なんともはや感じるトランプ次期大統領の記者会見でした。トランプ次期大統領への嫌悪感と不安とメディアの無力さが世界中に広がったのではないでしょうか。しかもメディアとの対立だけが目立ち、具体的な政策の中味がなかったために、金融市場も期待が外れドル売りとなりました。

とくに、ロシア政府が長年にわたって、トランプ次期大統領を支援してきたという内容や、不名誉な情報をロシアが入手していることを記した英国情報機関の元職員による調査文書について報道したCNN、また全文を公開したBuzzfeedの記者に対してトランプ大統領が異常なほどの敵対心を示したことはかえって疑惑を深めています。


調査文書全文(英語)は、BuzzFeed(日本語版)の記事内にリンクが貼られています。

調査文書要約は、こちら。

きな臭い疑惑といえば、それで思い起こすのはニクソン大統領を辞任に追いやったウォーター・ゲート事件です。1972年に、ニクソン大統領の政敵である民主党本部への盗聴侵入事件が発覚したのですが、犯人がニクソン再選委員会のメンバーだったので政治問題化したのです。その2年2ヶ月後に、合衆国史上初めて大統領が任期中に辞任に追い込まれるという事態を招きました。

ニクソン大統領は、ベトナムから米軍を撤退させ、ベトナム戦争終結を実現したり、それまで敵対していた中国を訪問し、米中関係を改善した大きな功績があるにもかかわらず、評価が低いのも、このウォーター・ゲート事件があったからです。

トランプ次期大統領とロシアの関係を暴いた文書の真偽のほどは今のところわかりません。

おそらく、これまでの時代なら闇のなかに葬られ、忘れ去られていくたぐいのものだと思います。しかし、BuzFeedの名が象徴しているように、今ではSNSで拡散され、その疑惑はネットのなかに存在し続けます。もし、議会がこの問題を追求し始め、第2のウォーター・ゲート事件に発展すれば、トランプ政権の基盤が揺らぎ、脆弱化します。

これまでのツイート砲による企業恫喝には成功してきた強気なトランプ大統領も空回りし、米国の政治に空白がやってくるかもしれないのです。もうすぐ大統領就任ですが、始まる前から終わりの始まりを予感させる記者会見でした。

さあ、トランプ次期大統領はこのスキャンダルをどう乗り切っていくのでしょうか。


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