テレビ朝日系列で6日放送予定の特別番組「ビキニ事件63年目の真実〜フクシマの未来予想図」のタイトルにネットでは激しい非難が集まっていました。いかにも制作担当者のセンスの悪さや悪意を感じさせるサブタイトルですが、ブログで取り上げるのは番組内容を確かめてからと思っていました。しかし、さすがに「フクシマの未来予想図」のサブタイトルは取り下げるようです。まだ番組の中味を見ないとわかりませんが、この番組に関しては、ネットがメディアの担当者の暴走を抑止したということでしょうか
この問題もからめ、山本一郎さんが、さらに人工知能を取り上げた「NHKスペシャル『AIに聞いてみたどうすんのよ!?ニッポン』」という番組内容を批判されています。実際には人工知能を利用しておらず、フェイクニュースそのものだとの指摘です。
人口知能に関しては、私自身の知識はまだ機械学習の入門編あたりをうろついている程度ですが、統計の分野では多変量解析を含めさまざまな分析手法を以前はしょっちゅう利用していたので、まだ土地勘があるほうかもしれません。そして人工知能に関しては、それは嘘だろうという詐欺まがいの話が結構横行しているように感じています。このNHKの番組もそうだったのでしょうか。
日本は、新しい技術に関しては、トレンドキーワードとして独り歩きしていく傾向があるように思えるのですが、やがて淘汰されていくので、人工知能利用の普及が進めば変わってくるのでしょう。これは情報量と時間が解決しそうです。
電気自動車が、これまでの製造のアナログな技術を必要とせず、部品点数も大幅に減るので、どんどん新規参入が進み、大資本の従来型のメーカーが役割を終えるといった話も同じです。もちろんテスラのように異分野からの参入を実現させるのでしょうが、実際には、競争の焦点は自動運転技術の開発に移っているので、町工場が大資本と同じ土俵で競いあうというのは無理があります。ただ業界力学の地図が変わるのはまちがいないところです。
フェイクといえば、国家戦略特別区域諮問会議民間議員の竹中平蔵氏の獣医学部新設に関した話もなにか眉唾、というかポジショントークではないか、とくに「一点の曇もない」という言葉は、逆に政治的意図を感じます。
規制改革はもっと大胆に進めるべきだと思っています。しかし、獣医学部新設は今治市や加計学園などの当事者にとっては重要な問題としても、すくなくとも日本の経済や科学技術の発展とどうつながるのかが見えてきません。
政府が、法律や認可制度の撤廃などを行い、民間資本の新しい事業を促進させるというのが規制改革の王道だと思うのですが、獣医学部新設は、土地提供に加え、建設費の補助や私学助成金など税金が投入されるのでちょっと違うのではないかと感じてしまいます。
しかも、竹中平蔵氏は、創薬を伸ばすためにも、獣医師を増やす必要があると言っておられましたが、本当でしょうか。動物実験だけなら、日本では獣医師資格は不要なはずです。しかも動物実験は世界的に反対運動が広がっており、なるべく控える方向に向かっています。創薬分野で日本の競争のエンジンとなってくるのは動物実験のための獣医師ではなくiPS細胞のはずです。
iPS細胞は、皮膚や器官や臓器などをつくる夢の技術として期待されていますが、それだけでなく創薬分野での利用も期待されている技術です。過去に、動物実験で駄目だった成分でも、人間には使える成分の再検証につながる可能性があります。また動物実験のプロセスを経ないで、いきなり効果や副作用を確かめることができます。
ついこの間も、筋肉の中に骨が生じる希少難病「進行性骨化性線維異形成症」の進行を遅らせる薬の候補を京都大のグループがiPS細胞を使って見つけ、近く治験を始めることが発表されていました。iPS細胞こそ次代の創薬を担うホープです。
こういった問題を検証するためには、マスコミのなかでの分野を超えた情報共有のネットワークが必要なのでしょう。政治部や社会部の記者だけの知識の範囲を超えているからです。現代はどんどん技術の多様化と専門化が進んできており、技術ウォッチャーや専門家の意見を集めるしくみがますます重要になってきていると思いますが、日本の場合、スペシャリストがスペシャリストになりすぎ、技術と社会、技術とビジネスをつないでいく人材が不足しているように感じます。経済産業省も、マスコミも古い権威に頼らず、そんな人材発掘を行っていくことがフェイクから国民を守ることになるのではないでしょうか。
私たちにできることは、最初から結論ありきの思い込みから逃れ、結論をだすことを急がないで、対立する意見を冷静に咀嚼していくことではないでしょうか。そう考えるとネットはほんとうに多様な考え方に出会える宝庫だとつくづく感じています。
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