夜明け前」という松岡さんのブログで出会った言葉です。まさにその通りだと思います。ビジネスやマーケティングの奥深い本質かもしれません。
さて、このブログをどういう経緯で知ったのかは忘れましたが、マーケティングの現場で生きてきた私も共感できる考え方が随所に展開されています。私のように思いつくままに書くというスタイルではなく、しっかりした構成で連載されており書籍に近いスタイルのブログといえるかもしれません。先日、コメントを記入したところお返事のメールをいただきました。

さっそくですが、「夜明け前」のこのコラムの冒頭の言葉を紹介させて下さい。

「儲かりますよと騒いでいる言葉に出会ったとしても、それは成功の扉にはなりえないという経験則です。本当に儲かるなら、書いた人が黙って実行しているのですから。」

それでも儲かるヒントが欲しいというのが人の常です。しかし、実際、そうやって儲けた人の話はほとんど聞きません。それで確実に儲けたり得をするのは、そういった本を書いたり、儲け話を持ち込んだ人たちですね。
話を戻しましょう。成功と失敗ですが、最初から、成功する、最初から失敗するということが分かっていれば苦労はありません。たちの悪いことに成功も失敗も、やってみた結果でしかわからないのです。しかし、これだけは言えます。成功のための鍵に気がついたり、幸運を掴むのは、偶然だとしても、成功するために努力していない、あるいはなんらかの行いをやっていなければ成功するということは絶対ありません。
しかも大切なポイントだと思いますが、ビジネスはしばしば天の邪鬼なのです。たとえば、なにかの商品やサービスを一生懸命伸ばそうと努力しているときに、突然狙いとはまったくちがう分野で幸運が舞い込んでくるということがよくあります。結果としては、一見ピント外れな努力をしていたように感じるのですが、しかし、「結果としては無駄な努力」をしていないと、そんなラッキーも舞い込んでこないのです。
今は、ある大きな会社のトップになっていらっしゃる方ですが、まだ事業部長をされていたころに、こんな話を伺いました。営業畑出身のの方ですが、「営業が本当にカバーできるのは10%のお客さまぐらいかもしれない。そう思ってしまうとなにもできない。しかし、その10%に向けてしっかりやっていると、残りの90%からも成果がでてくるから不思議なんです」とおっしゃっていたのを今でも鮮明に覚えています。
どちらも、まったく論理的な話ではありません。きっと、なんらかの努力、あがきをやっているときは、情報に対する感度が極めて敏感になっているのだと思います。情報に敏感になっているだけでなく、きっと、知らず知らずのうちに新しい考え方やエネルギーを生みだし、オーラのように発信しているのかもしれません。

逆の場合ですが、沈滞した組織や不振な組織に共通しているのは、どうせ、そんなことをやってもだめだという評論家的な意見が横行し、チャレンジの芽を摘み取る体質が蔓延しています。結局はなにもしないのです。そうしてどんどん業績が悪化していきます。これは「失敗は必然」の典型例かもしれません。しかも、そういった組織のほうが暴走することが多いですね。外部から持ち込まれた「魔法の手法」に騙されるのです。
小さな失敗を繰り返して痛い目にあっていると何が危険かを察知する感覚が鋭くなってきます。しかし失敗に慣れていないと、どんな話にもリスクがあるということにすら気がつきません。だから、やっていることが間違っていても歯止めがききません。そうして失敗すべくして失敗していくのです。

さらにこうも書いていらっしゃいます。

「これは僕の持論です。勝ち組(成功者)に学ぶことが流行っている昨今、結果論でもっともらしく解説ようとする風潮には、辟易しています。」
「いつの時代でも重要なことは、反対側から見る勇気です。みんながそうだと言うことに、ビジネス上の価値はほとんどありません。世の中の常識に、誰よりも早く挑戦する。このことが、事業刷新にとってもっとも重要な考え方です。」

実際には。勝ち組から学べることも多いと思います。しかし、以前に書いたように「戦略は結果として描かれるのです」。成功したから、戦略として筋道を立てて書かれているのです。本当はもっと泥臭い努力とか、偶然つかんだ幸運が陰に隠れていると見る方が間違いないですね。あるプロジェクトで成功をしてそれが本になったことがあります。読んだとき、プロジェクト仲間とずいぶん感心しました。「へえー、僕たちはこんなことを考えていたんだ。すごいね。」
新しいことも、よくよく蓋を開けてみると当たり前のことが多いのです。「世の中の常識に、誰よりも早く挑戦する」ということでなくとも、自らが持っている常識、会社や組織の常識、業界の常識のなにが変であり、「世の中の非常識」なのかを考えてみるといいヒントが生まれてくることがあります。そんな「世の中の非常識」に気がつくためには、お客さまとの対話や、利害関係のない人たちとの対話が大切だと思います。お客さまも、利害のない人たちも正直です。おかしいことはおかしいと言ってくれますからね。

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