遺伝子を研究している人たちに言わせれば、私たち生物は遺伝子のたんなる乗り物(ヴィークル)に過ぎず、遺伝子の生き残り戦略のままに動かされているといいます。また遺伝子は文化というべき「ミーム」を持っており、遺伝子そのものが自己増殖しようとするだけでなく「ミーム」を複製し、文化を伝えていくそうです。そういえば、蟻や蜂などは群れがあたかも全体としてひとつの生物のようです。巧みなプログラムのように、それが伝えられていきます。
UFJとの合併を巡っては、三井住友ファイナンシャルグループと三菱東京ファイナンシャルグループの攻防が続いていますが、なにか謎のように見えるUFJの動きです。このDNAをいうキーワードで見ると、UFJの行動が理解できるような気がします。
UFJとの合併を巡っては、三井住友ファイナンシャルグループと三菱東京ファイナンシャルグループの攻防が続いていますが、なにか謎のように見えるUFJの動きです。このDNAをいうキーワードで見ると、UFJの行動が理解できるような気がします。
首を傾げる東京高裁の裁定
東京地裁の裁定を覆す東京高裁の裁定で、三菱東京ファイナンシャルグループとの合併に大きく流れが動き出しました。しかし、三井住友も一歩も引かない構えです。この合併劇は、外野席から見ていると訳が分からないことがあります。UFJがなぜ三菱東京FGとの合併にこだわるのか。合理的な説明がつかないのです。
この合併をめぐって、謎をさらに深めたのが東京高裁の裁定です。ひらたくいえば、いくら契約があるといっても、もうUFJの気持ちが離れているから結婚は無理ですといっているようなものでした。世間話としては分かりますが、それでは、なにを信じてビジネスしたらいいのかと考え込んでしまいます。発注書をもらったのに、突然現れた競争相手に仕事が発注され、裁判所に訴えると、もう仕事が進んでおり、いまさらもう覆りません。その発注書は無効ですと言われたようなものです。恋愛問題なら分かりますが、日本のビジネスは契約よりは事情が優先するということを示したと思える判断でした。
説明がつかないUFJの行動
話を進めましょう。この合併について、三井住友側がUFJに示した「戦略統合に関するご提案」が公表されました。異例のことです。それに対抗するように、三菱東京とUFJの「経営統合に関する基本合意について」が発表されました。このようにオープンに議論されていることは画期的といっていいと思います。
金融については素人ですが、素人の目で、それぞれを見比べてみました。お互い筋は通っているものの、三井住友が示した「戦略統合に関するご提案」のほうが、どちらと合併する方が優れているかいう具体的な数値の比較があり説得力があります。読めば読むほど、三井住友との合併をなぜUFJが拒み、三菱東京との合併にこだわるのかの謎は解けません。合理的な説明がつかないのです。
組織のDNAという見方
そこで素人なりに考えてみて気がついたのが組織のDNAでした。UFJのしたたかなDNAがそうさせていると考えると謎が解けるような気がします。そう思っていると、みずほ誕生を予言した経済小説の第一人者である高杉良さんが、雑誌『プレジデント』2004 8.30号で「迷走UFJ・呪われた内紛のDNA」というタイトルで原稿を寄せられているのを見つけました。「旧三和のDNAに三菱東京が食い荒らされる恐れがある」というご意見です。案外素人考えがあたっているのかも知れません。
話を進めましょう。UFJは、旧三和銀行のDNAが脈々と流れています。三和銀行は、関西の中小・中堅企業を基盤として揉まれてきた銀行でいわば野武士の集団です。腰が低く、企業にしっかり入り込んでいます。また「派閥争い」がすさまじい銀行だという噂はかねてから知られており、その点でも野武士です。これまでの統合劇でも、三和銀行は、したかたにその血筋を残して相手を飲み込もうという動きをしてきました。おそらく三和銀行マンには自分たちこそ、本当の銀行マン、商売人だという高いプライドがあるのだと思います。実際、不良債権処理の問題で赤字転落という危機に陥ったのですが、未だに8000億円を稼ぎ出す収益力を持っています。
組みしやすい三菱東京
一方、三菱東京FGはどうでしょうか。旧三菱銀行は、三菱の冠のもとにいわば殿様商売をやってきた銀行です。営業に消極的であり、それが幸いして不良債権を抱えなかった銀行です。営業マンもお客さまのことなどまるで考えません。銀行の都合だけを客に押しつける、まるで役所みたいな銀行でした。このご時世で、収益性をあげないといけないということで、突然、お客さま回りを始めましたが板に付いていません。
UFJとしては、赤子の手をひねるような相手と見るのが自然です。いったん緊急避難で合併しても、三和銀行の血筋、つまりDNAを守ることができると考えてもおかしくないですね。しかも、UFJは、東海銀行を飲み込んでトヨタとその部品産業との絆を持っています。商売としての実力は三菱東京FGより上とみるのは外野席だけでないはずです。
しかし三井住友FGと合併したらどうでしょう。そうはいきません。したたかな商売人同士です。合併すると住友のDNAに飲み込まれてしまい、三和銀行のDNAは消えてしまいかねません
しかし、したたかな三井住友も巻き返しを狙ってきています。この勝負、「三井住友」対「三菱東京」というよりは、「三井住友」対「UFJ」の駆け引きという様相に見えます、さて、この先、どうなっていくのでしょうか。
環境適応できないとDNAも滅びる
旧三和銀行に限らず、にそれぞれの会社には、まるで遺伝子の「ミーム」といえるように、脈々と引き継がれている伝統や文化、また体質があります。組織には、社員や経営者を乗り物(ヴィークル)として操るDNAのような存在があるのかもしれません。しかし、その遺伝子の戦略も環境に適応できなくなると、恐竜のように破滅への道を辿っていくので気をつけないといけないですね。
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ありがとうございます。(^_^.)
東京地裁の裁定を覆す東京高裁の裁定で、三菱東京ファイナンシャルグループとの合併に大きく流れが動き出しました。しかし、三井住友も一歩も引かない構えです。この合併劇は、外野席から見ていると訳が分からないことがあります。UFJがなぜ三菱東京FGとの合併にこだわるのか。合理的な説明がつかないのです。
この合併をめぐって、謎をさらに深めたのが東京高裁の裁定です。ひらたくいえば、いくら契約があるといっても、もうUFJの気持ちが離れているから結婚は無理ですといっているようなものでした。世間話としては分かりますが、それでは、なにを信じてビジネスしたらいいのかと考え込んでしまいます。発注書をもらったのに、突然現れた競争相手に仕事が発注され、裁判所に訴えると、もう仕事が進んでおり、いまさらもう覆りません。その発注書は無効ですと言われたようなものです。恋愛問題なら分かりますが、日本のビジネスは契約よりは事情が優先するということを示したと思える判断でした。
説明がつかないUFJの行動
話を進めましょう。この合併について、三井住友側がUFJに示した「戦略統合に関するご提案」が公表されました。異例のことです。それに対抗するように、三菱東京とUFJの「経営統合に関する基本合意について」が発表されました。このようにオープンに議論されていることは画期的といっていいと思います。
金融については素人ですが、素人の目で、それぞれを見比べてみました。お互い筋は通っているものの、三井住友が示した「戦略統合に関するご提案」のほうが、どちらと合併する方が優れているかいう具体的な数値の比較があり説得力があります。読めば読むほど、三井住友との合併をなぜUFJが拒み、三菱東京との合併にこだわるのかの謎は解けません。合理的な説明がつかないのです。
組織のDNAという見方
そこで素人なりに考えてみて気がついたのが組織のDNAでした。UFJのしたたかなDNAがそうさせていると考えると謎が解けるような気がします。そう思っていると、みずほ誕生を予言した経済小説の第一人者である高杉良さんが、雑誌『プレジデント』2004 8.30号で「迷走UFJ・呪われた内紛のDNA」というタイトルで原稿を寄せられているのを見つけました。「旧三和のDNAに三菱東京が食い荒らされる恐れがある」というご意見です。案外素人考えがあたっているのかも知れません。
話を進めましょう。UFJは、旧三和銀行のDNAが脈々と流れています。三和銀行は、関西の中小・中堅企業を基盤として揉まれてきた銀行でいわば野武士の集団です。腰が低く、企業にしっかり入り込んでいます。また「派閥争い」がすさまじい銀行だという噂はかねてから知られており、その点でも野武士です。これまでの統合劇でも、三和銀行は、したかたにその血筋を残して相手を飲み込もうという動きをしてきました。おそらく三和銀行マンには自分たちこそ、本当の銀行マン、商売人だという高いプライドがあるのだと思います。実際、不良債権処理の問題で赤字転落という危機に陥ったのですが、未だに8000億円を稼ぎ出す収益力を持っています。
組みしやすい三菱東京
一方、三菱東京FGはどうでしょうか。旧三菱銀行は、三菱の冠のもとにいわば殿様商売をやってきた銀行です。営業に消極的であり、それが幸いして不良債権を抱えなかった銀行です。営業マンもお客さまのことなどまるで考えません。銀行の都合だけを客に押しつける、まるで役所みたいな銀行でした。このご時世で、収益性をあげないといけないということで、突然、お客さま回りを始めましたが板に付いていません。
UFJとしては、赤子の手をひねるような相手と見るのが自然です。いったん緊急避難で合併しても、三和銀行の血筋、つまりDNAを守ることができると考えてもおかしくないですね。しかも、UFJは、東海銀行を飲み込んでトヨタとその部品産業との絆を持っています。商売としての実力は三菱東京FGより上とみるのは外野席だけでないはずです。
しかし三井住友FGと合併したらどうでしょう。そうはいきません。したたかな商売人同士です。合併すると住友のDNAに飲み込まれてしまい、三和銀行のDNAは消えてしまいかねません
しかし、したたかな三井住友も巻き返しを狙ってきています。この勝負、「三井住友」対「三菱東京」というよりは、「三井住友」対「UFJ」の駆け引きという様相に見えます、さて、この先、どうなっていくのでしょうか。
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美味しい飲み比べセットあります。酒米王様「山田錦」で仕込んだ至高の飲み比べ違いを感じてみ... |
が、私は、ある種UFJと東京三菱の談合のようなものを感じます。
上層部で「もう決めちゃったんだもんね」といった感じです。
もしそうだとしたら、古いんだよな、やり方が.(違うかもしれませんが)
いずれにせよ、東京高裁の判断は、全く納得いかないですね。許せない。
いつも読ませていただいています。楽しみにしています。それでは、また。