労働力の不足が深刻になってきています。工場で働く人が確保できなければ経営が成り立たないと危機感にかられ研修生受け入れに奔走した経営者の方もいらっしゃいます。コンビニも、居酒屋も、割が悪いと日本の学生がアルバイトに応募せず、しかたなく外国人「留学生」に頼るようになってきています。大手のコンビニ3社だけで、すでに4万人の外国人が働いているといわれています。さらに労働人口減と高齢化に向かっている日本では、介護する人が絶対的に不足してくることは陽の目を見るよりもあきらかです。

しかし、外国人労働者の受け入れ体制の強化に関しては、ツギハギの対処で終わっているというのが現実です。そもそも政治がこの問題を避けているとしかいいようがありません。なぜなら移民反対を主張する一部の「保守」勢力を刺激したくないからでしょう。

移民というリスクを取るぐらいなら、たとえ国が滅びても純血を守りたいというカルト「保守」は実際のところは少数としても、政治への影響力はもっています。肝心なのは、国民がどう考えているのかですが、日経が本年2月に行った世論調査では、日本に定住を希望する外国人の受け入れ拡大に関しては賛否が真っ二つに分かれています。

面白いことに年齢層で意見がわかれ、18〜29歳の若年層では賛成が約6割と、反対の約3割を大きく上回り、70歳以上は反対45%、賛成31%だったことです。おそらく、現在の労働力不足、近い将来にさらに深刻化することへの危機感を持つ若年層と、もう老後に、めんどうなことにはかかわりたくないという高齢者との意識の差でしょう。保育園の増設を望む若い世代と、子供の声がうるさく、住環境が悪化すると反対する高齢者世代の対立に近いのかもしれません。

そして「保守」という中味のない看板しか持てない政治家は、高齢者の支持を得たいがために、外国人受け入れに関してはきれいごとで済ませようとします。高度な技術を持った人しか受け入れないという虫のいい話です。ほんとうにそんな人材が、経済が停滞してしまい、夢を失ってきている日本に両手をあげてくるのかという疑問があるにもかかわらずです。こういった政治家は選挙しか頭にないのですから。だから、成長よりは安全、夢よりは安定を選びたがるのです。

では誰が主導権をもって、この問題に取り組めばいいのでしょうか。日本の労働力不足が深刻な国難だと主張し、真剣に向き合うことを主張して、もっとも摩擦が少ないのは、そんな「保守」のまっただなかにいる安倍内閣以外には考えられません。しかしこれまでは安倍総理は移民政策には消極的な態度のままです。

確かに、働き方革命も必要でしょう。それに取り組むのは大いに結構なことです。ただ、それは地道に基礎体力をつくっていくトレーニングみたいなもので、効果があらわれるのには時間を要します。働き手がないと飢えている人に必要なのは、基礎トレーニングよりも外国人労働者という食事なのです。労働力不足は待ったなしなのです。

そういったニーズを背景に、留学生や研修生というカタチで、実際には外国人労働者は増える一方です。もう外国人労働者数は平成28年10月末現在で約108万人にも達しています。

しかも、留学生とか研修生という名目で受け入れしているのですが、結局は短期的な「出稼ぎ」制度になってしまっており、受け入れ側の企業の待遇によっては、研修生が集団で逃げてしまうことも起こっているようです。そんな「出稼ぎ」制度で、優秀な人材が集まってくるとは到底思えず、根本的な制度改革が必要になってきています。

高齢者は外国人労働者受け入れに反対の人が多いのですが、団塊の世代が後期高齢者になる2025年には、必要な介護職が253万人に達するとする試算もありますが、供給は215万人しか見込めず、38万人が不足するとされています。高齢者の我が身に降り掛かってくる問題です。外国人受け入れに「反対」することがアダになって、介護サービスは受けたいいけれど、介護してくれる人がいないとい現実がやってくるわけで、一体どうするのでしょうね。


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