営業部門は「個人」から「チーム」へという再編が課題となってきています。このことを書き始めると論文みたいになってしまいそうですが、簡単に触れておきたいと思います。

個人営業の限界と弊害
これまで、営業部門は個人が中心という考え方が主流を占めてきました。数字で管理し、あとは、しっかりやれ、先輩の背中を見て頑張れというスタイルです。しかし、どうも個人技スタイルは、限界がでてきているようです。
限界だけでなく、弊害も起こってきています。個人営業は、お客さまに関しててのやりとりが、かなりの権限を任されています。だから、迅速かつ柔軟にお客さまに対応できるわけです。右肩上がりの「売れた」時代はそれでよかったと思います。お客さまが急いでいらっしゃったら、他の営業が押さえていた在庫を掠め取っても、お客さまのご要望に応える営業が、どんどん成績をあげていきました。そうやって、お客さまとの絆を深めていれば、お客さまは買ってくれました。
しかし、今はどうでしょうか。右肩上がりの「売れた」時代とは比較にならないぐらいお客さまの目は厳しくなっています。さまざまな比較をしないと購入してもらえません。お客さまが持つ情報量も増え、選択の基準が厳しくなってきています。
「売りたい」「数字をつくりたい」という熱意、またお客さまへの誠意だけでは売れません。そういった気持ちが先走りすぎると、お客さまのいいなりになるしかありません。厳しい価格や条件が突きつけられます。いわゆる無理な営業です。そうやって、社内との軋轢が広がったり、利益がどんどん圧迫されてきます。
新しい切り口の提案か、価格か
しかし、実際には、お客さまが望んでいるのは「価格」「納入条件」だけではありません。小売業の場合だと、どうすればもっと店が活性化し売り上げがあがるのか、メーカーだと、どうすればわが社の製品がもっと差別化できるのか、また生産を合理化できるのか・・・、困っている課題、こういった本質的なニーズに応えてくれるパートナーとしての会社を求めています。売りたい製品やサービス、また提案の切り口に新鮮味がなければ、あとは価格などの納入条件で決まってしまいます。新しい切り口なの提案か、価格か、さあどちらなんだという選択が迫られてきているわけです。
客さまが求め始めた高度なニーズの前では、営業の個人采配、個人の知識や知恵だけというのはいかにも非力です。考えても見てください。お客さまは、さまざまな会社の営業からの提案を受けているわけですから、持っている情報の質も量も、売り手を上回っていると考えるのが普通です。
チーム営業とは
組織としてお客まさを学び、組織として知恵を生み出していくためには「チーム営業」という考え方、また営業の進化が必要になってきます。では、「チーム営業」とはどんなものでしょうか。
営業のチーム化には、大きくは3つの方向があります。ひとつは、営業以外の部門との連携を高めていくチーム化です。二つ目は、営業活動をプロセスや内容によって役割分担するというチーム化です。三つ目は、営業部門が情報を共有しあい、課題や解決法を組織として生み出していくというチーム化です。
最初の、他の部門とのチーム化は、いわゆるプロジェクト方式で、これまでも、広告代理店、建築業界、産業財、情報システムなどの、高度な専門知識が必要な分野では普通の営業スタイルです。営業がプロデューサー、コーディネーターとしてお客さまとの調整役として働き、組織パワーを最大限引き出します。
第二の役割分担化には、どのような役割を切り離していくかによってさまざまな形があります。コールセンターを設けて、新規顧客の探索や顧客の日常的な細かな要望をセンターで受けるというのもそうです。営業のための情報サービスなどの後方支援部門をつくるというのもあります。コンシューマ商品の場合、店頭の活動をラウンダーに任せ、本部折衝や高度な営業活動は正規軍がやるというのもあります。これは私の会社でもそのシステムを提供していますが、効果は高いですね。また、長い経験からカンが働くベテラン営業が顧客を訪問し、脈があると若い営業にまわすという分業もあるようです。
第三の、組織として課題発見や課題解決方法を見出していくてためのチーム化は、以前に書きました「販売会議」ではなく、「営業会議」を実現するということから始まります。情報や知恵を引き出すマネージャーの役割、会議のありかたが非常に大切になってきます。
いずれにしても、「チーム化」を促進するためには、情報の共有化や情報の蓄積を図るための情報システムが鍵を握ってきていることはいうまでもありません。

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