都議会選が迫ってきました。政策ではいくら筋が悪くとも法案が通ってしまうと、それで受けた支持率低下のダメージは回復します。そんな荒波をもかいくぐりながら高い支持率を維持してきた安倍内閣ですが、これまでとは様相の違う局面を迎えてきているように感じます。

森友学園の土地売買、加計学園の獣医学部認可などで官邸関与の疑惑、総理友人の山口氏が逮捕寸前に警視庁からストップがかかるというまるでテレビドラマのような話が続いてくると安倍内閣への不信感がなんとなくであれ広がってきているのではないでしょうか。さらに、国際医療福祉大学の医学部新設認可も、加計学園問題と同じ構図で問題化する可能性があるといわれています。

こういった一連の疑惑のなかで、政府や官僚のまるで子供騙しとしかいいようのない情報隠しが行われ、さらに読売新聞と連動した前川前次官への印象操作が行われるなどすると、国民のなかに不信感と嫌気が広がってくることは避けられません。

実はそういった空気のほうが安倍内閣にとっては危険な兆候になってきます。ある製品やサービスの良いとか悪いとかの評価が落ちても、まだ手の打ちようがありますが、嫌いとか、信用できないとか、気持ち悪いというマイナス感情の対象になってしまうと、それを覆すためのハードルは極めて高くなり、よほどの常識を打ち破る起死回生のマーケティングが求められるのと同じです。

それが表面化し、結果に寄っては雪崩のように「安倍一強」を崩しかねない流れとなりかねないのが都議会選でしょう。

現在の親小池VS自民党の支持率では、急速に接近してきているとはいえ、まだ自民党が上回っています。しかし選挙戦になってくると、小池さんという顔を持つ都民ファーストや親小池勢力に勝つには、理屈だけでなく、旗印となる顔が求められますが、自民党にはいまのところ誰もいません。おそらく菅官房長官が選挙カーに乗れば逆効果でしょうし、石原伸晃さんも顔になるには役不足というか、豊洲問題に環境基準を持ち込み、その後に問題をこじらせる原因をつくった石原一家の長男では顔になりません。


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都議選へ支持率接近 「親小池」と自民  :日本経済新聞 :

まだどの政党の候補を選ぶのかを「決めていない」人が25%もいて、その支持獲得戦になるのでしょうが、顔のある親小池勢力と顔の無い自民党でどちらが浮動層を取り込めるのかというと勝負はもうついているに等しいのでしょう。小池都知事は、豊洲問題で、豊洲か築地かの対立をアウフヘーベン(止揚)させるという話ですが、どんな案が示されるのでしょうか。豊洲問題で失敗しない限りは、大阪や愛知のように、東京都でも自民党総崩れもありえる話ではないでしょうか。

そんな危機感を自民党は当然持っていると思いますが、なにを争点とするかだけでなく、なにを象徴として掲げ、誰を顔にして選挙に臨むのか、かなりレベルの高い戦略や戦術が求められるのだと思います。安倍総理自らが顔になって選挙の先頭に立って臨むということかもしれませんが、もし都議会選に負ければ、それは政権失速の引き金になりかねません。


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