先週のWBSで対照的な特集がありました。ひとつは、マツダが2001年9月から閉鎖していた宇品第2工場の操業の再開です。井巻社長は喜びに声を詰まらせていらっしゃいました。おめでとうございます。

もうひとつが三菱自動車の再建問題でした。倫理問題の責任者である古川副会長が工場で社員の人たちにお話をされていた様子が報道されていました。社員の人たちの表情は冴えず、また社員の人たちへのインタビューが許可されていなかったこともあり、マイクを向けられても、社員の人たちはただ黙ったままというのも今の三菱自動車の置かれている状況を物語っているようでした。
そして「社内の中を調べられるものは全部調べ尽くした」という事実上のリコール終了宣言がなされました。クレームをしらみ潰しのように再調査し、経営陣も社内の意識改革に真剣に取り組んでこられたことは事実だと思います。
そういった努力を感じるだけに、よけいに痛ましいのです。この先、新車発売が予定されていますが、さらにもっと厳しい茨の道が待ちかまえているように思います。それを乗り越えるだけの知恵がが生まれてくるのでしょうか。傷ついたブランド。それを再生させることは本当に難しいのです。
ブランドは企業にとって大切な資産です。ブランドは、品質への信頼の証となるだけでなく、お客さまとの間のこころの「絆」ともなってきます。ファンが生まれ、ファンは、そのメーカーの提案や営業の説明にすすんで耳を傾けてくれ、リピート購入につながってきます。さらにブランドは、客さまの夢や期待を広げてくれる働きあります。夢や期待が膨らむから購入することも楽しくなるのです。三菱自動車は、その全てを失いました。
お客さまへの信頼や絆、また期待価値が傷ついたブランドはゼロからの出発よりも大変です。広告や販売で、ブランドがマイナスに働いてくるので、投資効率がどんどん悪くなってきます。他のブランドの二倍の広告費、他のブランドの二倍の接客時間を費やしても同じ成果が出る保証はありません。
さらに、いいブランドはプレミアム価格がついてきます。ライバル製品よりも、すこし高くとも買って頂けます。つまり値引きをあまりする必要がありません。おそらく現在の時点で調査すると、ブランドのプレミアム価格は大きくマイナスになっているの違いありません。つまり、他のブランドよりももっと安く売らないと売れないということです。
三菱自動車は、新製品を再建の第二ステップとして考えたいことろでしょうが、傷ついたブランドの厚い壁が大きく立ちはだかってきます。ブランド・イメージを一新する思い切った方法をとらない限り、そのハンディが重くのしかかったままの非効率的な経営をよぎなくされるということです。

イメージを大きく変え、再生をお客さまに納得して頂く思い切った方法が三菱自動車からは見えてきません。現在の経営陣がいかにエースを投入したとはいえ、三菱グループと自社からの人材です。外から見ると同じ「三菱」 にすぎません。どんなに有能であってもイメージは変わりません。
思い切って外部から経営者を抜擢すればいいのです。海外企業ではあたりまえのことです。「三菱」と関係のないリーダーが未来を描かないかぎり、お客さまの納得は得ることは難しいでしょう。もう一つの残された道は、会社そのものの売却です。そうすればゼロからの出発が可能になってきます。

前年の50%の販売台数でそれ以上には落ちこまず底を打ち始めているようだという発言などから感じるのは、三菱自動車の置かれた状況を、経営陣は甘く見すぎているのではないかということです。新製品を発売して、販売台数が少々改善したとしても、その程度で傷ついたブランドは再生できません。ブランドの負の資産をひきづったままの厳しい道を歩まざるをえないです。

↓おひとり、おひとつのクリックが励みです
 人気blogランキング
ありがとうございます。
(^_^.)