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写真は産経ニュースより引用。
【平昌五輪】「主人公は小平だった」韓国紙も相次ぎ速報 小平奈緒と李相花の“日韓対決” - 産経ニュース : http://www.sankei.com/pyeongchang2018/photos/180218/pye1802180059-p3.html

そのシーンは、500mスピードスケートで小平奈緒選手と李相花選手の“日韓対決”で小平選手がレースを制した瞬間に訪れました。日本と韓国のそれぞれの国民から熱い期待と視線が集まり、固唾を飲んでゲームの行方を見守ってました。しかし勝負は勝負。小平選手が大会新記録で金メダルをつかみ取りました。
中継のカメラが捉えたのは、銀メダルに終わってしまった李選手が敗北に涙をぬぐい、銀メダルに終わったとはいえ、太極旗に身を包んだ李選手が日の丸を肩にした、小平選手と互いに近づき、抱き合って健闘を称え合ったのです。中央日報によると、李選手が「良い記録を出したね」と祝福し、小平も「あなたに学ぶ点が多かった」と答える会話だったそうです。
これまで日韓対決というと、韓国の選手がヒートアップし、なにかと物議を醸してきたという「常識」が覆ったのです。互いに互いの国旗をまとい並ぶ姿は、健全なナショナリズムがなにかを象徴するかのようなシーンでした。互いに成熟し、スポーツ本来の姿に戻ったのです。

それは、文在寅大統領の政治的な意図と、金正恩の妹の金与正氏、そして北朝鮮美女軍団の政治ショーで演出されたコリア・ナショナリズムとはあきらかに違うものです。それぞれ互いが自国にプライドを持ち、全力で競い合っても、相手はそれぞれの敵ではないのです。

けなし合うことも、非難することもありません。なぜなら国は違っても、同じ競技に人生をかけた友なのですから。それはフィギュアの羽生選手も、敵は自分自身、自分自身との戦いだと同じ趣旨の発言をしていたことを思い出します。実際、羽生選手とフェルナンデス選手が健闘を称え合っていたシーンもそうでした。

極端な考えにこだわり、対立を煽り、相手を罵倒し打ち負かすことで自らの存在を際立たせようとする荒んだ風潮が世界に蔓延しはじめてきていますが、スポーツや文化は、国境や人種を超え、互いにリスペクトしあうなかで、創造的で血の通った交流がはじまることを教えてくれます。

そして小平選手と李選手が見せた本物の友情は、残虐な粛清を行い、恐怖政治で国民を犠牲にして生き延びている政権の微笑み外交でコリア・ナショナリズムを煽っても、その微笑みは「フェイク」だということを示し、政治ショーにピリオドを打ったのではないでしょうか。