堤さんが、結局は『もうひとつの合併』を進めることに失敗し、臨時オーナー会議で来期はセ6チーム、パ5チームでいくことが決定されたようです。堤さんは、もともとない話を、さもあるかのように発言をされていたので面目丸潰れです。謹慎中であるはずのナベツネが巨人のパリーグ移籍をほのめかす不規則発言をしていましたが、そもそも『もうひとつの合併』は所詮セリーグが飲むはずのない話だったのではないでしょうか。
ナベツネも堤さんも、今回の騒動ですっかりカリスマ性が失われました。これでナベツネ、堤ラインの時代は終わりです。馬鹿げた駆け引きの世界はもう終わりにしないといけません。それにつけても責任をとり関係がなくなったはずのナベツネに、恫喝ともとれる不規則発言を許した読売は不謹慎であり、謝罪を表明すべきです。話題をつくるご愛敬だったとでもいうのでしょうか。
プロ野球の今回の事態は、理念やビジョンのない経営、信念や哲学のない経営がいかにビジネスを衰退させ、危機を生むかを物語っているように思えます。今からでも遅くありません。新参加球団の加盟料60億円、球団保有者変更に伴う参加料30億円の「参入障壁」の変更を検討することを決めたことはいいことです。どんどん元気な会社に参加してもらえばいいのです。西武鉄道も経営状態がいいとはいえません。西武も、懐が厳しいのなら、無理をせずに売却の道を考えるべきでしょう。

さらにすでに皆さんもお気づきのように球団を所有している会社は成長の勢いを失った古い産業が目立ちます。そういった成熟産業が辿ってきた道に共通していることがあります。ひたすら「間違った戦略を正しく実行しつづける」のです。
毎日新聞で、面白い記事が展開されていまいました。大阪府立大経済学部長の宮本勝浩教授が行ったシミュレーションです。2チームが消え、10球団による2リーグ制にするとプロ野球全体で346億円のマイナスとなり、雇用喪失効果も約2000人にのぼるそうです。チーム数の減少はプロ野球の市場を縮小させるという予測です。
もはやしかたないと感じている球団経営者もいらしゃるでしょうが、みなさんがそうしてしまったのです。プロ野球の活性化という「正しい戦略」をまったく議論してこなかったツケがきています。
成熟した産業は、過去のしがらみが絡まっていて、大胆に「戦略」を変えるという発想が生まれてきません。しがらみでがんじがらめになっているのです。ビジョンを真剣に語ったり、自分たちのビジネスの根本を考え直すというダイナミックな力を失った組織になってしまっているのです。
逆に、人事をめぐる争いや、目先に対処する質の低い知恵はどんどんついていきます。官僚と同じです。目先の優勝が欲しくて、選手強化を有利にしようと、逆指名の導入でドラフト制度を骨抜きしたり、FA制度を導入するなど小出しにルールを変えるといった姑息なことばかりを考えるのです。球団経営を真剣に考えたりプロ野球の発展を考える人がいないから、姑息でも、声が大きいとか、立場を悪用した恫喝まがいの不規則発言がまかり通ってしまうのです。そうやって、「戦力を均衡させ面白くする」というしくみが痛んでしまい、選手の年俸がつり上がり、少々の球団努力では追いつかない経営の窮地を招いてしまったのです。
もし、近鉄の球団名を売るといいうことを一蹴しなければどうだったか。ライブドアを素直に受け入れていたらどうか。こういった議論をしっかりすべきです。さらに、放映権を機構で管理すれば、さらに各球団の経営は改善されるはずです。それは「共産主義」だと訳のわからないことを言う人はもういません。それで読売が降りるなら降りてもらったらいい。巨人軍はたとえ読売が降りてもファンがいる限り「永遠に不滅」です。
もう決めてしまったことだと言わずに、オリックスさんにお願いして、ライブドアの近鉄バファローズ買収を認めれば、少なくとも来期が乗り切れ、新しい出発の絵を描く時間の余裕も生まれるはずです。
個々の球団のエゴを通していたのでは、お互いの首を絞めるだけだという教訓を生かして、前向きな改革案をぜひ考えて頂きたいものです。どのように事態を収集するのか、オーナーのみなさんの器量が問われているのではないでしょうか。

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