今朝、大阪大学経済学部の金井教授からとても素敵なお話を伺いました。社会責任を果たすこと、特に地域との共生のしくみが、新しいビジネスチャンスにもなるというお話でした。その例として教えて頂いたのが北海道札幌の藤田工務店です。
ベンチャーというと、ともすれば商品や技術だけに目を奪われがちですが、商品や技術はすぐにキャッチアップされてしまいます。目に見える商品や技術が氷山の一角だとすると、その下に隠れている目に見えないしくみは、そう簡単に真似ができるものではありません。工務店というとベンチャーとは無縁なイメージがありますが、藤田工務店は、北海道の林業との共生、ITを駆使したお客さまのライフスタイルに合わせたデザイン、さらに釘をつかわずリサイクルしやすい住宅を供給することで成功した立派なベンチャー企業だと思います。
最初に藤田工務店が問題意識をもったのは、シックハウス症候群でした。念願の家を建てて、暮らし始めたとたんに健康状態が思わしくなくなるという社会問題が起こっていました。日本の木材が円高で高騰してしまい、輸入木材が一般に使うようになってきましたが、輸入木材には大量の殺虫剤が使われていることにも原因があると言われています。
低コストで安全な日本の木材が使えないか。この問いの答えが間伐材の利用でした。森は、間伐をして光りを入れ、下草が生えて元気になります。しかし、間伐材は、かつては坑道や鉄道の枕木の用途があったのですが、今や利用価値がなくなり、そのことによっても日本の森林は荒れてきました。安い間伐材を利用するシステムは、元気な森をとり戻す大きな鍵になります。
間伐材を使うことはいいことづくめなのですが、間伐材は割れたり、反ったりしてしまい住宅には向いていませんでした。藤田工務店は「強制乾燥」技術を開発することによって間伐材の利用を可能にしたのです。また安定供給をはかるために芦別の森林業者に働きかけ、「新住宅システム開発共同組合」を設立し、地域林業との共生のしくみもつくったのです。
この藤田工務店のもうひとつの特徴は、建築家や大学の研究者のネットワークを活かしたことです。先にご紹介した金井先生も北海道大学にいらっしゃった頃に、そのメンバーに加わっていらっしゃいました。地域の大学との産学協同研究も含めた地域ネットワークの利用という点でも先鞭をつけた企業です。今、藤田工務店は、この北海道の材木を全国に供給する事業も手がけています。
かつて、経団連が1%クラブを提唱し、企業も社会責任に貢献しようと呼びかけましたが、さまざまな社会責任を果たすことはビジネスにならないとなかなか継続しません。また逆に、社会責任を果たすこともビジネスチャンスだという視点は新鮮です。
詳しくはわかっていないのですがブログ「ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘」の小島さんのビジネスにも同じ香りを感じます。「グリーン・ベンチャー」といっていいのでしょうか。こういった企業のさらなる成功と発展を願うばかりです。

プロ野球で、読売新聞やオリックスのファン感情を無視してまで、強引に企業エゴを押し通そうとする経営者の傲りに辟易としていましたが、爽やかな話題に触れることができ、今日はいい一日の始まりでした。
藤田工務店のホームページもぜひご覧下さい。

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