ウェアラブル端末の話題も一巡しましたが、充電の煩わしさがなければそれなりに魅力はあるように思います。それにしても普通の腕時計はもう何年も充電しないで正確な時を刻んでいるので凄いですね。ただウェアラブル端末は、スマートフォン周辺機器という限界を超えられず、より価値を高めていくには医療用の分野になってくるのでしょうか。元Google日本法人代表のお話では、そのウェアラブルの先には今後はインプランタブル(埋め込み型)が席巻、さらには神経・筋肉系統との統合も果たされていくとか。

それを読んで思い出したのは、24時間の心電図を端末に記録して、不整脈や狭心症の有無を調べるホルター心電図です。体の10ヶ所ぐらいに電極を貼り付け、データを分析して日常生活で不整脈や心筋虚血が起きるかどうかを調べるものです。しかしこれを着けているときはすこぶる体調がよく、その後にまた違和感を覚えたりすることもあり、本来なら、ウェアラブルで、電極もなく、データをあちらの世界(クラウド)に蓄積し、AIが診断を下すという感じならいいですね。

それはそうとして、VR(仮想現実)の技術では、グーグル・グラスは話題だけ賑わいましたが市場からは消えてしまいました。実際にビジネスとして成功したのは、これがほんとうにVR技術なのかと感じてしまうポケモンGOです。グーグル・グラスは現在は開発者用に販売されていますが、それ自体は部品に過ぎず、これといった価値はないので、落ち着くところに落ち着いた感じでしょうか。

技術を買いたいと思うのは、それをビジネスに活かしたいと思う企業だけで、生活者が欲しいのは、楽しいとか、役立つとか、感動する新しい価値だということです。ポケモンGOといえば、先日、任天堂本社横を通ったのですが、スポットもジムもなくて、殺風景でした。


それで一例としてメルマガで取り上げたのが、米国のベンチャーIOTASがはじめた賃貸アパートメントのスマートホーム化ビジネスです。この会社もスマートデバイスがあるだけでは、スマートハウスは普及しないと言い切り、賃貸物件の価値を上げる切り口としてスマートホームを不動産業者向けに展開しています。

IOTもAIもBIGデータ、またVRなどの技術は、価値を創造する新しい領域を広げてくれますが、そのためには新しい目的や体験、また新しい目的や体験を実現するビジネスモデルの創造がなければ、ただの技術見本市に過ぎません。鍵は、IOTもAIも、あるいはBIGデータも利用環境はどんどん進んできているので、そこから、どんな価値づくりのアイデアやマーケティングが生まれてくるかなんでしょうね。