アマゾンが中国からAWSの事業を撤退するのではないかと噂されていましたが、実際は中国におけるハード資産の一部を現地パートナーに売却することを余儀なくされたようです。
中国は、成長する分野を取り込むためには強引な手も使ってきますが、その白羽の矢がアマゾンのAWSにも向いたということでしょう。ソフトが高度化すればするほど、また利用が広がれば広がるほど、アマゾンのAWSやマイクロソフトのAZUREなどのクラウドを利用するインフラや環境を提供するサービスが伸びてきます。今後はIOTやAIがその成長をさらに促します。
AWSは中国から撤退しない――「法規によりインフラ資産の一部売却を余儀なくされた」と発表 |TechCrunch Japan : 

その市場は年成長率が40%を超えていますが、アマゾンのAWSがトップを走り、マイクロソフトのAZURE、IBM、グーグルがそれを追うという勢力図になっていますが、いずれにしても米国企業が圧倒的なシェアを押さえています。今後ますますインフラとして広がってくるこの分野に中国が目をつけないわけがありません。

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アマゾンドットコムの売上推移などをグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース :

ネット通販も政府が関与しながら国内産業を保護し育成してきました。いまではアリババがアマゾンを上回り世界でトップの市場シェアを持つといわれています。中国のネット通販の市場規模は2013年から4年連続世界1となっています。

中国の産業構造の限界で成長に陰りでてくるかと誰もが思っていたのですが、未だに6%を超える経済成長を維持しているのはうまく成長市場を取り込んできたからでしょう。それは中国政府と民間が実に巧みに成長分野を取り込み、成長させてきているからです。

たとえば、日本は「おサイフケータイ」や、改札を通れる「モバイルSuica」などでモバイル決済の世界のトップを走っていたはずですが、いまや利用率は6%、中国は98.3%です。テレビの番組で見ましたが、QRコードを利用する仕組みで、とくに設備が不要なために、個人商店の八百屋さんでも、それもキュウリ1本の購入でも利用されていました。

電気自動車も、ガソリンやディーゼルでは日本やドイツに追いつけません。それは韓国の自動車産業が物語っています。だから電気自動車に照準をあて、電気自動車ならなかなか手に入らないナンバープレートがすぐに手に入り、北京ではガソリン車では日によって制限があるところを、電気自動車では毎日使えるなどの優遇策で電気自動車市場を伸ばして、その成長で国内の自動車メーカーをも育てようとしています。

いずれにしても、これまでの世界の工場として成長する中国から、成長分野を取り込みながら構造改革を進め、経済の勢いを維持しています。この勢いでいけば、やがて好景気成長分野がなかなか育たないで停滞を続けている日本の経済をも飲み込のではないかとすら感じます。もし中国式のルールが世界標準になるような事態は避けたいところですが、それを阻む役割を果たすはずだったTPPからアメリカが離脱したことは残念なハプニングでした。

今はまだそうではないにしても、中国界経済の影響が強まってくればくるほど、世界は中国のルールに従わざるをえなくなってしまいます。それは尖閣の領土問題などよりもはるかに大きな脅威になってきます。好景気が続いていると言っても、成長分野を伸ばせず、GDPの成長率は2%を切ったままの日本と中国は活力で違いがでてきています。日本の成長戦略が、今のように滞ったままでは、それこそやがてそれが「国難」を招きかねないと感じます。


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