金日成生誕105年と軍創設85周年。部外者から見れば、なんとも中途半端なタイミングに、まるで動くフィギュアのような軍隊を繰り出し、金正恩政権の威光を見せつける式典を繰り広げるのは勝手だとしても、招待された世界のメディア、とくに日本のメディアがまるで操られたように北朝鮮の意向どおりに、その映像を繰り返し流したので、対日情報戦では金正恩政権に軍配があがった感がありました。日本のメディアにとっては、ショーのひとつだということでしょうか。
しかし肝心のミサイルは、打ち上げ直後に爆発しました。こんなときに失敗するようなミサイル発射を行うものでしょうか。むしろ、米国の対応を恐れ、わざと爆発させたのでしょうか。そして、にわかに浮上してきたのが米国によるサイバー攻撃によって失敗させられたという見方です。そもそもサイバー攻撃をしたというということは公表される類のものではないのでわかりません。いわゆる軍事評論家のなかには、ありえないと否定している人がいましたが、どうでしょうね。

ロシアが実際にシリアで使ったようですが、小型無人航空機も、偵察だけでなく、搭載した装置で電話を傍受したり、携帯電話基地局になりすまし、周囲の携帯電話に偽のメッセージなどを送り、敵を混乱させるようなことも実際に行なわれる時代です。
 
たしかにそういった目に見えるサイバー攻撃による撹乱はなかったのですが、見えないサイバー空間のなかでなにが起こったかは外部からはわかりません。


ただ怪しいと感じるのは、北朝鮮が昨年ムスダン型中距離ミサイル(IRBM)を8回も発射し、そのうち7回も失敗。また3月22日も失敗があったとされ、そしてさらに今回の失敗です。米国によるサイバー攻撃の影響を感じませんか。とくに今回は失敗してはならない発射実験だったのではないでしょうか。

米国では、オバマ前大統領が約3年前、北朝鮮のミサイル発射試験を妨害するため、サイバー攻撃を強化するよう国防総省に命じたとニューヨーク・タイムズが報じていますが、北朝鮮に対するサイバー攻撃がどのようなもので、どの段階まで開発が進んだかは、極秘中の極秘でしょうからわかりません。



20世紀のリーサルウェポンが核兵器であるなら、21世紀はサイバー攻撃が核兵器を凌ぐ脅威だとも言われています。サイバー攻撃を可視化しているサイトがあって、ずいん派手にドンパチをやっている様子が見えます。ごらんになると凄まじい攻撃があることが視覚的にわかります。しかし、このシステムを提供しているノース社によれば、このマップに表示されているのは受信しているデータの1%未満で、画像は「見本」に過ぎないとか。
サイバー戦争をリアルタイムで表示するマップに釘付け | ニューズウィーク

北朝鮮で緊張が高まると、だから対話が必要だという人も増えてきます。しかし、平気で嘘をつき、人を無慈悲に殺す、また約束を守られる保証がまったくない金正恩政権との対話路線は逆効果となる可能性もあります。しかし、脅威に備えると言っても、日本が取りうる軍事オプションは限られ、素人が聞いても、「敵基地攻撃」のように、それは絵空事だという発想が多いのですが、米国からの武器輸入をさらに増やそうというのでしょうか、軍事力強化にむけた情報キャンペーンはすでに始まっています。

さて、冷静に眺めれば、金正恩の瀬戸際外交によるチキンレースも、今回ばかりは相手が戦争をしかけることが自らの政権維持につながるトランプ大統領ではこれまでのようにはいきません。イージス艦による、シリアとは比べ物にならない厚いトマホーク攻撃体制に加え、空母の派遣、さらに、地下施設に潜む敵をも攻撃でき「すべての攻撃の母」とも言われる「大規模爆風爆弾(MOAB)」をアフガニスタンのISIS拠点に投下するデモストレーションと並べば、金正恩もおとなしくせざるをえません。もし核実験を行って、トランプ大統領が手を拱いたとすれば、トランプ政権は危うくなるので、なんらかの行動をしてくることは金正恩もわかっているのではないでしょうか。もうすこし経過を見ていれば、きっと、そのあたりの微妙なバランスが見えてくると思います。

 
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