アメリカ、また中国からの圧力、国際的な批判をあざ笑うかのように北朝鮮は相次いでミサイル実験を続けています。いくらトランプの甘言があっても、金王朝を守るには「核大国」のポジションを得る道しかないという金正恩の信念は強固であり、どうせトランプは軍事行動を起こせず、またトランプが頼る習近平も決定的な切り札は切れないと見切ったようで、このチキンレースは北朝鮮優位に推移しているように見えます。
そして21日に北朝鮮は、固体燃料を使用する「北極星2型」ミサイルの試験発射に成功し、金正恩が部隊への実戦配備を承認して大量生産を指示したと伝えられていますが、それは在日米軍基地を核弾頭で攻撃できる体制ができたか、まもなくできるということでしょう。固定燃料であれば、いつでも発射できるということで、予測もできなければ、先制攻撃して叩くことは極めて難しいと言われています。
実質的にはもう北朝鮮は核武装したのでしょうし、日本や韓国は射程圏内なのでしょうが、レッドラインすら示せないアメリカはいかにも無力です。
安倍内閣は「北朝鮮の外貨収入を減少させるとともに、核・ミサイル関連の貨物や技術移転を防止することが重要だ」として、独自制裁を強化し、中国に石油輸出禁止を求めるとしていますがどこまで効果があるかは不透明です。
日中韓の関係がぎくしゃくしているなかでは、制裁に向けて強固なスクラムを組むこともあまり期待できません。また国連の制裁決議も、国連安保理事会で議長国のウルグアイは、議題になるかどうかさえ、現時点では見通せないという認識を示しており、手詰まり状態になっています。
日本としては、このまま、国内を意識して制裁を強硬に主張しつづけるのか、なんらかの打開策を日本が主導して示すのかが問われてきているように感じます。安倍内閣の支持基盤を考えると、強行な制裁のジェスチャーを守るしか選択肢はないのかもしれません。
北朝鮮の暴走を指をくわえて傍観するしかない。そんななか、予想されたこととはいえ、韓国の文新大統領が北朝鮮との対話を模索する動きを始めたようです。ミサイル発射実験の成功が伝えられた翌日に、韓国の李統一部報道官が、新政府は「民間交流など南北関係の主要懸案に対しては、国際社会の対北制裁の枠組みを傷つけない範囲で柔軟に検討していく考え」であることを記者会見で発表し、北制裁措置を緩和する可能性を示唆しています。
また中央日報は、文大統領が、金正恩との首脳会談にむけてフランシスコ法王に仲裁を要請する親書を送ったことが確認されたと報じています。つまり日中韓連携で兵糧攻めして、ミサイル・核開発を止めるというシナリオはさらに難しくなってきそうです。
いまの膠着状況は、さらに時間稼ぎができるので、金正恩にとっては都合がよく、トランプ対北朝鮮のチキンレースは、残念ながら金正恩が優位な状況で進んできています。
大気圏再突入が可能な弾道を完成させたのかどうかはわかりませんが、すでに日本は、北朝鮮の核攻撃の射程範囲に入っていると考えるべきで、日本主導で日米朝会談実現のために動くという選択肢も含め、対北朝鮮戦略を再構築する必要があるのではないでしょうか。
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