戦略の間違いと言っても、事業環境の変化、つまり外部環境の読み違い、また課題がどこにあるのかの見定めの間違い、戦略をマネジメントする能力が不足していたとか、必要な資源を補えなかったという内部環境による問題があるように思います。
名門企業の東芝が大変な状態に陥ってしまっています。原子力事業の世界戦略として2006年に買収したウェスティングの巨額損失を抱えてしまったからです。買収した当時は、快挙としてマスコミももてはやしていたように記憶しています。

しかし、リスクへの感性の不足、危機をマネジメントする能力の不足がとんでもない結果を招いています。

東芝ほどではないですが、カメラの名門ニコンが連結業績予想を下方修正し、最終損益の赤字が60億円から90億円に増加すると発表していますが、こちらは予測された事態に対する戦略が立てられず、迷走してしまった結果だと思えます。ニコンについては今日発行のメルマガで取り上げますが、共通しているのは、いずれもが名門企業で、いずれもがボタンの掛け違いをやってしまっていることです。
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東芝は、ふたつの重大な戦略ミスを行っています。よく戦略は結果としてあわわれるといわれます。誰も先になにが起こるのかは予見ができません。東芝の危機を招いたのは、11年3月の福島原発事故による外部環境の急激な変化です。原発へのハードルが一挙に高くなりました。東芝に限らず世界の原発市場は壊滅的な打撃を受けています。こちらはアンラッキーな出来事で、誰も予測できなかったことです。それで請け負っていたボーグル原発は稼働が3年も遅れ、追加工事費が膨らみます。

しかし、東芝の致命的なミスは、当時から「死に体」といわれていたウェスティングの、しかも受注がない状態の原子力事業をマネジメントする能力があるという錯覚をしてしまったことではないかと感じます。

イケイケドンドンの勢いでやってしまい、あまりにも警戒心がなかったと批判を受けてもしかたないのは、買収に共同投資したゼネコンと間で、原子力事業のリスクを考えて「自社がWH株の売却を望んだ場合は、東芝が必ず引き取る」という契約を行ってしまっていたことです。これが後に致命傷になってきます。

さらに、問題が悪化すると、東芝は、事業が順調だと嘘をついていたことの発覚をおそれ、なんと工事会社を買収し、膨らむ赤字を抱え込んでしまったのです。問題を先送りしようとして傷を広げるところは、オリンパスの粉飾を思い起こします。

さて、東芝問題は、原発事業がほんとうに必要なのかが問われる問題ではないでしょうか。東芝に限らず、原発は事業としてもう成り立たなくなってきています。たしかに各電力会社からすれば、すでに投資し、稼働可能な資産としての原発を稼働させたいでしょうが、このままでは、政府管理で国策会社をつくって、原発事業を存続させることになりそうですが、経営感覚のない官僚の机上の空論の事業がうまくいくわけがありません。さてどう東芝問題を処理するのでしょうか。原子力が絡む問題だけに、シャープのように、外資に救済を求めることは、政府もしたくないだろうし、反対も出てくるのでやっかいです。