野田幹事長に続いて民進党の蓮舫代表が辞任されました。稲田防衛相と同日の辞任というのもなにかの縁でしょうか。ところで安倍内閣の支持率下落は、総理悲願の憲法改正を困難にしただけでなく、状況によっては次の総選挙で過半数を割る事態すら想定されます。とくに女性の安倍内閣離れは支持率回復の困難さを物語っているように感じます。
 
しかし民進党は、この安倍離れ、自民離れが起こっているにもかかわらず、受け皿の役割を果たせていません。本年に入ってからの内閣支持率政党支持率、自民党と民進党の政党支持率に加えて「支持なし、わからない、答えない」の回答率の推移をグラフにしてみました。現在の民進党が置かれている状況がよくわかります。ちなみに、データはテレビ朝日「報道ステーション」の世論調査結果です。


支持率推移

ざっと傾向を整理してみると次のようになるのでしょうか。ちなみに、固定電話で質問する世論調査では高齢者の意見ばかりになると誤解している人がいらっしゃいますが、ほとんどの世論調査は携帯やスマホも対象にして実施していることはいうまでもありません。

)槐当初から内閣支持率は下落傾向にあった
⊆民党支持率が3月から低下しはじめた
5月を境に、内閣支持率も自民党支持率も急落している
ぬ運陛淹抻率は低いままでほとんど変化していない
ァ峪抻なし、わからない、答えない」が3月以降増え、7月には内閣支持率を超えた

つまり、内閣も、自民党も支持できない、しかし民進党や他の野党を支持できず、行き場を失った「支持なし、わからない、答えない」がどんどん増えてきているのが現状です。

つまり、安倍内閣だけでなく、与野党ともに政党の行動と有権者の意識の間にギャップが生まれてきているということです。ビジネスでいうなら、商品やサービスを供給する側と消費者側のズレが生じてきている状態になっています。

安倍内閣、自民党、民進党のいずれのお店の売り場に行っても欲しい商品が並んでいないのです。しかし自民党は昔からのなじみ客を抱えているので、下がったとはいえ、7月時点でも36.1%の支持率です。

民進党はかろうじて支持者を残しているとはいえ、政権交代ができるにはほど遠い存在のままで、この支持率で言えばさらに議席を失うことは陽の目を見るより明らかです。だから沈みゆく泥船から逃げ出す動きがでてきても当然です。政治家として生き残ろうとするなら、求心力よりは遠心力が働いてきます。

では民進党に処方箋はないのかというと、マーケティング、とくにブランド戦略視点で考えていけば、再生できる可能性は残されているのではないかと感じます。問題はそういった視点を持って、発想を変えることができるかどうかです。

ところで、「民進党」というブランドはどこに存在しているのでしょうか。民進党の国会議員のひとたち、また党員のみなさまの心の中でしょうか。きっと今はそう考えていろいろ試行錯誤されているのだと思います。自分の思っている政策は正しい、それが実行できれば日本はよくなる。ブランド戦略でいえば、まずはその発想、思い込みから転換することです。

ブランド戦略の視点で言えばブランドは有権者の心の中に存在しています。有権者の人たちの心のなかでまずは居場所をつくらなければ、いくら声を大にして、あるいは鋭く、国会で質問しても、それはその質問している国会議員が印象に残るだけで、「民進党」というブランドは見えてきません。

なぜ民進党というブランドが有権者の心になかで居場所をつくることができないかというと、有権者の意識とすれ違っているからです。

原因ははっきりしていると思います。「民進党」がなにの実現を目指している政党なのかがわからないからです。自民党はそれでもいいのです。トップブランドなので、誰からも愛されたらいいのですから。しかし民進党がトップブランドに挑戦しようとすれば、錦の御旗が必要です。

大阪維新は「大阪都構想」、都民ファーストは「開かれた都議会」の実現という目標を持っていますが、では民進党は、誰のために、なにを、どうしてくれる政党なのかがよくわかりません。民主党政権当時も、事業仕分けや社会保険問題でも結局は「改善」をはかるばかりで、国民と一緒になってこれをやり遂げましょうよというビジョンは提示されなかったのです。

蓮舫さんの悲劇は、二重国籍問題が発覚したことではなく、民進党が国民にとってなになのかが曖昧なまま、党の「顔」にしようと選ばれてしまったことでした。その商品やサービスの価値がなになのか、どんな魅力があるのかを抜きに、ロゴマークだけあわててつくってしまったようなものです。

蓮舫さんの代表辞任で、必然的に代表選が行なわれるのでしょうが、党の顔を選ぶのではなく、党の姿をまずは描かないと、有権者から共感されることはありません。
菅直人元首相が、ブログで原発問題で党を分けろとか、日本の「メルケル」となれる民進党代表を選べとか書いていらっしゃいますが、それで民進党が国民から支持されるとは到底思えません。
日本の「メルケル」となれる民進党代表を! : 

そんな菅直人元首相の上から目線の「個人の思い」ではなく、発想を変え、いったいなにをすれば、国民が閉塞感や不安から逃れ、また希望を見出せるのか、また日本の新たな魅力や活力が生まれ、国民が誇りを持てる国なれるのかといった「国民の思い」から出発しないと民進党は病から逃れることはないと思います。

いきなり党の顔として誰がいいのかで代表を選ぶのではなく、いったい民進党とはなになのか、国民にとってなにを民進党の魅力にするのか、そして党の再生のためになにをすればいいのかのコンペを行ってみればと思います。その戦略シナリオが描ければ、あとはそれぞれの分野の専門家の知恵を借りることも可能になってくるはずです。

民進党は、政権交代可能な二大政党の一翼を担う責任を果たすための再生戦略を生み出せないのなら、解党して野党再編を促したほうが国民のためになるように思います。