統合型IRには賛否があってもいいし、野党がギャンブル依存症対策をテーブルに乗せるのもいいのですが、それを理由にカジノを含むIRに反対するというのはあまりにもバランスが悪い、というか筋の悪い議論です。ギャンブル依存症を問題にするなら、全国に1万店以上、しかも住宅地の近隣にまで存在するパチンコ店の撲滅を狙った直球の議論にすべきだし、またカジノに議論の焦点を置くと、公営ギャンブルや宝くじなどを含めるとギャンブル超大国ニッポンになってしまっている現状を覆い隠し、まるで日本がギャンブルのない国だという誤解を国民に与えかねず、ミスリードする議論になってしまいます。また事業者で、お役人のように公営か民営かの線引を行って違法性を主張するのも、規制のハードルを高めることにしか繋がらず、地方を敵にしたいのかとも感じます。

もし野党が安倍政権のイメージダウンを狙いたいのなら、パチンコ業界と安倍さんの関係をつついたほうが効果的かもしれません。パチンコ店「大日本アマテラス」の開店に、安倍総理や黒澤元警視庁局長もお祝いの看板が並んでいるというのはいかがなものかと感じる人も少なくないはずです。



ギャンブル超大国が現実の日本でカジノだけを問うよりは、具体的なカジノを含む統合型IR計画について、それが地域の価値を生み出すのか、そうでなければどのような対案があるのか、もし新たな地域の価値を生み出すとすれば成功するためにはなにが必要なのかを議論したいところです。

たとえば、大阪市には、かつてのオリンピック誘致のために埋め立てられてできた人工島が負の遺産として残っています。そのひとつ、夢洲(ゆめしま)をどう活用するのかです。まさか負の遺産をそのまま放置しておけということでしょうか。

万博誘致とその後にカジノを含む統合型IRとして活用しようという計画が進められていますが、それを国政で規制し、地方の成長戦略を潰そうとでも言いたいのでしょうか。 野党が議論をしかけるのなら、夢洲(ゆめしま)は、あるいは他の候補地で、カジノがなくとも、こんな夢が広がるプランがありますよと具体的に示してもらわないと、たんなるクレーマーにすぎなくなってしまいます。あるいは賛成だけど維新には主導権を取られたくないとなると大阪自民のようになってきます。
揺れ動く大阪自民の「乙女心」 ―夢洲カジノ構想に見る夢

ちなみに大阪は、海外からの観光客数の伸びはトップですが、問題は大阪市そのものの観光コンテンツが少なく、また観光国際会議を招致する会議場や宿泊施設も少ないのです。国際的な都市競争力を高めるためにも、統合型IRの開発は重要な鍵になってきます。

そして統合型IRを維持・経営する上で、カジノからの収入が欲しいところでしょう。現在夢洲はゆり園になっていますが、ゆり園では、夢洲の潜在的な資産価値をひきだせる事業としては力不足なことは言うまでもないことです。

問題は、野党が頼りなくとも残念で済みますが、野党が頓珍漢な主張をしている限り、与党、政権をチェックする役割を果たせず、与党や政権の緩みには歯止めが効きません。

与党は、モリ・カケ問題で、ずるずると国会で無駄な時間を費やした責任を野党に転嫁するキャンペーンを張ってみたり、日本のリーダーとしての総理が、国民からほんとうのことを言っていないと疑われても支持率が下げ止まっているかぎり大丈夫だと安心しきっているからか、参院の選挙制度でも、まともな説明ができない案を出してきました。

さらに、モリ・カケ問題と同じように、またもや日本会議マターと感じさせる穴見議員の野次まで飛び出しました。保守、愛国を隠れ蓑にして政治を劣化させ、悪臭がたただよい、膿がにじみ出てきているようで、日本の危うさにもつながってきそうです。野党が頓珍漢な攻め方をしている限りは政権の緩みだけでなく、悪臭も膿も止まりそうになく、こうなると国民が選挙で与野党双方に不信任を示すしかありませんね。