ホンダ・ジェットが2017年上半期に24機を出荷し、小型ビジネスジェット機市場のトップとなった快挙が報じられていましたが、契約が順調に伸び、2019年には年産80機に拡張する計画だとか。苦難を乗り越え「Power of Dream」100年目の結実でしょうか。ホンダ・ジェットとは対象的なのが三菱航空機のMRJです。プロペラ機「YS―11」以来半世紀ぶりの国産旅客機となると期待されたものの、2013年の初納品が予定されていたのが、5度の延期の末に、7年遅れの2020年に先送りしたされただけでなく、本当にビジネスとして離陸できるのかすら不透明になってきています。
そのMRJに初の注文キャンセルが発生する可能性のあることを日経が報じています。しかもこの件の40機以外にも、三菱が受注してきたうちから、さらに大量のキャンセルがでる懸念があることはこれまでにも言われてきたことです。
初のキャンセル濃厚 MRJ、7年前の痛恨 :日本経済新聞 (会員限定記事)

三菱航空機は日本企業の典型的な敗北パターンにはまってしまったようにも感じます。今日はスピードの時代といわれます。それだけ市場環境の変化、競争環境の変化が速いからですが、日本の多くの企業が、そんな変化への対応に遅れ国際競争力を失ってきました。

MRJも、度々の延期を繰り返しているうちに同じことが起こったのです。原油価格が半分に低下し、機体価格は高いけれど、燃費が良いというMRJのコンセプトが通じなくなってきています。

さらにMRJの開発コストは当初見込んだ2000億円弱を大きく上回り、すでに5000億円弱に達しているもようです。そして三菱航空機は今年3月の時点で500億円超の債務超過に陥ってしまいました。

「良いモノをつくば売れる」という売り手発想、顧客にとっての価値よりは、さらになにがなんでも自前主義という発想では最初から敗北していたのでしょう。何が「良いモノ」なのかは、売り手と買い手では同じとは限らず、しかも顧客が求めるのは「良いモノ」以上の「良い価値」なのですから。

こういった迷走は、「国家プロジェクト」という病が元凶のような気がします。ビジネス感覚のない多くの船頭が口出しするために、経営にも現場にも無責任な体質が生まれ、失敗していく他の国家プロジェクトと同様です。そういえばジャパン・ディスプレイが昨年12月に「有機ELの開発」を目的に産業革新機構から調達した750億円が、なんと同社の借金の穴埋めに使われた疑いが浮上していると雑誌FACTAが報じていました。

一方はお上のお墨付きで詰めの甘さを繰り返し露呈した三菱航空機、一方は、規制の変化や、技術の変化など荒波を乗り越えてきた、しかも創業の精神が引き継がれてきたホンダでは差がついて当然なのかもしれません。

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