気がつくと「コーチング」がずいぶん脚光をあびるようになってきました。「こんな会社で働きたい★いち人事マンの人材戦略大改革論」さんのブログによると、「コーチングが日本で広がり始めたのが1997年頃で、1999年〜2001年にかけて瞬く間にメジャー級の認知がされるようになった」そうです。
そういった流れの中で「コーチング・ビジネス」も、ずいぶん数多く生まれてきています。しかし、インターネットで、そんな団体や会社のいくつかのサイトを訪問し、「コーチング」について書かれているものを読んでいるうちに、次第に違和感のようなものを感じるようになってきました。
私の理解では、ほとんどのサイトでおっしゃっている「コーチング」は「メンタリング」のことのようです。またまた言葉にこだわり始めたと言われそうですが、スポーツをやった経験ある人はすぐに分かることですが、「コーチ」と「トレーナー」は役割が違います。同じように、「コーチング」と「メンタリング」は違うといいたいのです。なぜ、「コーチング」という言葉で、「メンタリング」が広がってきたのか不思議に思いました。
スポーツの場合、選手の基礎体力づくりや、怪我を防ぐためのケア、また怪我をした時の手当から、復帰のためのリハビリテーションまで、心身にわたるコンディションづくりをするのが「トレーナー」です。「トレーナー」は、それこそ、ひとりひとりの選手のコンディションづくりの責任を持っていますから、ONE TO ONEの仕事です。「メンタリング」は、この「トレーナー」の仕事に近いですね。「トレーナー」の仕事も注目されてきている分野ですが、例えどんなに優秀な「トレーナー」の人であっても、「コーチ」をしてくれといったら、お門違いだと叱られます。
個人競技ならいざしらず、すくなくとも団体競技では、「コーチ」は勝利に向けてチームと選手を創りあげていくことが仕事です。「コーチ」はひとりひとりの選手のケアもしますが、選手のモチベーションを高め、またチーム力をアップしていくために、場合によっては選手同士を競わせ、またふるいにかけるという厳しい選択もしなければなりません。トレーナーは違います。選手ひとりひとりをケアしていきます。レギュラーの選手であれ、、控えの選手であれ、試合にでることのない選手であっても分け隔てしません。
コーチは、チームをどうつくるか、ゲームがどうあるべきかについて、選手の意見を聞くこともあるでしょうが、決めるのはコーチです。選手に勝手に決められたらチームになりません。選手のレベルを上げていくために、きめ細かく練習メニューをつくり、また技術指導をしながら選手を育てていくのも、コーチの仕事です。緊張感をつくりだし、選手を奮い立たせていくのもコーチです。ちなみに、日本では、星野監督とか長島監督とか、「監督」という言葉を使い、それぞれのパートを受け持っているのがコーチという認識ですが、「監督」は「ヘッドコーチ」であり、やはりコーチの世界に属している人です。
スポーツ、特に団体競技の「コーチ」の役割と現場のマネージャーや現場のマネジメントを支えているリーダーの人たちの役割もよく似ています。また「コーチング」という点ではスポーツの世界は歴史があり、いろいろ参考になることも多いように思います。ここで取り上げる「コーチング」は、チーム運営に役立つ「コーチング」という視点です。だから「ビジネス・コーチング」と書きました。「チーム・コーチング」でもいいですね。今のマーケティング部門や営業部門のチーム・マネジメントにとって「チーム・コーチング」は重要なテーマだと思いますので、ちょっと、いくつかの連載で「コーチング」について書いていきたいと思います。
いろいろな視点があって当然なテーマだと思いますので、どんどんつっこんでいただければ幸いです。

追記:さっき、新幹線「のぞみ」から、きれいに富士山が見えていました。この季節にはめずらしいように思います。


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