現代のマーケティングは、リサーチ能力の競争の時代といっても過言ではありません。
ただリサーチというと、偏ったイメージで理解している人が多いような気がします。アンケートでデータを集め、分析するというイメージです。しかし、それはリサーチのほんの一部に過ぎません。
確かに、マーケティング関連の本、特にリサーチ関連の本なども、いきなり調査手法や統計分析の手法が紹介されていることが多いのも原因のひとつかもしれません。
簡単にいうなら、数値データを集めて分析するのは、市場の構造がどうなっているのか、またどのような生活者の人たちの状況がどうなっているのかといった地図を描くためにするのであって、どこを目的地にすればいいのかとか、どんな方法で行けばよいかを地図は教えてくれません。
数字のデータを中心としたリサーチを定量的なリサーチとすると、人びとが、なぜそのブランドを買ったり、その背景にどんな気持ちや動機が隠されているのだろうかを発見するのためのリサーチがあります。なぜ(WHY)を発見するため、また、どうすれば(HOW)を発見するための定性的なリサーチです。リサーチ競争になっているのは、こちらのほうです。また定性的なリサーチは、これといった特効薬としての手法がありません。いろいろ現場で工夫し、また、ああだろうか、こうだろうかと議論しながら進んでいく世界です。今は、コンピュータが高性能化したので、誰でも理解さえすれば、難しい多変量解析もこなせますが、いくら高度な統計を駆使しても、それだけでは限界があります。
また、リサーチというのは、マーケティング部門や調査会社だけの問題ではありません。会社や事業に携わる人たちすべてに、情報に対する感度、また本質を探る力が求められてきています。特に、お客さまと接している営業部門の人たちのリサーチ能力が重要となってきました。
今は、コンシューマ商品でも、営業の人たちの「お客さま」は、チェーンの小売企業になってきていますが、生活者の人たちも、企業の「お客さま」も、本当に望んでいることをなかなか口にはしてくれません。的を得たアイデアや提案に接してはじめて、あっ、望んでいたのはこれだ気づくという世界です。
営業の人たちとの勉強会などで、いつも私が主張しているのは、「もっと価格が安ければ売れる」「もっと販促経費があれば売れる」「もっと商品がよければ売れる」この3つに関しては、実際にそうである場合もあるでしょうが、そう考える前に「ほんとうにそうだろうか」という疑問をつねに持って欲しいというお願いをしています。そうしないと、お客さまの「真実」に深く踏み込んでいけません。
こういっていても、精神論だけになってしまいそうなので、まずは、お客さまの研究からはじめましょう。それなら、インターネットからでも、またお店にでかけても、研究できることはいっぱいあるはずです。

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