最近、記者会見時の菅官房長官の表情の不自然さが気になります。裏になにかを隠しているような気配を感じるのです。まるでテレビドラマの登場人物さながらです。さて、加計学園問題は外野席から見れば森友学園問題よりもさらに黒だと感じさせています。岩盤規制を打ち砕くために、国家戦略特区を首相自らがコネクションも総動員して進めていこうという意気込みはいいのですが、後出しジャンケンでルール変更を行い、獣医学部開設で、加計学園と競いあっていた京都産業大学を排除したことは、「公正」だったとはいえません。

問題は、国家戦略特区の条件追加だけでなく、加計学園特別扱いが総理の意向とした文部科学省の内部文章がでてきたこどです。森友学園問題では、官僚のあからさまな情報隠しが疑われましたが、今回は、かつての「永田メール」作戦で内部文書を怪文書に仕立てあげて国会での追求をかわそうという狙いを感じます。その文書は前川前次官がリークしたもので、前次官が文書は本物だ証言したとたんに、それに報復するように前川前次官のプライバシーを侵害する情報を官邸がリークしたとは、いかにも往生際が悪すぎです。

しかも、前川前次官の「出会いバー」に頻繁に行っていたというプライバシー侵害そのもののリーク情報を、紙面で臆面もなく報道した読売新聞は三流以下の情報操作に加担したことになります。

新潮と文春の「仁義なき戦い」効果でさらに注目を浴び、多くの人びとに、前川前次官の信用を失墜させる効果はあったと思います。周りの人に聞いてみると、前川次官かつての「ノーパンしゃぶしゃぶ」問題と同じような不祥事を行っていたと錯覚していたようです。違いは今回はなんの違法性もなく、たんなる趣味の問題です。

もちろん読売新聞が、政権側にポジションを置くことは自由なのですが、この記事ばかりは、一線を超え、ついに情報操作に加担したのですから驚きます。新潮は官邸が読売新聞にリークしたものだとしているので、読売にはなんらかの説明責任が求められます。あるいは、お得意の告訴に持ち込むつもりでしょうか。

さて、根っこは危なっかしいウヨクであっても、安倍総理は、憲法改正で9条に“自衛隊加憲”をするという案が象徴するように、現実主義の立場をとってきています。だから支持率が安定してきたのです。しかし、昨今は、なにかその危なっかしいところが目立つようになってきています。いよいよ賞味期限切れの兆候でしょうか。

劇作家・演出家の今井 一隆氏のFacebookの「朝日新聞は言論テロ。狂ってる」という書き込みに「いいね」をネトウヨが喜々として押すのは自然ですが、一国の首相がそうしたというのでは正気の沙汰とは思えません。あるいは「いいね」の押した意味をおわかりでないのか、気に食わないメディアを排除するトランプ大統領を見習ってのことでしょうか。

朝日新聞は市場の評価に任せるべきなのです。実際、朝日新聞は読者を失ってきていて、発行部数が激減してきています。


読売も発行部数が減少する中で、ジャーナリズムとしての矜持を捨ててでも、政権の下僕として延命をはかろうとでもいうのでしょうか。いずれにしても、歴史に残る汚点ではないかと感じます。