豊洲市場については、盛り土ではなく、地下空間だったこと、また地下水の計測で、環境基準値を大きく上回る結果が出たことをマスコミが大きく取り上げ、風評が広がりましたが、冷静に考えれば飲むわけでもない地下水に飲用に求められる環境基準を問うことは無理がありました。
その点は維新が主張しているとおりで「豊洲新市場整備方針が掲げる“ゼロリスク”の希求は、結果的に、豊洲地区に続いて築地地区にも甚大な風評被害」を撒き散らしたのです。
日本維新の会より、豊洲市場移転問題に関する提言 – アゴラ :

しかしマスコミに登場して説明していた専門家も、安全だと明言することを恐れ、また避けていたことでさらに風評を広げてしまったのですたように思われます。
豊洲市場移転問題は、‥豕都の意思決定のプロセスが不透明であったこと、また情報公開がまったく不足していたこと、∨洲の工事に関して談合があった疑いがあること、実際に運用して安全かどうか、ど評の解消、以上の要因が絡んで複雑骨折してしまった印象を受けます。

移転に今必要なことは、市場関係者や都民に、安全であり、安心できると納得してもらい、風評を解消することです。豊洲移転を決めた限り、いつかの時点でいわゆる「安全宣言」はなされるのでしょう。

ただ、小池都知事の「豊洲を活かし、築地を守る」という、発想は、従来からもあった話で目新しさに乏しいとしても、市場機能を再開発した築地にも一部戻すというのはどうでしょうか。かなり疑問ですが、まだ具体的なプランが提示されていないのでなんとも言えません。

意地悪く考えれば、豊洲市場移転の事実をつくることで、反対の声が弱まり、さらに死活問題として移転に反対している仲卸の業者の多くがさらに廃業に追い込まれていって、やがて築地再開発はフリーハンドで考えることができるという読みでもあるのでしょうか。あまりこのあたりの政治の駆け引きには興味がありません。

そもそも論で言えば、豊洲移転を行っても解決しない問題が残っています。現代は、セリによる値付け以外の卸機能の必要性が低下してきています。そんななかで、もっとも時代変化の影響を受けてきているのが、仲卸業です。

仲卸業者の人は目利きの役割を担ってきたのですが、客先である小売店がどんどん減り、市場を通さず飲食店などに産地直送で宅配する業者も台頭してきており、まさに逆境に追い込まれてきています。こういった変化に適応できない仲卸業者は廃業に追い込まれてきました。とくに、水産物の仲卸は、築地の場合、平成元年から平成26年の間に、個人法人合わせて事業社数が4割も減っています。

仲卸業は、廃業するのか、業態転換するのか、あるいはなんらかの魅力を強化して現代の市場に適応していくことが求められています。

経営が厳しくなってきている仲卸業者の人にとっては、市場移転は青天の霹靂で、死刑宣告に等しい業者の方もおられるのではないでしょうか。移転費用の負担によって廃業が迫られる業者もでてくるのではないでしょうか。補償金を出せばいいじゃないかということですが、音喜多議員によると、そう簡単ではないようです。

これまでも行政の事情で移転が発生したケースで(大田市場など)業者に対して補助金などを出した例はないようで、公平性の観点から実現のハードルは高いと言えますし、「最後は金だ!」みたいな解決方法にも疑問は残ります。

そんな流通再編の時代の流れのなかでは、豊洲に巨大な卸売市場の施設を計画したことそのものが怪しいのです。いまさらなのですが、合理的に考えれば敷地にゆとりのある大田市場にでも移転すれば良かったのでしょう。役所独特の、いったん決まれば、計画を見直すことなく進めるという話だったのかもしれません。

築地は、卸機能をもたせることには疑問を感じますが、ブランド力や地の利はあり、コンペで知恵を集めればそれなりの再開発は可能でしょう。仲卸の業者の人たちの事業転換のチャンスにもなりそうです。

いずれにしても、もともと筋の悪い話をうまく解決していくには、強いリーダーシップが求められます。理屈を超えて共感を勝ち取るアイデアも必要でしょう。あのマクドナルドも、本社のCEOが変わり、日本でのカサノバCEOの再建に向う試行錯誤を忍耐強く見守ったから「奇跡」の復活ができたのです。

小池都知事が豊洲移転で、そんなリーダシップを発揮できるのか、市場関係者と都民から共感を得られるのか、またそれに対峙するいずれかが、より魅力あるプランを示せるのかが勝負所になってくるのだと思います。