「てるみくらぶ」の経営破綻の被害にあった方は8万〜9万人にものぼるとも伝えられていますが、旅行中であった人はもう帰国できたのでしょうか。そんな被害が報道されているさなかに、オフィスで「てるみくらぶ」の内定者の人たちはどうなるのだろうか、気の毒だという話がでました。即座に、「大丈夫、いろいろな会社からオファーが来るので、どこかに就職できる」と言ったのですが、やはりその通りというか、それ以上の争奪戦になったようです。
「てるみくらぶ」に今春入社するはずだった58人の採用内定者をめぐり、200社以上が「争奪戦」を繰り広げているとか。同じ旅行関連企業でも予定した20社以上から申し込みがあったと朝日新聞が伝えています。

旅行会社が加盟する日本旅行業協会は、てるみくらぶの内定者を集めた合同企業面接会を8日に開く。会員企業に参加を呼びかけたところ、JTBなどの大手や旅行予約サイト運営会社エクスペディアなどの新興企業まで、予定の20社を上回る50社以上から希望があり、半日で締め切った。

キツイ、キタナイ、キケンのいわゆる3Kといわれる「現場」では、すでにかなり人手不足が深刻で、中国やベトナムあたりから来日してくる「技能実習生」に頼っているけれど、それでも不足していると話が耳に入ってきます。

サービス化が進んできているので、さらに人手不足が広がってきています。そしてヤマト運輸が、ついにアマゾン・ドット・コムの当日配送サービスの受託から撤退する方針を固めたと発表しています。こういった問題を抱えているのはヤマト運輸に限ったことではありません。

セブンイレブンも、各店舗がアルバイトなどを確保する人件費に充ててもらうため、コンビニ本部に支払う「ロイヤリティー」をことし9月から一律1%引き下げるとしています。

日銀短観でも、人手が足りないという企業が一段と増え、人手不足感を示す指数は25年ぶりの高い水準となっています。景気がいいというよりも、景気が安定しているなかで労働人口が減ってきたための現象でしょう。

事業を成長させようにも人手がない、労働力の不足が経済の足を引っ張る状態が目に見えて始まったのです。そして人出不足は労働力市場も変化させてきています。中小企業の賃上げ率が大手企業に近づき、正社員の時間あたり給与が毎年0.5%程度しか上昇していないにもかかわらず、パートタイム労働者の時給はコンスタントに毎年1.5%程度上がるという現象を生み出してきています。

欧米は労働人口減を移民で補い、それで経済成長エンジンとしてきましたが、大量の難民受け入れと急激な移民の増加が社会問題を引き起こし、それがトランプ現象、また英国のEU離脱を生みましたが、日本は真逆で、労働人口の減少がわかっていながら、移民に対する抵抗感を持つ人がいることもあって、まともに向き合ってこなかったツケが回りはじめているようにも感じます。

「働き方革命」で、生産性の向上を目指すとしても、しかし、労働力不足はもう無視できない状態になりはじめているので、欧米の移民問題も参考にして、日本の現実を直視した「働き手革命」の議論が求められてきているのではないでしょうか。


SFAによる顧客管理ならアクションコックピット
モバイルの活用が広がる営業支援システム アクションコックピット