安倍内閣はエネルギー消費量が増えるという計画を立てているそうです。2030年には現在よりも21%も増えるとか。それはありえないことで、原発再稼働を促進する根拠にしたいという以外には考えられない話です。それを蓮舫さんが予算委員会で突いたのはいいのですが、提示したグラフの初歩的なミスを世耕経産相から指摘され、爆笑されるなか轟沈してしまったというお笑い話は、今の民進党を象徴しているようです。
幕下力士が、意気込んで横綱に突っこんだものの、あっさりかわされて土がついたという感じでしょうか。情けないことに民進党は、政権交代できる野党どころか、かつての社会党とくらべても、野党としての役割を果たしていません。

さて、経済政策の失敗というか、円安誘導以外ではほとんど成果をだせていなくとも、安倍内閣が高い支持率を保てている大きな原因のひとつは、第一野党の民進党が自らの立ち位置を見いだせないままに漂流してしまっていて、国民からも見放されはじめていることです。

それで「民進党バーカ」と喜んでいる場合ではありません。短期的にはEUが揺れ、アメリカがトランプ政権誕生で国民が二分され、さらに隣国韓国の政治が不安定化してくるなかでは、安倍内閣が安定政権であることは国益にかなっているとは思いますが、長期的に考えれば日本にとっては与党独裁の大きなリスクを背負うことになります。権力は慢心するとかならず腐敗するので、それを防ぐ拮抗力が重要ですが、今はそんなパワーを失ってきています。

民進党が立ち直るか、それに変わる野党が育つのを待つかですが、できることとなら、民進党も自らを改革し、魅力ある政党になって欲しいところです。しかし、今の民進党に致命的に欠けているのは、自らの戦略を生み出せないことです。だから、右から左までの玉石混交の玉虫色で、なにを目指しているのかもよくわかりません。

もう思想の時代は終わっているので、右であっても左であっても趣味の問題にしかすぎないのでどちらでもよく、大切なことは戦略を描き、国民の支持を得て、実行に移す能力です。

現在の低迷から抜け出すためには、まずは、戦略スタッフ、とくに民進党自らのマーケティング戦略を描けるブレーンと、スタッフを持つことです。何を提起し、誰の支持を得たいのか、どのような立ち位置で自民党や他の野党との違いを打ち出すのか、手を組む相手は誰かなどですが、すべてマーケティング戦略の基本です。

異なった数値をグラフ化して比較してしまうという初歩的なミスも、まともなスタッフやブレーンもいないということでしょう。数字のマジック、グラフのマジックを駆使する官僚から見れば赤子の手をひねるようなもので、いかにいい主張であっても自爆させられます。

今の民進党がやるべきことははっきりしているのではないでしょうか。それとも、民主党はシンクタンク機能をもつ、ブレーンを雇うだけの資金もないということでしょうか。