野球では練習試合で韓国サムスンは9対0でジャイアンツに勝ったようですが、本体のサムスンは、朴槿恵(パククネ)大統領の疑惑を巡り、実質トップの李在鎔サムスン電子副会長が贈賄などの疑いで逮捕されるという事態となっています。本当に逮捕する必要があったのかは疑問に残るところです。検察や裁判所が、世論や抗議デモに押されるように逮捕に踏み切ったという印象を受けます。
盗難された対馬の仏像に関してもそうでしたが、このサムスンの問題にしても、司法が世論に迎合する傾向を見せつけられると呆れ果てるばかりで、隣国の住人としては、もっとしっかりしてよと言いたくなります。

しかも、このサムスン副会長の逮捕だけでなく、昨年11月からの捜査によって、サムスングループの中枢組織「未来戦略室」が事実上機能停止に陥り、戦略決定に空白が生じているようです。
そのために液晶事業やAIやIoT関連への新規投資に影響がでてくることが懸念されています。

とくに競争が激しい液晶事業では、価格競争力に響いてくる10.5世代工場への投資決定ができずにいる間隙を縫うように、中国のBOEとチャイナスター、日本のシャープ、韓国のLGディスプレーなど競合他社が10.5世代工場への投資を開始したと報じられています。

経営戦略の確かさや投資決定のスピード経営を強みとしていただけに、トップ逮捕と戦略中枢組織の機能不全はやがて効いてくるのではないでしょうか。 


この贈賄疑惑だけでなく、昨年のスマートフォンバッテリーの発火問題、また航空機への持ち込み禁止措置の影響で、ブランドの威力にも陰りが生じ始めています。09年に初めてランクインし、昨年は35位だったフォーチャン誌による「世界で最も尊敬される企業トップ50」でランクから脱落してしまったのです。

スマートフォン市場が昨年の10-12月期で、前年同期から6.9%伸びるなかでサムスンは5.2%減で、iPhoneに首位を譲る結果となっていますが、迫る中国勢との競争で、ブランドイメージが落ちると価格競争に激しく巻き込まれてしまいます。

もちろん、いかにもすぐさま韓国経済が破綻すると煽る人たちの思いとは裏腹に、サムスンは半導体事業が好調であったり、iPhone用のディスプレーの1.6億枚をサムスンが受注したとの噂もあり、すぐさまこれらが業績に響いてくるとは思えません。ちなみに、あれほど発火問題でダメージを受けたにもかかわらず、2016年は増収増益でした。
ノート7発火問題どこ吹く風 韓国サムスン電子、営業利益大幅増で業績絶好調 - 産経ニュース : 

しかし、ブランド価値の低下や経営の空白は、今後にボディブローのように効いてくる可能性がでてくるということではないでしょうか。そうなると、サクスンが韓国経済に占める比率は高く、逮捕劇は自国の首を締めることになってきそうです。