メキシコとの国境に1989マイル(3200キロ)の壁をつくる、実際は今も壁は部分的にはあり、さらに延長するという話ですが、資材を売る会社や工事を請け負う会社にとっては願ってもないボーナスになるとしても、やがて痛い目に合いそうなのはアメリカの消費者です。
日経によればスパイサー報道官が、「検討中の包括的な税制改革案は、米国貿易赤字を抱えているのような国からの輸入に課税する仕組みだ。500億ドルの輸入に20%を課税すれば、年100億ドルの税収が得られ『壁』財源を簡単に賄える」という趣旨の発表を行い、またライアン米下院議長(共和党)も、「壁」の建設費について、下院は費用負担を承認するとの立場を示しているようです。
関税をかけるということは、一見はメキシコ側が費用を負担するかのような錯覚に陥りますが、最終的に負担するのはアメリカの消費者です。今、ツイッターでは、この問題をアボガドでいろいろ湧いているようです。健康食品として人気の高いアボガドはほとんどをメキシコから輸入しているからです。
たとえば一個100円で輸入しているアボガドは、20%の関税がかけられると輸入価格が120円となります。政府は関税の20円を得るわけですが、当然は最終販売価格が値上がりします。アボガドを国内からは調達できないので、結局は消費者がその負担をすることになります。値が上がったために消費量が落ちたとすれば市場が収縮します。
焦点は、このことにいつアメリカの共和党支持者が気がつくのかです。それにトランプ大統領が騒がなくとも、今、米国に製造業は戻ってきています。原因は、シェールガス革命によるエネルギーコストの低下や生産性の向上などで、米国でも低コストで生産できるようになったからです。
ボストン・コンサルティング・グループの興味深いレポートがあります。2004年と2014年を比較すると、新しい低コスト国が誕生したとしているのですが、それがメキシコと米国です。かつてのBRICSはコスト競争力が低下し、なんと中国の生産コストはアメリカに対して 5%弱の優位性しかなく、ブラジルは多くのヨーロッパ諸国よりも生産コストが高いのだそうです。
さらになぜ米国が低コスト国になったかを示している表があります。2004年と2014年の比較で、輸出上位25カ国の賃金は71%上昇したのに対して、米国は27%しか上がっていません。失業率も低下してきていることを加味すると、トランプ支持者の不満は、ここに原因があるともいえそうなのです。
「まさか、なるほど」という筋のいい話ならいざしらず、「的外れ、とんちんかん」の政策はやがて破綻するか、効果がでません。その場しのぎの公共事業に税金を垂れ流してきた日本がいい例です。中間選挙までに、人気取りの奇策ではなく米国国民が実感できる成果がでなければ、トランプ大統領だけでなく、共和党の支持率が落ち、政権基盤が揺らぐので、どれだけ財政出動して目先の景気をつくるしかトランプ大統領に残された政策はないように感じます。
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