民進党は自滅への道をまっしぐらという感じになってきました。IR推進法案に対しては、ただギャンブル嫌だという声に迎合すればそれなりの支持者を囲い込めると脊椎反射で、クレーマーのポジションに立ちました。マスコミも審議時間が不足だと言っていますがミスリードそのものです。いつから、IR法案について検討がはじまったのかを調べてみると、超党派の国会議員による「国際観光産業振興議員連盟」が議論を開始したのが2004年4月で、それ以降議論が重ねられてきているようです。
いきなりIR推進法案がでてきたわけではなく、それからもう10年以上を経てきており、さらに、IR議連がIR推進法案を発表し、参加議員に党内調整着手を要請したのが2011年8月。それを受けて、11月には民主党内で正式にIR推進法案の議論がスタートしています。こちらに、IR推進法案をめぐる主な出来事が年表にまとめられていますが、普通に考えればもうかなり議論が深まり、もうなにが課題なのかの焦点も絞られてきているはずでしょう。

しかもIR推進法案については、具体的な法案を今後決めようねというものなのですから、蓮舫さんがなぜそんなに声高に、決め方が気に入らないとクレームをつけるのかは理解不能です。

当然、旧社会党の人たち以外は、民進党党内でもカジノを含むIRに賛成の人はいるので、党内調整をしっかりしてから党首討論してよということで、みっともない限りです。

さてなぜ、マスコミも、野党もまたカビの生えたような知識人の人たちがIR推進法案に異を唱えるのでしょうか。

ここからは憶測です。カジノをめぐってもっとも議論の対象になってきてくるのは、ギャンブル依存症問題です。マスコミもそう言っています。

まあ、もちろん良識派のポジションをとって、臭いモノには蓋ということでギャンブル依存症対策が必要だと言っておけば、安全だという人たちもいらっしゃるでしょう。しかし、もうすでに日本はギャンブル依存症の人たちがどんどん生み出されているという現実には触れません。

ギャンブル依存症に注目が集まり、カジノを認めることをきっかけにギャンブル依存症対策が本格的に検討されはじめることに不都合を感じる、あるいは懸念を感じるのは誰なのかです。

そう、みなさまが考えられているように、パチンコ・パチスロ業界と業界からその恩恵を得ている人たちです。

まともな議論が起こり、あるいはもっと踏み込んだギャンブル依存症の実態調査をすれば、いまは建前でアミュ−ズメントとされているパチンコ・パチスロもギャンブル依存症の議論の対象になってくるでしょう。

身近にあるパチンコ・パチスロは、敷居が高く、あるいはある程度のハードルをもうけることができ、施設も近隣にないカジノと比べれば、はるかにギャンブル依存症を生み出す元凶になっているという現実が浮き上がってくるはずです。

現実はギャンブルにもかかわらず、アミューズメント施設として許可されている矛盾が問題になり、射幸性をもっと低くして依存症を減らそうという規制が検討されはじまりかねないのです。もっと踏み込めばパチンコ・パチスロがギャンブルだと認定されかねません。業界や業界を取り巻く人たちが、警戒して当然です。

だから、カジノ法案にクレームをつけている人たちのなかには、業界のロビイストも含まれているはずです。パチンコ・パチスロは20兆円を超える産業ですから、計り知れない影響力を持っていると考えられます。ほんとうに怖い話です。

嗤うのは、海外は観光資源がないからカジノをもってくるけれど、日本は豊かな観光資源があるから不要だとかいう理解不能なことを言う人までマスコミは登場させています。その理屈から言えば、日本にはディズニーランドもUSJも不要だということになります。歴史的な観光資源が豊かなのは近畿ですが、現実はUSJが加わったことで、さらに観光地としての価値があがりました。カジノも含めたIRでさらに多様な観光資源が広がると考えるのが自然です。

日本はギャンブル依存症への地獄の入り口が、生活圏のあちらこちらにしかけられているのです。そんな現実を問題にしないで、ギャンブル依存症になる人がでてくるので、IRの実現を阻止しようとする政治家や知識人、またマスコミははたして信用できるのでしょうか。

ついでに言っておきますが、IRだから成功するのと、成功するIRをつくるというのでは問題が違います。いまは大成功しているUSJも以前は赤字つづきだったのですから、それは戦略とマネジメント次第だということです。