが、いいところを衝いたブランドだと思います。
瞬足レモンパイ(シュンソクレモンパイ) キッズシューズ (子供靴) 左右非対称ソールモデル LEJ486 ピンク
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小学校の運動会は直線コースはほとんどなく、「コーナーで差をつける」というコンセプトが共感を呼んで人気となったというのはよく分かります。そして「スタートで差をつける」とか「軽さで差をつける」」などの製品拡張も行われてきました。
アキレス瞬足

その「瞬足」ブランドを伊藤忠が靴以外のマスターライセンス権を取得して他メーカーとサブライセンス契約を交わし、靴下やウェア、自転車などにブランド拡張をはかっていくという記事がでていました。
子供に大人気の「瞬足」、総合ブランドへの挑戦

しかし、この記事でも本当に運動靴以外に広がるのか、きわめて明快な機能を訴求して成功してきたブランドであるだけに、商品が広がるにつれブランドイメージが希薄化してしまう危険性もあるのではないかという指摘がされていますが、確かにその懸念はありますね。

もし「瞬足」ブランドを使うそれぞれの企業が、それぞれのアイテムでより速く走るための機能開発ができ、「差をつける」というコンセプトを広げていくことができれば、「瞬足」ブランドの幅が広がり素晴らしいのですが、逆にあまり関連性のない商品特長しかだせないと、ブランドの性格が曖昧になり、ブランドのパワーを失いかねません。異なるメーカーでそういったブランド管理の視点で製品開発を進めることができるのかどうかは決して容易ではないでしょうね。
D・Aアーカーが「ブランド・エクイティ戦略」で、ブランド拡張に際してブランドネームが傷つけられるという「厄介な影響」を注意しないといけないと指摘していますが同じ懸念です。

まあいずれにしても、成功したマーケティングをどれだけ維持し、また広げていくことができるかを今後ともウォッチングしておきたいと思います。

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スタバブランドの缶コーヒーが好調だそうです

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打ち合わせがつづいた一週間でした。セミナーのための資料準備も重なって、ブログもちょっと停滞してしまいました。


さて、昨年10月に発売されたスターバックスの「ダブルショット」が好調だそうです。1本170円のプレミアム価格ですでに50万ケースが売れたとか。
【こうして生まれた ヒット商品の舞台裏】スタバ缶コーヒー 女性も支持

このスターバックスの缶コーヒーは、マーケティングにおけるセグメンテーションやポジショニング、またブランド戦略の格好のケーススタディとなりそうです。
このスターバックスの缶コーヒーですが、実際はサントリーの缶コーヒーで、サントリーがスターバックスとコラボレ−ションを行って進めたマーケティングで、
おそらく、緑茶飲料「伊右衛門」で福寿園とのコラボレーションが成功した体験が生かされ、さらに缶コーヒーのカテゴリーでも採用したものだと思います。

缶コーヒーでトップシェアを握っているのはコカコーラの「ジョージア」ですが、「ジョージア」はトップブランドということもあってターゲットを絞りきれません。チャレンジャーであるサントリーは「BOSS」で矢沢永吉を使って、缶コーヒーのヘビードリンカーであるガテン系のターゲットに照準をあてた差別化を行いマーケティングを成功させましたが、さらに今度は、、コーヒーは好きだけれど、あまり普段は缶コーヒーを飲まない、味を重視している人たちにターゲットを絞り、つまり缶コーヒーのユーザーの空白地帯を狙って、「スターバックス」ブランドにより、また「エスプレッソ」を強調して、マーケティングを展開したということです。それが効を奏したということでしょう。女性ユーザーのウェイトも増えたようですが納得できる結果です。本当にマーケティングの正攻法だと感じます。
「ダブルショット」のホームページを見てみると、ブログパーツがあったので利用させてもらいました。
スターバックス「ダブルショット」

しかし、問題はスターバックスです。サントリーにとってはスターバックスのブランド力を上手に活用し、プレミアム性を打ち出し成功したということでしょうが、長期を考えると、スターバックスにとっては、ブランドがどんどんコモディティ化し、スターバックスのプレミアム性が損なわれる結果となりかねないですね。


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日本の「グローバルブランド・ベスト30」ってなにかピンときませんね。

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毎年ビジネスウィーク誌で、インターブランド社が評価したグローバルブランドランキング上位100を発表していることはこのブログでも取り上げたことがあります。
そのインターブランド社が、その評価基準と同じ方法で、日本のグローバルブランド・ベスト30を発表しています。
1位トヨタから30位キッコーマンまで、世界基準で評価した「日本のブランド」ベスト30発表

対象となるのは、次の4つの条件を満たしていることだそうです。
(1)日本発のコーポレートブランドであること
(2)上場企業で各種財務情報が公表されていること
(3)2007年度実績の海外売上高比率が30%超であること
(4)BtoB企業であっても世界で一般に認知されていること(欧州、米国、アジアの3エリアで、インターブランドのコンサルタントの認知率が10%以上であること)

結果は、ブランドによっては、なるほどそうでしょうねというのと、ちょっと変だなと感覚的には感じるものがありますが、インターブランド社基準ということで、詳しい物さしは公表されていないので分かりません。

物さしの基準が公表されていないところは、ノウハウと考えているのか、怪しげだからかよく分かりませんが、物さしを持つことは重要です。ブランドの価値が重要であることはわかっていても、やはり、どの程度そのブランドの価値が向上したか、あるいは低下したかという物さしがなければ、経営のなかでのブランドに対する関心もあがりません。また打った手の効果がわからないために継続した手を打ちづらくなります。
そういったブランド力の測定と評価の方法が、このインターブランド社に限らずいろいろあり、また日本でも独自の評価方法が研究されているのですが、インターブランド社が、「財務力」「ブランドが購買意思決定に与える影響力」「ブランドによる将来収益の確かさ」という3つの観点で独自の評価方法をつくり、また「グロ−バル・ブランド」という切り口でランキングしたこと、またビジネスウィーク誌と組んで毎年発表するというマーケティングで、一躍存在感を増してきたように思います。

しかし、今回は「特定の国の企業を対象に、世界基準でブランドランキングを行ったのは今回が初めて」であり、その理由が「日本のブランドがもっと強くなれるように」ということだそうですが、日本市場を狙うインターブランド社の意図が色濃く出て、なかなか上手に切り込んでくるなあと感心します。
しかし同時にインターブランド社ですら、この不況は大変なのだろうなと感じてしまいます。だからブランディングに熱心でない日本を攻めようかということでしょうか。まあ、しばらくは、グローバル・ブランドで測定された企業は、輸出不振でブランドどころじゃないよという感じかも知れませんが。

まあ、こういったランキングは眺めて、いろいろ実感と照らし合わせてみるのも面白いのですが、国によってブランドを巡る環境は違うので、実際のマーケティングでは、それぞれの国のなか、日本であれば、日本でのブランド評価のほうが重要になってきます。
さらに、もっと細かな市場分野、その局地戦のなかで競い合うブランドがお互いどれぐらいブランドパワーを持っているのかのほうが実務的にははるかに重要になってきます。

また不況が続けば、ますますブランド淘汰の嵐は強くなってくることは避けられません。、生き残っていくことができるブランド・ポジションを探り、またどうつくっていくかが問われる時代になってきます。
あるいは、小売業のブランドのサプライヤーとして生き延びるという手もあるのかもしれませんが、その座席もそう簡単に手に入るわけでなく、厳しい時代になってきたなということでしょうね。


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イオンの液晶テレビは成功するか?

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イオンが、20日からダイナコネクティブのDVDプレーヤー内蔵32型液晶デジタルテレビを49800円で売り出すと発表しています。
DVD内蔵の液晶TVを格安で=イオン

ずいぶん安い価格のように感じますが、しかしDVDプレイヤー内蔵ってスペックはどうなんでしょうか。あれっ、間違いじゃないのと一瞬疑ってしまいました。一人暮らしの若い人にはニーズがあるのでしょうか。しかも、メーカー品との市場実勢価格よりは2割以上安いのですが、ポイントなどを組み合わせた実質価格では、5万円台でも買えるものがあり、ちょっと価格差が微妙です。

品質やブランドにこだわる日本の市場で、果たして売れるのでしょうか。この不況で日本でもエレクトロニクスの分野でのPB戦略が通じるようになるのかの試金石として注目したいところです。

イオンは気がついているのかどうか分かりませんが、ブランドの壁はその機種が最初にある程度売れたかどうかだけでは突破したことになりません。ブランドに信頼があると、故障などのクレームが起こった場合でも、たまたま故障しただけだと思ってくれますが、ブランドに信頼がないと。リモコンがすこし不具合になっただけで、やはり駄目だったということになります。よほどクレーム処理体制が整っていないと、ブランド評価が落ちてしまいます。ブランドの壁は売れた後にもやってくるということです。

食品や雑貨品の分野では、小売り業のPBが成長するにつれ、それぞれのカテゴリーでトップか第二位のプランドパワーを持たない限り、PBのほうがブランドパワーを持ちはじめているという構造変化が起こってきていますが、さてエレクトロニクスの分野でもそういった構造変化が起こってくるのでしょうか。直感ですが、ダイナコネクティブからの仕入れでやっているという感じなので、まだちょっと難しいかもしれません。


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コンビニでバレンタイン

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このところ、サークルKサンクスのオリジナルデザートブランド「シェリエドルチェ」のCMが結構目立ちます。「ドルチェナ関係」「サークルKサンクスの上質なデザート シェリエドルチェ」というナレーションで、バレンタインに照準を当てたものです。
コンビニでバレンタインのプレゼントを購入するという時代が拓かれてきたのでしょうか。高級なスイーツと二極化してくるということでしょうね。

近くでは、サークルKサンクスが不便なところにあることと、こういったデザートはあまり食べる習慣がないので味のほうは試していませんが、ブログなどを見るとなかなか評判も悪くないようです。

このサークルKサンクスに限らず、コンビニやスーパーのPBのCMも珍しくなくなり、また不況を追い風にして、PBが伸びてきているようですが、この「シェリエドルチェ」のように、たんに低価格というだけでなく、メーカーのナショナルブランドにたいして、ユニークな特徴や品質でも差別化している、いわゆるアップスケールPBとかプレミアムPBといったゾーンを狙う商品も登場してきました。

重要なことは、その背景に商品の企画、製造、販売の一貫したマーケティングを展開する小売り業のビジネス・モデルが成長してきたということがあると思います。小売り業は、最終的に顧客接点となる売り場という強力なメディアを握っていて、それぞれのPBの魅力をアピールするヴィジュアルマーチャンダイジングを自らコントロールして展開できるのも、メーカーブランドに比べて優位になってきます。さらにクーポン発行などの特典をつけることもでき、マーケティングの手段が多いのです。

日本でPBが誕生して、もう30年以上になりますが、欧米に比べると、まだ日本のPBの展開アイテム数や販売比率は低いのが現状です。しかし、いよいよ本格的なPB化の時代に入ってきたという印象を受けます。

こうなってくると、ただでさえ市場が収縮してくると、それぞれのカテゴリーで、ブランドの淘汰が進んでくるだけでなく、二番手、三番手のブランドが、それぞれの小売業のPBに置き換えられていくということになってきそうです。

メーカーが生き残っていくためには、強い個性をもったブランドを育て、顧客との絆(ブランドロイヤルティ)を深めていくことしかありませんが、まだまだマスマーケティングの時代の価値観から抜け出せないメーカーも多いような気がします。
日本ではあまりブランド戦略が重視されない傾向にありますが、小売業のほうが巧みなブランド戦略を完成させてくるのかもしれません。


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大丈夫だろうか?花畑牧場

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花畑牧場

久しぶりの千歳空港でしたが、相変わらず花畑牧場の生キャラメルを求める人の列ができていました。販売時間を制限して人が並ぶようにしているのかもしれませんが、詳しくは分かりません。。
一階には、花畑牧場生キャラメルカフェとホエー豚亭がオープンしており、また2階ロビーも、花畑牧場の電飾看板、花畑牧場の大きな垂れ幕、クリスマスツリーならぬ生キャラメルのツリーなど花畑牧場一色の感があり、まるで花畑牧場が千歳空港ロビーをジャックしたようで、ちょっとイメージの過剰さを感じてしまいます。

生キャラメルツリーブランドにならないと生き残れないという思いが成功し、見事にブランドとして離陸し、快進撃を続ける花畑牧場ですが、いよいよ、ブランドとして離陸の段階から維持継続、さらに成長と進化の段階に入ってきていると思えます。この切り替え、戦略シフトができるのかが今後の焦点になってくるのではないでしょうか。

当然、さまざまなリスクが発生してきます。下手をすると一過性の流行で終わってしまいかねません。火のついた流行は、いずれ消えていきます。人は飽きやすいのです。商いは飽きないであり、飽きさせない事業づくりができるのかということがあります。また、もうすでにあちこちに違うブランドから生キャラメルが売られていました。今はまだ脅威とはなっていないとしても、そういっライバルからのチャレンジも受けます。他の生キャラメルは試食できたので食べ比べてみたのですが、どちらが美味しいかは微妙です。また手作りを価値として拡大すれば、当然高度な品質管理の手法や体制も求められてきます。

生キャラメルカフェホエー豚亭


ところで一階にできた花畑牧場生キャラメルカフェでもホエー豚亭でも1470円のセットメニューを注文すると、3箱までは並ばずに生キャラメルが買えます。店員さんが、店頭に立って、通行する人たちに説明して誘うのですが、日曜日の帰り客のラッシュアワーにもかかわらず、店内は空席のほうが多いのが気になりました。それに数量が制限されているとはいえ、花畑牧場生キャラメルカフェやホエー豚亭でセットメニューをオーダーすれば、そこのレジですんなり並ばずに生キャラメルを購入できるというのは、2階ロビーの人の列はなになのかという疑問を感じてしまいます。

「声が大きい奴ほど弱いんだ 」という映画アメリカン・ギャングスターでフランクが語る教訓、つまりブランドに置き換えると、過剰な広告、過剰なブランドの訴求は、商品の弱点を隠そうとしているのだという教訓、また船場吉兆の創業者の湯木貞一さんが残した「料理屋と屏風は広げすぎると倒れる」という格言とかのなかにも真実はあり、ちょっと拡大を急ぎすているのではないか、それでは手作り感を失ってしまうのではないか危うさを感じてしまいました。危惧で終わればいいのですが。
声の大きい奴ほど弱いんだ(過去記事)


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スタバ"失速"の根深い理由

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産経でイタクラヨシコさんの面白いコラムがありました。スタバ”失速”の理由が、「実のところ、何のことはない、やたらと泡の多い飲み物が割高感を呈し始めたからではないか」というご指摘。「液体部分を飲み終えてなお高々と残る泡の量に心虚(むな)しくなった」そうです。いかにブランドでも不振が伝わってくると、かつての魅力であったものも、欠陥として見えてくるということでしょうか。
スタバ“失速”の原因

スタバは、このコラムでも語られているように、ちょっと中途半端になってきていることを感じます。「北米の都市部のおしゃれなカフェブランド」という価値がどんどん多店舗化を進めるなかで失われ、他のカフェとの違いがよくわからなくなってきていることも事実だと思います。

かなり無理に思える出店をスターバックスは進めてきたわけですが、そもそもスターバックスをそう駆り立てたのも、株価、そして時価総額を上げるために、無理に売上げを上げていこうとしたことにあったのではないかと思えます。
このあたり、ホリエモンのライブドアの最後のあたりで、時価総額こそ企業価値だとして、どう考えても事業の相乗効果が期待できない企業買収に走り、これは危ないと感じたのとか、米国や英国で製造業が消えていったのと根っこは同じ問題だと感じます。

実際のブランド価値というならお客さまからの満足や支持を広げていくことでしょうが、それには時間も労力も必要だし、市場とのやりとりのなかで磨いていくしかありません。
とくに単一のブランド、しかもスターバックスの店舗とサービスの付加価値を保ちながら事業を広げて行くとなるとそれなりの節度や、じっくりマーケットを育てていくということが必要になりますが、株の世界は、そんな悠長な話を待ってはくれません。
北米ではお店をコーヒーの香りで満たしたり、いろいろサービスの質を上げる努力もしているようです。しかし、急激な店舗増で希少性も薄れ、さらにライバルが増えてくると、なかなかそういった地道な努力がすぐに効果を出すというわけにはいかなかったということでしょう。

株の世界は、より高い株価を求めて、短期的な利益と事業の拡大を急がせます。それが時には事業がバブル化してしまい、ブランドとしての価値を希薄化させるというリスクをも生みます。スタバはそれにはまってしまったのではないかということでしょう。
関連そんなにスタバを増やしてどうするの? (2006年10月10日
スターバックスがブランド再建にチャレンジ (2008年3月24日)


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文化と体験を広げるブランド・マーケティング

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Gooの記事で、クラブハリエが取り上げられていました。いつの間にか、滋賀県の和菓子の老舗「たねや」が展開する洋菓子部門のクラブハリエが、バウムクーヘンのクラブハリエB-studioとして多店舗展開を加速し、いずれの店もいつも行列ができていることで注目されるようになってきました。
行列バームクーヘンから学ぶ戦略

しかし、クラブハリエは地元の滋賀県では、もともと行列ができる有名店であり、バウムクーヘンだけでなく、近江八幡の日牟禮ヴィレッジや守山玻璃絵館などにある喫茶コーナーも、順番入れ替え制であり並ばないと入れない人気スポットです。
近江八幡の日牟禮ヴィレッジは近江八幡に観光で訪れる人たちが寄るということもあるでしょうが、守山の店は、とてもついでに寄るという立地ではないにも関わらず、人の列ができているのです。
日牟禮守山
日牟禮ヴィレッジ
守山玻璃絵館

もちろん、クラブハリエのバウムクーヘンは美味しいのですが、しかし、美味しいと言うだけで、これだけの人気が得られるというものではありません。日牟禮ヴィレッジや守山玻璃絵館に行けばわかると思いますが、お店が煉瓦造りの洋館であり、庭には季節の花が咲き、豊かさや文化の香りを楽しめる空間が広がっており、またバウムクーヘンを創っている清潔な工房が見えます。
つまり非日常の「体験」と手作りのプロセスも含めた文化の「見える化」を行って、味覚を超えた付加価値をクラブハリエは提供してくれているのです。しかも、並んで買ったクラブハリエのバウムクーヘンは消費期限が当日しかありません。これも、材料がそれだけ自然であり、生の美味しさを味わってもらうというだけでなく、きっとわざわざ並んで買ったという「体験」を、話題として鮮度のあるうちにご家族や友人の人たちに伝える価値にもなっているのではないでしょうか。
つまり、購入から、持ち帰り、実際に食べるというプロセスに、特別な「体験」やコンテンツが埋め込まれているということでしょう。
そして、滋賀県というと建築家であり、また近江兄弟社を生んだウイリアム・ヴォーリズを思い起こさざるをえませんが、やはりホームページの山本CEOの言葉のなかにも、「戦後間もなくこのヴォーリズさんの勧めで洋菓子の製造販売をはじめた」とありました。
つまり、脈々と滋賀県に流れるヴォーリズの文化のDNAがこのクラブハリエにも流れているということでしょう。クラブハリエには、幾重にもコンテンツがあり、それを「見える化」し、さらに「体験」を売るというマーケティングの奥深さにきっと感動があるのではないかと感じます。
近江八幡は世界の中心(過去記事)


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ブルーレイといえば断トツSONY、しかし販売台数では?

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インターワイヤード株式会社が実施した 「ブルーレイディスクレコーダーに関するアンケート」によると、ブルーレイと聞いて思い浮かぶのは、一位が「SONY」、つづいて二位に「矢沢永吉」で、この間SONYが大量に投入したテレビCMの効果がでた結果となっています。

「ブルーレイといえば、SONY」というイメージづくりができ、ブランディングに大成功したように思えるのですが、ところが現実はそうはなっていないようです。
BCNランキングを見ると、実際のブルーレイディスクレコーダーの売上げランキングでは、PanasonicやSharpのほうが上位にきており、SONYは、いまひとつ冴えません。
人気BDレコはコレだ! HDD容量別売れ筋トップ3(昨年9月)
直近の週間ランキング(集計期間:2008年12月29日〜1月4日)を見ても、PanasonicとSharpが上位のランキングを競い合っており、SONYは7位に1機種が入っているにすぎません。
週間ランキング(集計期間:2008年12月29日〜1月4日)

大量の広告を投入し、「ブルーレイといえばSONY」というイメージづくりに成功して、売上げが冴えないということは、そこにテレビ広告の限界が垣間見えるように感じます。ちょっと放送局にとってはかなり痛い結果ではないでしょうか。

ちなみに「ブルーレイディスクレコーダーに関するアンケート」で購入する際に参考にしたもの(複数回答)を見ても、TVCMはやっと六位に来るに止まっており、むしろインターネットの重要性が浮かんできているという結果です。

一位 カタログ・パンフレット 36.6%
二位 インターネット(メーカーのホームページ) 36.0%
三位 店員の話 33.8%
四位 店頭の商品 29.6%
五位 インターネット(その他のページ)24.5%
六位 TVCM 23.3%

実際には、PanasonicやSharpというこのカテゴリーで強い他のブランドがあるなかで、SONYはポジションとしてはチャレンジャーでしかないにもかかわらず、差別化の焦点を絞らずに、あたかもリーダーであるかのようなイメージづくりをやってしまったマーケティングの失敗というところで落ち着きそうです。


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自動車のエンブレムデザイン

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今は国産車に乗っていますが、かつてアルファロメオに乗っていたことがありました。ある時、そのアルファロメオのエンブレムを盗まれるということがあって、朝、駐車場に行くと、そこにはあったのは、ただの普通の車でしかないアルファロメオでした。車のデザイン要素として、エンブレムの力が大きいことを思い知らされた事件でした。

今時は、よくハリアーとかアリスとでトヨタのエンブレムをレクサスのエンブレムに、あるいはホンダをアキュラに、日産をインフィニティのエンブレムに変えている車を見かけることがありますが、賛否はあるでしょうが、なんとなく気持ちは分かります。
もう十年以上前だと思いますが、若い女性をターゲットとした車で、「マイオリジナルカー」というコンセプトをある自動車メーカーに提案したことがあります。
アクセサリーのバリエーションを広げ、またいくつかのエンブレムから選べるようにして「自分仕様」の車にできるようにしようという企画でしたが、残念ながら採用されませんでした。ちょっと提案のタイミングが早すぎたのかもしれません。
さて、その自動車のエンブレムですが、先日ブログAd Innovator(広告の近未来)で自動車メーカーのロゴタイプの進化を取り上げたブログが紹介されていました。
Car logos evolution
エンブレムを変更するには、時代の背景やその企業になんらかの大きな変化があったからだとは思いますが、ルノーがずいぶん変更してきたことには驚きます。戦車がモチーフという時代もあったのですね。
ルノー

ついでですが、時代の変化を感じるというとリンゴマークのアップルも創業当時はこんなデザインでした。コンピュータというイメージがしませんね。
アップル

さて、自動車産業と言えば、エンブレムの話からはそれますが、現在、アメリカのビッグ3をどう救済されるのかが未だに定まっていませんが、救済を求める経営者が自家用ジェットでやってきたという神経にはさすがに批判が集中しました。

しかし、アメリカ車そのものが、燃費効率や、地球温暖化への社会的な関心が高まるとともに、人気が落ちてきたわけで、いくら資本や資金を注入しても当面はしのげるとしても、根本の解決にはならず、提携による技術導入、開発戦略の見直し、またブランド戦略などの根本的な考え方も変えていかなければ存続は厳しいでしょうね。

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世界のソニーというじゃない?

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遅まきながらの話題。矢沢永吉さんといえば、最近はSONYのブルーレイやBRAVIAのシリーズ広告が思い浮かびます。実は矢沢永吉さんがCMに登場したのは、プロジェクトで関わっていたカセットテープが最初だったので、懐かしい感じがします。矢沢永吉さんはカリスマ性があって、矢沢命!という熱狂的なファンが多かったですね。
ソニーさんは、さすがに広告が上手です。そのシリーズCMが、最近のは、「世界のソニーっていうじゃない?」というものになっていますが、聞くたびに左脳が違和感を訴えてきます。

液晶テレビでは世界市場で、とくに主戦場の北米ではSONYはサムスンに抜かれているし、ブランド力でもサムスンに抜かれているという調査もあって、「世界のソニー」はぐらついているというのが本当のところでしょうが、どうなんでしょう。
ウォークマンで世界制覇していたオーディオも、シェアもブランドイメージもアップルに圧倒的に抜かれています。かつての「世界のソニー」の輝きは資産としては残っていたとしても、ずいぶん劣化してしまったのではないでしょうか。

まあ、それほどCMを理窟っぽく見るというか、ハスに構えて見る人はいないので、まあいいかということですが、あのCMは実に巧妙です。ソニーからのメッセージと言うよりは、どのシリーズも矢沢永吉さんからのメッセージというしつらえになっていますし、また「世界のソニーだ」と言い切っていません。だから抵抗なく受け入れられているのではないでしょうか。
しかし逆にいえば、誰かを借りないとメッセージって効かなくなってきているのかもしれません。訴える力や、魅力をもったメッセージを持っていないということでしょう。それこそブランドとしてどうなの?と突っ込みたくなるのを押さえて、いいCMだとしておきましょう。

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釣られてしまった「ブランディング効果3つの法則」?

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「ネット広告によるブランディング効果3つの法則とは? マイクロソフト、ヤフーらが検証」というCNETの記事タイトルに釣られて読んでしまいました。中味は、たんに「ネット広告の効果についての調査」でしかありません。どこがブランディング効果なのかさっぱり読み取れません。それにPDFをダウンロードすると4月にリリースされていたものなので、なぜ今頃記事になるのかも不思議です。
ネット広告によるブランディング効果3つの法則とは? マイクロソフト、ヤフーらが検証

ネット広告効果3つの法則と書いただけでは、注目されないので、わざわざ「ブランディング効果」とやってしまったということでしょうか。
もちろんすべてのコミュニケーションはブランド価値を高めるためにやっていると言ってしまえばそうかも知れませんが、それでは身も蓋もありません。共同研究なので、赤信号みんなで渡れば怖くないということでしょうか。それこそ錚々たる参加企業ですが、それぞれの企業の信頼性やブランドが傷つくんじゃないかなと、人ごとながら心配します。いずれにしてもあまり健全とはいえないですね。

さてブランディングのほうですが、こう消費が冷え込んで、再びすさまじいデフレ圧力がかかってくると、マーケットを押さえていないブランドはどうしても価格競争に巻き込まれてしまいます。
販売が伸びず、価格が下落してくると経営的にも厳しくなることは言うまでもなく、しかも価格が崩れれば崩れるほどブランド力は落ち、さらにまた価格が崩れるという悪循環にはまってしまいがちです。そんな蟻地獄に陥って危機に瀕した事業の立て直しをやったことがありますが、いったん価格が崩れ始めると、根本的な戦略転換、発想の転換をしないと難しいですね。ブランドの再構築、いったい他のブランドとは何が違うのかをしっかり定め、さらにマーケティングの4P(商品政策、価格政策、流通政策、広告販促政策)なり、4C(顧客価値、顧客コスト、顧客利便性、コミュニケーション)の中味を変えていかないとそんな蟻地獄からは抜け出せません。
それができないままに、販売量を求めるとどんどん価格が下落していくので、無理に無理を重ねたコストダウンをするのですが、それが食品業界などで見られるように思わぬ落とし穴にはまってしまうという結果にもなりかねません。
大胆に言い切ってしまえば、ブランディングは価格をキープする、できればプレミアム価値をつけていく戦略であり、そのためにはカテゴリートップでなければ価格キープもプレミアム価値も実現できません。
同じ土俵で競争している限りは、その土俵を支配しているトップブランドを切り崩すのは至難の業です。だからブランドの新しいポジションをつくり、差別化をはかり、新しいカテゴリーを創造していくということになります。
ブランディングって、事業の死活問題だと思うのですが、それが広告でどうなると言われても、ちょっとピンときません。

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スティーブ・ジョブスの巧さは映画を見ているようだ

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新しいMACBOOKが発表され、話題を呼び、ネットでは記事が毎日のように記事が更新されています。その記事数は、GOOGOLEのニュース検索で見ると一週間で750件を超えています。さらにテクノラティでも、ブログの人気キーワード第二位となっており、MACBOOKを含んだブログが急増しています。

過去30日間に書かれた、macbookを含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「macbook」に関するグラフ

確かにネットに流れている写真を見る限り、薄くスタイリッシュに仕上がっていて好感が持てますが、しかし、個人的には、すでにノートPCが、なくてはならない道具とはいえ、特にPCそのものに対して期待するところが、電池の持ちと、OSの立ち上がりの速さぐらいで、その他はほとんどなく、コモディティ的な存在となってしまっているので、MACBOOKそのものに対する関心は沸いてきません。
それによくよく見てみると、人によっては違うかも知れませんが個人的にはさほど感動する技術イノベーションも感じません。トラッキングエリアが拡大したタッチパッドの搭載で、ジェスチャーによって操作するというのも、功罪があるということでしょう。
アップル、新MacBookを発売--注目のアップグレードポイントを徹底分析

それよりは、アップル、というよりもスティーブ・ジョブスのマーケティング戦略の巧みさに惹きつけられます。
iPodとiPhoneで切り開いた高いブランド・イメージ効果で、これまでグラフィック関連市場や教育関連市場のニッチな分野で生き延びてきたアップルのPCが、PCにこだわりを持つユーザーにも少しずつ裾野を広げてきたわけですが、XPやVISTAも使えるので、WINDOWSのPCからのブランドスイッチのリスクも小さく、今回の新しいMACBOOKはさらにファンを広げることは間違いないと思えます。ブランドがいかに重要かの新しいモデルケースにもなりそうです。

さらにスティーブ・ジョブスは、情報を小出しにしながら、コントロールし、巧にメディアやオピニオン・リーダーを引き寄せ、期待感を増幅させ発表にもって行きます。そしてスティーブ・ジョブス自らがプレゼンテーションを行います。これほど見事な演出がかつてあったでしょうか。
iPhoneは、独特の携帯文化ができあがっている日本での反応はいまひとつとしても、グローバルな市場では独特のポジションを固め、実際の販売数量以上の存在感をつくりました。

おそらく、それからこのMACBOOKも、ノートPCユーザーのメインを押さえるところまでいかず、シェアを伸ばす程度でしょうが、それ以上に実態以上のブランド
の存在感をさらに広げることになると思います。
個々の技術イノベーションや広告・プロモーションといったマーケティング手段ではなく、マーケティングを統合して、新しい世界をプロデュースするリーダーシップは、いま求められているマーケティングのあり方を象徴しているように感じますが、比較的ボトムアップ型のマーケティングを行っている日本のマーケティングがそういったマーケティングを実現できるかどうか。もっと異なるマーケティングスタイルを創造できるのかにどうしても関心は向かっていきます。

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生き残るためにはブランドになるしかない

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北海道千歳空港出発ロビーの土産コーナーで並んでいる人の列が目立ちます。花畑牧場の生キャラメル求める人たちです。ちょっと前に、この花畑牧場を特集した番組がありましたが、そのなかで、田中義剛さんが、北海道で牛乳の生産過剰で大量廃棄しなければならない事態が起こった時に、農家は政府や農協に頼っていては生きていけない、ブランドになることしか生き延びる道はないという確信を持ったということを語っていらっしゃいました。
一頭の乳牛を育てることから牧場経営をはじめ、さまざまな苦労を経て育ててきた事業も、今や90億円の売上げをあげているそうです。人の列ができるのも、きっと花畑牧場に、人びとの共感を呼ぶ物語りがあり、そのブランド化に成功したからに他ならないのではないでしょうか。
花畑牧場

「日々是マーケティング」さんが、朝日新聞の「脱下請けへ自社ブランドで百貨店へ 神戸・長田の靴会社」という記事を受け、「積極的に動き出す下請け企業」を書かれていました。こちらも生き残りをかけたブランド化のお話です。
長田地区は、ケミカルシューズをつくる中小零細企業の集積地ですが、阪神大震災で大きなダメージを受け、さらに低価格の海外製品の流入や国内景気の不振が続いていたところに、原油の高騰でさらに経営が厳しくなっており、このまま下請け企業をやっていては生き残れないという思いをもった4社が、阪神百貨店で自社ブランドで直接販売を始めたそうです。
積極的に動き出す下請け企業

「日々是マーケティング」さんが問題提起されているように、顧客のオリジナル靴を作る「私御用達靴工房」といったブランドポジショニングを勝ち取れば、面白いことにもなりそうです。

原材料高、その価格転嫁によるインフレが起こっているとはいえ、下請け企業や中小零細企業には未だに厳しいデフレ圧力が働いており、しかも発注元が業績不振となれば、そのしわ寄せを食うのは中小零細企業というのが現実です。
そういった中小零細企業が生き残っていくためには、ビジネスがB2Bであれ、B2Cであれ、自らの会社や事業をブランド化に成功するかどうか、ブランド化によって、自らの商品やサービスに付加価値をつけていけるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。
現代は、「選択」の時代です。マーケットは多様な「選択肢」を求め、すさまじい勢いで分散しはじめています。たとえ小さな市場でも、生き残っているためのスペースがあればいいので、中小零細企業がブランド化を進めるチャンスも広がってきています。
ブランド化といえば、ともすれば大企業、しかもマスマーケティングの世界の話と思う人もいらしゃるかもしれませんが、むしろ中小零細企業にとってのほうが重要なテーマとなってきています。もっと言えば個人にとってもブランド化が生き残っていくために必要になってきたのではないかということです。

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bブランディング22の法則

 

 

 

 


企業を高めるブランド戦略 (講談社現代新書)

田中義剛の足し算経営革命-北海道発 大ヒットの法則! (ソニー・マガジンズ新書 15)

今日からPanasonic

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新聞紙面が金融問題と政局で埋め尽くされ、記事としては小さくなってしまいましたが、今日から正式に「松下電器産業株式会社」が、「パナソニック株式会社」に社名変更されます。
ブランド戦略がマーケティングのもっとも重要な課題とまでいわれる時代です。そのブランド戦略ということでは、ブランドの認知を広め、イメージをつくるというコミュニケーションの領域では、広告効果がどんどん落ちる傾向にあり、パブリシティの重要性が高まってきています。これは、iPhoneや、H&Mなどが新聞紙面、テレビのニュースを占拠し、人びとの目を釘付けにしたことで目の当たりにしました。
世界市場でブランド価値を高めていくうえで、ブランドと社名が異なることは極めて不利であり、パナソニックへの思い切った社名変更も当然の流れでしょうが、なにかもっと大きな時代の変化を象徴しているように感じます。社名の変更によって経営の流れも変わってくるのでしょうが、日本の製造業の変化すべき方向のお手本となって欲しいと言うのが正直なところです。

この社名変更によって、ブランドも「パナソニック」に統合され、「ナショナル」ブランドが姿を消します。
創業者松下幸之助は、産業の使命を「貧乏の克服」だとし、生産に次ぐ生産で、「物資を安価無尽蔵たらしめ、楽土を建設すること」だと工業化社会の本質を見事に語りました。
安い水道の水を通行人が飲んでもとがめられません。それは水道水が安いからであり、便利な、生活を豊かにする家電製品を誰もが水道水のように手に入れるようにすることを目指すというのが「水道哲学」で、「ナショナル」のブランドはその象徴ともいえる存在でした。
その「ナショナル」のかつてのCMも、「水道哲学」が目指し、生産力をあげていくことで価格を下げ、どんどん普及させていく時代、そこに人びとが明るい将来を見いだしていた時代を象徴していました。

明るいナショナル
明るいナショナル
ラジオ・テレビ、なんでもナショナル

しかし、工業化社会が進展することで、供給力が需要を大きく上回り、モノが溢れる時代となりました。「水道哲学」で語られた社会的使命は、すくなくとも先進国ではもはや終わっています。
そして産業もモノではなく、情報や通信が主役となり、人びとの関心も、モノの所有ではなく、どんな新しい体験ができるかに移ってきただけでなく、消費の舞台も家庭からモバイル空間へと広がってきました。
競争の舞台も世界に広がり、日本はデジタル家電で、品質と価格、さらに技術イノベーションによって世界市場を席巻してきたわけですが、そんな勝利の方程式ももう通用しない時代となってきています。日本の企業のように自前で開発するのではなく、優れたモジュールを他社から調達し、それぞれの市場に柔軟にあわせて圧倒的なスピードと品種で製品を投入してくるサムスンやLG電子の台頭に苦戦を強いられてきているというのが現実でしょう。
海外では、アメリカからヨーロッパや中国にマーケティングの重点を移し、中国から工場を日本に戻すなどの動きを行ってきたパナソニックですが、「松下電器」として、家電業界をリードしてきた同社が、社名変更でどのように経営の舵を切っていくのか、世界のパナソニックとしてのポジションをどのように築いていくのかに注目したいところです。
社名変更を機に冷蔵庫などのいわゆる白モノ家電も、北米などにも投入し、国際市場での事業を強化しようという動きも当然と言えば当然かも知れませんね。

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