安倍内閣の強みは一点に集約されていたように思います。それは経済、外交、また政治基盤で「安定政権」だったということでしょう。経済に関する貢献はいろいろ議論があるところですが、すくなくとも世界経済の好景気から脱落することなく、しかも円安・株高は目先の好況感を醸し出すには十分でした。しかし、その状況が一変しています。

マスコミは連日朝から夜まで連日、すさまじい「森友問題」漬けです。財務省の調査で資料の改ざんがあったことが一転してあきらかになりましたが、安倍総理や昭恵夫人が実際に関与したかどうかを超えて、国民のなかにどんどん政権への不信感が溜まってきているものと思います。
 
安倍内閣を支える麻生財務相が佐川元理財局長を国税庁長官に起用したり、また適材だと持ち上げたりしたにもかかわらず、局面が変わると呼び捨てにして批判し、あたかも理財局の現場が勝手にやったと発言を行い、主張に一貫性を欠いていることも、さらに疑惑を深めることにつながっています。
 
もっというなら、森友事案では今回の近畿理財局職員の自殺を含め、犠牲者がでていることでもなにか裏に、えたいのしれない力が働いていることを想像させてしまいます。もう泥沼化してしまったのです。
 
 
 いずれにしても安倍内閣は国会、さらに国民を軽視し、虚偽答弁を繰り返した佐川元国税庁長官に真相を包み隠さず語ってもらうようにしなければ、国民の疑惑は消えません。野党がこれといった「新事実」を掘り出してくる能力がなく、あいかわらず政権打倒の対決モードしか持たないために、野党によって政権が倒れることはないにしても、疑惑を晴らすことで精一杯の安倍内閣がレイムダック状態に陥っていくことは目に見えています。安倍内閣の悲願だったはずの憲法改正ももう事実上不可能になったのではないでしょうか。
 
しかし海外の情勢がますます先が見えない状態になってきているなかでは、そうであればあるほど「安定政権」の維持が重要になってくることは言うまでもありません。それを考慮するなら、安倍総理には、はやく次のリーダーに舵取りを禅譲し、事態の収拾をはかっったほうがいいのではないでしょうか。それこそ待ったなしで、いつまでも森友問題に関わっていることは国益に反します。野党が力を持っていないだけに、政権側の意思決定が問われるところではないでしょうか。
財務省改革は避けられませんが、安倍内閣のもとで着手することは難しく次のリーダーに任せれることではないでしょうか。