ウォークマン誕生25周年にあたる本年、ソニーがアップルのiPodに対抗するHDD搭載ウォークマン「NW-HD1」を発売したことは皮肉な話です。ソニーの「独創」のシンボルともいえるウォークマンの歴史を、iPodの「後追い商品」で飾ったわけですから、自ら「神話」に幕を閉じる結果となりました。手詰まりに苦悩するソニーさんを象徴する出来事だったと思います。
しかしマーケターの目から見ると、「ソニーの神話」はかなり以前から、じわじわと自らを蝕むように崩れはじめてきていました。
25周年記念イベントで、ソニー代表執行役社長の安藤国威さんは、「HDDウォークマンは半年、1年でiPodを追い抜く」と意気込んでおられたそうですが、前途多難なのではないでしょうか。
なにか見ているだけでウキウキさせてくれるiPod miniと比べて、「NW-HD1」は冷たいスペックしか感じません。デザインもオジサンくさないですか。【 このあたりの評価は若い方に任せますね (^。^) 】

さて問題は、なぜiPodがデビューしてから3年近くも経ってしか、この「NW-HD1」をだせなかったのかです。技術でしょうか?それは違うと思います。技術畑でないので間違っているかもしれませんが、製品技術としてはそんなに高度とは思えません。
おそらくMDへのこだわりやMDウォークマンへのこだわりがあったのではないかと思います。ソニーさんは、「独自技術」や「独自規格」に対するこだわりが非常に強い会社です。時には、「お客さま」よりは「独自技術」や「独自規格」を優先しているとしか思えないと感じることがあります。自社で開発した「独自規格」であるMDを捨て、HDDを採用することへの抵抗があったのでしょう。

MDは、ビデオテープの規格競争で破れたソニーさんにとっては、特別な想いがこめられたメディアだったのかもしれません。それは「自社規格」であるカセットテープの歴史を、自らの手で幕を下ろすという挑戦でした。しかし、このMDのチャレンジは失敗に終わったといっても言いすぎではないと思います。日本でこそMDは普及しましたが、海外ではほとんど浸透しませんでした。
「自社規格」へのこだわりは、メモリースティックにもあらわれました。お客さまの使い勝手ではなく、あくまで「独自規格」なのです。このメモリースティックにいたっては「独自技術」ですらなく、あくまで「独自規格」にすぎません。パソコンも、デジカメも携帯電話もすべてソニー製品にしないとユーザーにとってはなんのメリットもない強引な「独自規格」なのです。
ソニーさんは、このところ新しいコンセプトを感じる製品、わくわくする夢を感じさせてくれる製品がほとんど出てきていません。コンセプトの革新ではなく、技術によって差別化しようとする姿勢が目立ちます。
いかにブランドイメージを創ることに優れたソニーさんでも、製品の魅力や独創性で遅れをとると、やがてブランドイメージの維持もできなくなってきます。そのことを一番わかっているのもソニーさんかもしれません。しかし大きな会社となってしまった今になってみると、社内に染みついたしまった体質や思いこみを変えるというのはいかにも難しいことです。

さまざまな分野で迷走し始めたソニーさんですが、ふたたび「夢を売る」ブランドとして立ち直っていただきたいものです。

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